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@IT > imageWARE Distribution ServerとimageWARE Enterprise Gatewayの合わせ技とは? |
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キヤノンマーケティングジャパンの総合帳票ソリューションは、「imageWARE Form Manager Version 6(以下、Form Manager)」を中心に、帳票の設計、生成、出力といった帳票にかかわる業務をトータルにサポートする。前回はForm Managerによる帳票の設計および生成を中心に解説したが、2回目の今回は、帳票データの印刷などアウトプットを管理する配信サーバ「Distribution Server」と、帳票元となる上位のSAPのERPシステムからのインプットをサポートする「imageWARE Enterprise Gateway for SAP (以下、Enterprise Gateway)」を見てみよう。
Form Managerの主要機能の1つであり、帳票のアウトプット全体をサポートするのがDistribution Serverである。キヤノンマーケティングジャパン ビジネスソリューションカンパニー ソリューションビジネス推進部 イメージウェア販売推進課 チーフ 小穴 隆三氏はDistribution Serverの役割について、「Distribution Serverには、主に3つの機能があります。1つは帳票印刷をすること。2つめは帳票データを管理すること。そして3つめは出力デバイスをコントロールすることです」と語る。
確かに小穴氏が語るように、Distribution Serverは単純な印刷ジョブを管理する配信サーバでない。Form Managerサーバで生成(オーバレイ)された帳票データは、Distribution Serverに保存され、同様にDistribution Serverが管理している出力デバイスに出力(主にプリンタで印刷)される。一見単純に感じるかもしれないが、このアウトプットには、さまざまなプロセスがある。 まず帳票データはすぐに印刷されるとは限らない。保存だけしておいて、後からまとめて印刷するかもしれない。もちろん、印刷されずに、Distribution Serverに保存されるだけの可能性もある。そのため、Distribution Serverは帳票データをルールに沿って正しく管理し、必要なときに検索して印刷できるようになっているのだ。また、印刷に使用されるプリンタは、別のフロアや遠隔地にあるかもしれない。しかし、Distribution Serverでは、ネットワークで接続されたプリンタは、どこにあっても一元的に管理される。プリンタにエラーが発生した場合には、ほかのプリンタ(代替プリンタ)を利用するといったコントロールも可能だ。
小穴氏が語るように、出力デバイスのコントロールも、Distribution Serverの重要な機能だ。1つのDistribution Serverで100台以上の出力デバイスを管理でき、離れた拠点への印刷もWebMonitorからモニタリングが可能となっている。また、出力先はプリンタだけにとどまらず、FAXやメール(PDFファイルに添付)へも出力可能であることから、これらの出力先もプリンタと同様に管理できる。
Distribution Serverで状態を監視することができる出力デバイスに関して小穴氏は、「キヤノン製デバイスとの親和性を重視しているが、基本的に標準プロトコルであるSNMP(Simple Network Management Protocol)の標準プリンタMIB(RFC1759)に対応していればサポート可能です」と述べる。 キヤノン製デバイスでは、標準プリンタMIBとは別に、独自の拡張MIBによって、より詳細なデバイスのコントロールを可能にしている。具体例として小穴氏は、「キヤノンのプリンタや複合機を使っていれば、Distribution Serverで事前にバックアップ(=代替)プリンタを設定できます。例えば印刷の途中で紙切れや紙詰まりで印刷できなくなっても、別のプリンタに“次のページから”続きを印刷できるのです」と語る。仮に通常のプリンタでエラーが発生した場合、印刷のエラーが発生したことは認識できても、何ページ目まで印刷できたのかといった詳細なステータスが把握できないため、別のプリンタに最初から印刷し直さなくてはならない。 さらに、キヤノンならではの機能という点では、imageRUNNERやSateraといったMEAP/MEAP-Lite(注1)に対応したキヤノンの出力デバイスであれば、「imageWARE Output Manager Print Server for MEAP/MEAPLite」との連携によって、遠隔拠点にある出力デバイスとジョブの詳細なステータスを、最終ページが印刷されるまで詳細にモニタリングできるようになる。また、通常Distribution Serverで保証している出力デバイスの数は100台であるが、MEAP/MEAP-Liteと連携することで、最大1000台まで管理可能となる。
Distribution Serverに保存されている帳票は、Form Managerサーバで再度オーバレイを実行することなく、直接再印刷することができるので、トランザクションを軽減することもできる。 Distribution Serverには、管理者用の「配信管理クライアント」が提供されている。直感的で分かりやすい管理画面から、印刷可能なプリンタの登録や設定変更、帳票ごとの保存期間などDistribution Serverが管理している情報をコントロールできるようになっている。
また、保存されている帳票データも、WebMonitorから検索してプレビューや再印刷が実行できる。検索条件には帳票名だけではなく、保存日時や印刷日時、印刷ステータスといったさまざまな条件を指定可能だ。例えば、プリントエラーによって出力されなかった帳票を検索して、後から別のプリンタで出力するといった管理ができる。
帳票で扱われる情報には、顧客情報や財務情報など企業にとって非常にクリティカルなものが含まれていることも多い。そのため、配信される帳票の管理は、極めて重要な問題といえる。Distribution Serverでは、ユーザーの権限を管理し、ユーザーが保存した帳票、印刷ジョブ、出力する権限のあるプリンタをWebMonitorから確認することができるようになっている。
さらに、キヤノンならではのセキュリティ機能として、キヤノン製品を出力デバイスとして利用することで、ハードウェアと連携したさまざまなセキュリティ機能を実現することも可能だ。 例えばimageRUNNERのBOX機能を使い、出力デバイスのディスクに印刷スプールを保存すれば、必要とする人がプリンタまで行って指示しなければ帳票は印刷されない。つまり、プリンタに重要な情報が印刷された帳票が置き去りになっているといった、セキュリティ上の危険を回避することができる。 また、ICカードと連携した認証によって、帳票の印刷をリクエストした人がプリンタまでいって、ICカードによる認証を受けなければ帳票が印刷されないといった機能も実現できるだろう。
帳票ソリューションから見て上位の業務システムに当たるSAPのERPと、Form Managerとの連携を実現するのが、Enterprise Gatewayである。なぜこのような連携の仕組みが必要なのかについて小穴氏は「これまで、SAPデータから帳票を作成する場合、アドオン開発の必要がありました。仮にアドオンプログラム1つの開発コストが30万円だとしたら、10本で300万円です。しかも、SAPがアップグレードした場合、アドオンの動作はサポートされません」と述べる。 通常、SAPなどの上位の業務システムから帳票を作成する場合、アドオンプログラムによって、CSVファイルを加工していた。そのため、1帳票ごとに1つのアドオンが必要となる。もちろん、気軽にカスタマイズすることも難しい。そこで、SAPの標準出力機能を利用して、Form ManagerとSAPをアドオンプログラム開発なしにシームレスに連携させるEnterprise Gatewayを開発したのである。
Enterprise Gatewayを導入すると、Form Managerの帳票設計機能であるForm Editor上で、SAPのデータと帳票フィールドとの紐付けを容易に設定できるようになる。技術的な専門知識がない人でも、容易に帳票の設計が可能だ。これまでのように帳票ごとにCSVファイルに変換するアドオンを開発する方法と比較すると、開発工数は大幅に軽減されていることが分かる。また、項目の追加やレイアウトの変更など、一度設計した帳票のメンテナンスも気軽に行うことができる。
さらに、Enterprise Gatewayは、Distribution Server との連携によって、SAPのERPシステムから帳票の出力のコントロールを可能にしている。小穴氏は「Enterprise Gatewayを導入すると、Distribution Serverで管理している出力デバイスの状態をSAPの画面に表示することができるようになります」と述べる。 Enterprise Gatewayは、Distribution Serverから出力デバイスの状態を取得し、その結果をSAP標準出力インターフェイスであるBC-XOMを利用してSAP側に表示できる。つまり、SAPのクライアントから帳票出力の処理状況を把握できるのである。さらに、プリントジョブの操作も可能なので、間違った帳票を出力しても、急いで印刷ジョブをキャンセルできるようになる。そのほか、配信印刷や自動代行印刷といったDistribution Serverの設定で実現するさまざまな機能も利用できる。
今回はForm Managerのアウトプット機能であるDistribution Serverと、上位の業務システムであるSAPからのインプットをサポートするEnterprise Gatewayに注目した。キヤノンマーケティングジャパンでは、上位の業務システムから、より下位の出力デバイスまでを統合することで、帳票にかかわる業務の大幅な効率化と、開発コストの軽減を可能にしている。 ちなみに、キヤノンマーケティングジャパンでは、SAPのほかにもOracleのERP(Oracle E-Business Suite)に対応する専用のコンカレントプログラムや、各種のWebサービスに対応するためのコンポーネントを用意している。つまり、Form Managerを中心とした統合帳票ソリューションは、帳票の設計、生成、印刷、管理といった帳票にかかわる業務プロセスをSOA「サービス」として利用できる仕組みを提供しているのだ。 次回は、ビジネスプロセスと帳票ソリューションを連携するWebサービスやSOAの試みについて解説する予定である。
提供:キヤノン株式会社・キヤノンマーケティングジャパン株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT編集局 掲載内容有効期限:2007年1月19日 |
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