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数十万枚の伝票処理を、
高性能OCRと生産性の高い制御ソフトで実現
 

 

 企業向けのパッケージソフトウェアとして、IT資産などを管理する「AssetViewシリーズ」やドキュメント管理システムの「Alchemy」などの開発、販売を行っている株式会社ハンモック。同社はこれらのパッケージを基にしたソリューション提案も行っている。

前@IT発行人、現Publickey編集長 新野淳一氏
聞き手:
前@IT発行人、現Publickey編集長
新野淳一氏

 同社が大手卸問屋向けに開発したシステムが、同社のOCR(オプティカル・コード・リーダー)のパッケージソフト「TeleForm」と、キヤノンのスキャナーの組み合わせを基にした「商品受領書管理システム」である。納入先から毎日受け取る数十万枚近い受領書を、正確にスキャンしてイメージ・データ化、これをOCRで解析するという膨大な処理をこなすものだ。

 このシステムを同社は2人のエンジニアにより約3カ月の工数で開発したという。前@IT発行人の新野淳一氏が、開発のポイントや課題などを、営業を担当した米野雅士氏と、プロジェクトマネージャを勤めた平郡徹哉氏に聞いた。

読み取り枚数は、1日数十万枚

新野 今回のシステムの概要を教えていただけますか

株式会社ハンモック 営業本部 担当課長 米野雅士氏
株式会社ハンモック
営業本部 担当課長 米野雅士氏

米野 大手卸問屋の受領書を管理するためのシステムです。全国各地にある営業所で毎日発生する数十万枚の受領書をスキャンし、データベース化して管理します。

新野 数十万枚という紙の伝票が毎日発生するのはすごい数ですね。

米野 受領書というのは、物品を納品したお客さまから「確かに受け取りました」という証拠として受け取る伝票です。納品したらこの受領書を発行し、お客さまから受領印をいただいて回収することになっています。卸問屋さんにとって非常に大事な伝票です。

 受領書の枚数が膨大なので、システム化以前は回収状況がすぐには把握できない、という状況がありました。受領印をもらい忘れたり、受領書を営業車の中に忘れてきた、といったケースがあってもすぐには把握できませんでした。また、お客さまからの取引状況に関するお問い合わせがあっても調査に時間がかかり、すぐに対応することが難しい、といった問題を抱えていらっしゃいました。

 こうした課題を解決する方法を検討した結果、OCRを使って受領書を読み取り、すでにシステムの中に入っている発行済み受領書用紙のリストと付け合わせをする、というシステムを提案させていただきました。これによって、未回収の受領書がシステム的にチェックできます。

新野 なるほど。このシステムによって課題は解決したのでしょうか?

米野 受領書の受け渡しミスが減って回収率が向上し、営業マンの作業効率が向上したそうです。それだけではなく、情報がデータベース化され、問い合わせにもすぐに対応できるようになりましたし、受領書を電子ファイル化できるようになったので、記録と保存も改善されたと評価いただいています。

新野 開発工数はどれくらいでしたか?

平郡 2人のプログラマと品質管理担当が2〜3人というチームで、開発の期間は3カ月。3カ月というのは、比較的がんばって短納期にした、という期間です。今回はお客さまにとっても大量の受領書をシステムで処理するというのは初めてで、やってみないと分からない面が多くありました。そこで段階的に導入していったこともあり、3カ月という期間でシステムの全体像を構築しました。

証拠能力を考えると紙の伝票は必要
新野氏
新野淳一氏

新野 流通のシステム化というと、タッチパネル端末やPOSシステムの導入により、そもそも紙でのやりとりをなくす方向で行うケースもあります。今回はなぜ、紙での伝票のままスキャナーやOCRによるシステム構築となったのでしょうか?

米野 システムの要件として、納品先から「確かに受け取った」という確認のために受領印をもらう必要がありました。また、取り扱う商品が特殊ですので、受領書の原本を保管しなければいけない、といった規制があるとも聞いています。

新野 なるほど。大事な品物の受け渡しにかかわるものでは、紙による証拠能力を簡単にほかのもので置き換えることはできない、ということなのでしょうね。そう考えるとこの例に限らず、スキャナーとOCRによるシステムの活躍できる場所は十分にあるといえそうです。

生産性の高い制御ソフトが選択理由の1つ

新野 今回のシステムでは、キヤノンのスキャナーが選択されています。どのような評価をされて選択にいたったのか教えてください。

株式会社ハンモック 技術本部 係長 平郡徹哉氏
株式会社ハンモック
技術本部 係長 平郡徹哉氏

米野 実際には3社のスキャナーを試しました。受領書が複写式だったので、薄い紙でも紙詰まりなどなくちゃんとスキャンできるかどうか、それから受領書の枚数が膨大なため、一度にどれくらいの枚数をトレイに載せて読み込めるか、といったことがハードウェアとしてのスキャナーのポイントでした。キヤノンのスキャナーはそこをクリアし、かつ制御ソフトウェアとしてのCapturePerfect SDKの使いやすさを評価しました。

新野 キヤノンのCapturePerfect SDKは、Visual BASICから呼び出せるOCX形式にも対応しています。一般によく使われるスキャンAPIのTWAINなどと比べて性能や機能の面などで不安はありませんでしたか?

平郡 最初にCapturePerfect SDKを評価したときに、命令を渡すだけで使えるという使いやすさが非常によく、性能の面でも問題のないことが分かりました。ですので、特に不安を感じることはありませんでした。

新野 スキャナー周りの開発をされたプログラマの方は、専門的な知識を持った方だったのでしょうか?

平郡 スキャナーの専門家ではありませんが、Visual BASICの経験はあるエンジニアでした。そのスキルで十分にスキャナー周りの開発も行うことができました。

新野 システム全体の開発期間は約3カ月とおうかがいしました。スキャナー周りの開発にはそのうちのどれくらいを費やしたのでしょうか?

平郡 スキャナー周りだけにかかった開発期間、というのは一概にはいえません。特別に工数がかかったということもありませんでした。実際にアプリケーションの開発と並行して行ったため、システム全体でかかった3カ月とほぼ同じ時期にスキャナー周りの設計から完成までの工数もかかっていた、といえます。

開発中に発生した問題は?

新野 開発中に発生した問題はありましたか? また、スキャナーの制御ソフトの機能が不足していて、結局自分たちで作り込まなければならなかった、といった部分などはあったのでしょうか?

平郡 システムを実現するうえで、自分たちで作り込まなければならない、といった機能不足はありませんでした。制御ソフトから機能を呼び出せば、あとは処理を任せて問題なく結果を受け取ることができていたので、かなり使いやすかった、というのが私どものCapturePerfect SDKに関する評価です。

 あえていえば、いま何枚スキャンしたか、というステータスを取得する機能でマニュアルには載っていない部分がありました。そこでキヤノンのサポートに連絡をし、何度かやりとりをして問題を解決できました。

 キヤノンのサポートもよかったと思います。メールで技術的な質問を送り、いついつまでに回答が欲しいと書いたところ、ちゃんとその期日までに何らかの回答をもらうことができましたから。

新野 とはいえ、ハードウェアとソフトウェアの境界で問題は発生しやすいのが一般的です。例えば、スキャンしたようにみえて、実際には何らかのトラブルで制御ソフト側に変なデータが渡されて、不整合が起きている、といったことは現実にはありますよね?

平郡 そういったケースがあることもテストしていく中で分かりました。ですからエンドユーザーには特別な処理をさせずに済ませるようにしたかったので、その部分は作り込みをしています。しかしながら、作り込みをした部分は多くなく、そういう面での信頼性も非常に高かったと思います。

顧客も高く評価する安定稼働のシステムに

新野 今回は数百台のスキャナーを含むシステムを全国に配備されていらっしゃいますね。運用が開始されたあとで、開発時には想定していなかったことやトラブルはありませんでしたか?

平郡 もちろん、たくさんあります(笑)。ただ、導入は怖いくらいトラブルもなくスムーズにいきました。

 実際に運用が始まると、アプリケーションの操作に慣れず、想定した結果にならなかったこともありました。逆に、慣れていただくにつれて便利で使いやすいという評価をいただき、どんどんと受領書を読み込ませて、処理すべきデータが予想以上に増大して嬉しい悲鳴があがっている、ということもあります。

ハンモック「商品受領書管理システム」の画面例
ハンモック「商品受領書管理システム」の画面例

 そこで、想定していた以上のデータを処理するため、運用が始まってからシステムを調整した経緯はあります。これは本部でのOCR処理アプリケーションの部分です。逆に営業所に置いてあるスキャナー周りや関連アプリケーションについては安定稼働しており、導入後の調整や手直しはなく順調です。

新野 ハードウェアと連携する部分は導入後も微調整などが必要なケースがあると想像していましたが、安定稼働しているのは意外でした。

 無事稼働を始めたシステムを振り返って、いかがですか。

平郡 今回、OCRの認識率にお客さまはこだわっていらっしゃって、数値でいうと0.5%以内、すなわち1000枚読み込んで誤認識が5枚以内というものでした。OCRで認識しなければならない受領書の文字は活字ですが、複写式なので用紙は薄く、受領印などを押したり手渡されたりするためシワや汚れもありますので簡単ではありませんでしたが、誤検知の機能などもうまく作り込むことができました。

 短い工期で顧客満足度の高いシステムが構築できたのは、弊社のパッケージソフトの性能と、CapturePerfect SDKのような生産性の高い制御ソフトをうまく組みあわせることができた結果だと考えています。

取材協力
社名:株式会社ハンモック
本社:〒169‐0075 東京都新宿区高田馬場1‐30‐4 30山京ビル7/8F
事業内容:パッケージソフトウェアの開発・販売、パッケージソフトウェアの組み合わせによるソリューションの開発・販売

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〜CapturePerfect SDK 導入事例紹介〜

提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社
キヤノン電子株式会社

アイティメディア営業企画
制作:@IT情報マネジメント編集部
掲載内容有効期限:2009年06月30日