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  24時間ビジネスを支える電源保護システム
送電線切断事故による大規模な停電から
サーバを守ったSmart-UPS

 企業の情報システムが短時間でもダウンすると甚大な被害を招くことが明らかな現在、サーバの電源をバックアップするためにUPSを導入することは当たり前になっている。しかし、電力事情が安定している日本にあって、UPSの重要性を身をもって認識しているシステム管理者は少ないのではないだろうか。

 2年前、航空自衛隊機の墜落事故で基幹送電線が切断され、埼玉、東京で大規模の停電が発生した。三菱地所住宅販売の東京本社もその事故によって、瞬間的な停電を経験したが、すべてのサーバに導入されたUPSによってサーバがシャットダウンすることなく、システムの運用を継続することができた。


隣県の送電線切断事故が招いた0.5秒の瞬停

 埼玉県狭山市の入間川河川敷ゴルフコースに、航空自衛隊入間基地所属のT33ジェット練習機が墜落・炎上し、同機に乗っていた乗員2人が死亡――1999年11月22日に起きたこの事故をご記憶だろうか。この事故で東京電力の特別高圧送電線(50万V級の基幹送電線)が、墜落したジェット練習機によって切断された。通常、電力会社は落雷など不可避の事故に備えて同じ鉄塔に2回線の送電線を敷設しているが、墜落事故はそのすべての回線が切断されるという非常に過酷な事故だった。そのため、東京都区内、多摩地域、埼玉県南部の一部などの広範囲で約80万世帯が停電した。その被害は、首都圏の私鉄や地下鉄がストップしたほか、信号機の停電など都市機能の一部が一時まひする事態となった。電力会社の送電・配電系統は網の目のように張り巡らされ、一部の送電系統からの電力供給が途絶しても即時に別系統に切り替わるようになっている。しかし、電力供給系統が切り替わる際には、わずかながらの瞬停(瞬時停電)が発生する。

三菱地所住宅販売株式会社 経営企画室 経営企画チーム 主事 本間 敦氏

 東京都千代田区有楽町に本社を置く三菱地所住宅販売も、その事故によって瞬停に見舞われた。東京電力によると、送電線や変電所の工事や点検のために年4回ほどの切り替えを実施するというが、その際の瞬停あるいは電力低下はコンピュータ機器に大きな影響を与えるものではない。しかし、このときの三菱地所住宅販売のビルでは、約0.5秒というコンピュータ機器が止まるに十分な瞬停だった。ビル内の電灯が一瞬消え、クライアントマシンがすべてリセット状態になる中で、「20台弱のサーバに導入されているUPSのアラームが一斉に警告を発し、管理者端末に電源障害のポップアップメッセージが表示された」(同社経営企画室経営企画チーム主事 本間敦氏)という。

 同社が導入していたUPSのほとんどは、APCジャパンのSmart-UPS。商用電源からバッテリ電源へは2〜4ミリ秒で切り替わるラインインタラクティブ方式のUPSだ。停電とほぼ同時にバッテリ給電に切り替わり、0.5秒後には商用電源が復帰したため、サーバは何事もなく機能を継続できた。

全社120台のサーバにUPSを導入。電源事故に備える

 三菱地所住宅販売の営業拠点網は、東京・千代田区の本社および札幌から九州まで6支店で構成される。各支店配下には店舗があり、さらに新規住宅物件の販売センターがある。この販売センターは、新築分譲マンション建設の際にモデルルームなどといっしょに開設されることが多く、現地での案内および分譲契約の最前線を担う。

 同社の情報システムは本社に基幹系・情報系のシステム中枢を配置、各支店でそれぞれドメインを立て、支店はもちろん、約100カ所の販売センターすべてにサーバを配置している。98年に再構築したシステムは、社内メールやファイルの共有などの情報系をはじめ、販売センターでの契約状況など顧客や売り上げに関するデータなど基幹系のアプリケーションもすべて稼動している。

写真1 三菱地所住宅販売の本社サーバルームに導入されているSmart-UPS

 「販売センターは、新規物件の近くに開設し、短くて1カ月、長くて数年という期間で役目を終えて撤収する。1カ月に10施設ほどが新規に開設され、また撤収されていく」(本間氏)。サーバ数は全社で約120台あるが、その多くが全国の販売センターにあり、短期間で支店のドメイン構成を替えながらロケーションが変化していることになる。「販売センターを開設する場所は、必ずしも安定した電源を供給できるオフィスビルではない。たとえば、新築物件近くにプレハブを建て、建築現場の電源を一時的に借りていることもある」(本間氏)という。建設工事現場の不安定な電源で、工事の関係で電源を一時的に落とすこともあり、サーバを設置するロケーションとして条件が悪いことも多いわけだ。そのため同社では、本社・支店のサーバはもちろん、販売センターに配置するサーバにも必ずUPSを導入することを条件としてきた(写真1)。

 導入されているUPSの多くは、Smart-UPSの700KVAだが、サーバの規模(消費電力)によってそれぞれ電力容量にあったUPSが配置されている。電源管理は、電源管理ツール「PowerChute plus」を利用している。電源異常があれば、ネットワーク経由で本社のシステム管理者に警告がポップアップ表示される。停電が長引けば、サーバのシャットダウン数分前から全クライアントまたは指定のクライアントにブロードキャストメッセージを送信し、サーバからログアウトするよう指示する。

UPSが機能しなければ基幹系データに甚大な被害も

 電源状態が万全でない販売センターでは過去に何回かUPSがバッテリバックアップに切り替わることはあったが、本社サーバが危機に瀕したのは今回が初めてという。サーバがダウンし、業務が完全にストップしてしまうことによる被害も大きいが、それに伴ってデータの破壊があったときの被害の重大さは計り知れない。「本社および支店サーバのディスクはRAID構成にし、すべてのサーバのデータがDLTもしくはDATで毎日バックアップされてはいる。しかし、本社の経理、顧客、リース、流通などのサーバには全国のデータが集まっており、バックアップデータからリストアするような事態になれば、数日間にわたってシステムが機能しないことになる」(本間氏)。

 自衛隊機の事故では、事故現場に近かった埼玉の流通店舗で長時間にわたって停電したため業務がストップしたものの、サーバは安全にシャットダウンしてデータは完全に守られた。瞬停で済んだ本社システムも、UPSによってサーバが止まることなくプロセスは継続された。電源状態が万全でない販売センターにサーバを置くために、従来から電源管理の重要視してきた同社だが、この事故により改めてUPSの重要性を再認識したという(図1)。本間氏は、「電源はいつも正常に供給されるものという感覚が、知らないうちに身についてしまっている。瞬間的な停電であったとはいえ、止まってみて改めてその怖さを再認識した」と事故当時を振り返る。

図1 三菱地所住宅販売のSmart-UPSでバックアップされているシステム(画面をクリックすると全体図を別ウィンドウで見ることができます)
 

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