ストレージの管理が
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デルの「Dell EqualLogic PS 5000シリーズ」は発想が従来とはまったく異なるストレージ製品だ。それ自体が仮想化されており、自律的な運用の最適化を行えるようになっている。このため導入や運用の作業には専門知識をまったく必要としない。デルの提唱する「ITのシンプル化」のあるべき姿をこれほど具体的に分かりやすく示してくれる製品はない。
デルのストレージ製品ラインナップと イコールロジックの位置付け |
前回の記事「ITインフラ全体の“正しい仮想化”を実現するデル/イコールロジックのストレージ」 では、Dell EqualLogic PS 5000シリーズがサーバ仮想化にどのように適しているかを解説した。そのことはもちろん確かなのだが、同シリーズは設計思想からして、従来のストレージとは根本的に異なっており、独自の自律的制御/最適化機能が、幅広い用途において同シリーズの価値を際立たせている。
では、そもそもデルのストレージ製品群のなかで、PS 5000シリーズはどのように位置付けられているのだろうか。
デルはユーザー企業における個々のニーズに対応する豊富な選択肢を、サーバ製品だけでなくストレージ製品でも提供している。まず、サーバ機に内蔵のディスクドライブでは対応しきれない量のデータを扱うための中小規模向け外付けストレージシステムとしてMDシリーズがある。MDシリーズはSAS(Serial Attached SCSI)ケーブルによる直接接続あるいはイーサネットケーブル経由のiSCSI(MD3000iの場合)で、少数台のサーバのデータを統合的に収容できる。小規模から中規模のファイル共有では、NAS製品のPowerVaultシリーズがある。
一方、中小規模から大規模のストレージ製品としては、Dell|EMCブランドのAX4/CX4シリーズがあり、PS 5000シリーズも中規模から大規模向けのストレージとして提供されている。規模感や価格帯でいえば、PS 5000シリーズはDell|EMCのCX4シリーズと重なる部分がある。ではPS 5000シリーズとCX4の位置付けはどう異なるのか。
デルはそれぞれ特色を持ったストレージ製品シリーズで豊富な選択肢を提供している(クリックで拡大します) |
CX4は基本的にはファイバチャネル・ストレージであり、ミッションクリティカルな業務システムを安定的に高いパフォーマンスで、高い保護性能とともに運用したいというニーズに確実に応えることができる。収容可能なデータ量の上限も非常に高い。
一方、PS 5000シリーズは「ビジネスクリティカル」なアプリケーションのためのストレージだと形容することができる。ビジネスクリティカルとは、ユーザー企業のビジネス展開において、なくてはならないものという意味だ。企業のビジネス展開においては、予測が不可能なことが多い。ビジネスに直接関連するITについても、数年間にわたるデータの増加ペースを事前にすべて把握できないことは多い。新商品の発売でアプリケーションを迅速に立ち上げなければならなくなるケースもあり得る。
ストレージにも、安定したパフォーマンスを発揮する一方で、急な要件変化に対応できる柔軟性や俊敏性が求められる。PS 5000は従来の製品とはまったく異なる設計のもとに、導入や運用の自動化を究極まで推し進め、柔軟性や俊敏性を実現している。だからこそサーバ仮想化にも最適なのだ。PS 5000はデルが提唱する「ITのシンプル化」に最も近いストレージといえる。
PS 5000シリーズはそれ自体が 仮想化ストレージ |
PS 5000シリーズは、「仮想化ストレージ」だ。その意味は2つある。
PS 5000シリーズではPSアレイの全ドライブを1つのRAIDグループとして構成するので管理が簡単だ(クリックで拡大します) |
1つ目の意味は、ストレージコントローラと16本のディスクドライブで構成される「PSアレイ」の内部で、高度な分散化とロードバランスが行われていることにある。PSアレイでは1種類のRAIDタイプを設定することができ、設定したRAID上にボリュームを作成する。各ボリュームは「ページ」と呼ばれる数Mbytesのデータ単位で構成される。すなわち、「ページ」の集合体がボリュームである。
従って、PSアレイへのデータの書き込みは、多くの場合この16台に並列的に実行され、これによってパフォーマンスが大きく向上する。また、PSアレイの各コントローラは3つの1Gbイーサネットポートを備えている。ストレージに接続されるサーバが複数台ある場合、3本のケーブルで同時に各サーバからの書き込みデータを受け取り、並列処理を行える。ここでも負荷分散によるパフォーマンスの向上を実現している。
「仮想化ストレージ」の2つ目の意味は、まず1台のPSアレイからはじめ、ストレージ容量やパフォーマンスが不足した場合には、PSアレイを必要に応じて積み木のように追加していけばいいということにある。PS 5000シリーズでは複数のPSアレイにまたがってストレージ領域を広げることができ、あたかも1台の大きなストレージであるかのように管理できる。
ストレージ領域の拡張は、新しいPSアレイを既存のストレージグループに参加させる作業だけで済む(クリックで拡大します) |
PSアレイの台数を増やしてストレージ領域拡張を行う際の設定作業はいたってシンプルだ。追加するPSアレイの電源ケーブルとイーサネットケーブルを接続すると、同じネットワークに接続されているPC上の管理ツールから未設定のPSアレイを発見することができる。そこで新規のPSアレイに対し、アレイ名やIPアドレス、デフォルト・ゲートウェイなどの情報を入力し、次にこのアレイで利用するRAIDタイプを設定。そして既存のアレイグループ名を選択して新規アレイを参加させると、あとはこのアレイが扱う既存のボリュームを設定する。これで、既存のボリュームは新規のPSアレイに拡張される。
人間が行う作業はたったこれだけだ。従来型のストレージのように、専門エンジニアに作業を依頼する必要はない。従って無駄な管理コストを費やさなくていいし、何よりも迅速に対応できる点に大きなメリットがある。このあとは、ストレージコントローラ側で自動的に、既存のボリュームに収容されているデータ(ページ)の一部を新規アレイのディスクドライブに移動し、データ(ページ)を分散配置する。1台のPSアレイでは、データ(ページ)が16台のディスクドライブに分散して書き込まれていたが、2台の構成になると32台のディスクドライブに分散書き込みされることになり、パフォーマンスは単純計算で2倍になる。
PS 5000シリーズはストレージに対する読み書きのための通信手順として、コンピュータとディスクドライブとの間の信頼性の高い通信手順として長い間利用されてきたSCSIを、TCP/IP上に載せたiSCSIプロトコルを用いている。中〜大規模のネットワーク接続型ストレージでは、ファイバチャネルという通信手順を使っているケースがこれまではほとんどだった。しかし、PS 5000ではIPベースのiSCSIプロトコルを採用し、これを使って従来のストレージと異なる使い勝手を実現している。
iSCSIなので、ファイバチャネルの場合のように専用のスイッチは要らない。一般的なイーサネットスイッチを利用できる。接続の設定も、インターネットにPCを接続する作業とさして変わりがなく、専門知識が不要だ。そして前述のように、複数のケーブルにまたがってサーバからのトラフィックを負荷分散することができ、接続本数の増加とともにパフォーマンスを向上することができる。多数のドライブへの分散書き込みと併せて、PSアレイを増やせば増やすほどデータの読み書きの速度は上がっていくのだ。
PS 5000シリーズだけで完結した ストレージ・ソリューション |
PS 5000シリーズには、SASドライブの採用により安全性と高速性を確保した「PS 5000XV」「PS 5000X」に加え、容量をリーズナブルに確保するためにSATAドライブを使用した「PS 5000E」のラインナップがある。また、9月にSATAドライブを活用して大容量を実現する「PS 5500E」が発表された。PS 5500EはPS 5000XVやPS 5000X、PS 5000Eと並べて仮想ストレージの構成に加わることもできるが、SATAドライブの低いバイト単価を生かして、これら3モデルのバックアップ用ストレージとして活用することができる。すなわち、PS 5500Eの発売により、PS 5000シリーズだけで1次ストレージとバックアップを組み合わせ、ストレージ・ソリューションを完結できることになった。
遠隔レプリケーションの設定も非常に簡単。複製先と複製元をそれぞれIPアドレスなどで指定すればいい(クリックで拡大します) |
PS 5000シリーズではスナップショットやレプリケーションをはじめとする高度なソフトウェア機能がすべて標準搭載されている。こうしたソフトウェア機能を利用する際の設定も、PS 5000シリーズならではの簡便さでできる。これを使わない手はない。
例えば1台のPS 5500Eに複数のPS 5000シリーズ・アレイのデータを統合的にレプリケーションする設定をしておく。すると万が一、あるPSアレイが完全に止まってしまったとしても、サーバはレプリケーション先であるPS 5500Eのデータを使って業務をすぐに再開することができる。同じような構成を、IPネットワークで接続された遠隔地の拠点間で組めば、ディザスタ・リカバリ(DR)のシステムが出来上がったことになる。PSシリーズのレプリケーションでは、Windows ServerのVSS(Volume Shadow Copy Service)に対応しているため、稼動中のWindows Serverを止めることなくレプリケーションを実行することができる。
Windows ServerをMSCS(Microsoft Cluster Service)でクラスタ化したものを対象としてレプリケーションを実行したい場合は、PSシリーズだけではできないが、シマンテックのバックアップ・ソフトウェア「Symantec Backup Exec」などを併用すれば比較的簡単にシステムを構成可能だ。
BackupExecを併用し、MSCS構成のWindows Serverを遠隔レプリケーションする (クリックで拡大します) |
ディザスタ・リカバリではVMware Infrastructureのオプションソフトウェアである「VMware Site Recovery Manager」に対応していることも見逃せないポイントだ。これにより、メイン拠点で稼働しているVMwareの仮想サーバについて遠隔地の拠点のPSアレイにレプリケーションしておき、メイン拠点が万が一機能しなくなった際には遠隔地の拠点で自動的に適切な手順で仮想サーバを立ち上げるというシステムが簡単に組めるようになっている。
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提供:デル株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年11月29日
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限られたITリソースでいかにディザスタ・リカバリに対応するか。この重要な課題に「仮想化環境の活用」という新しい解決法を示す製品が登場した。なぜシンプルなディザスタ・リカバリが可能なのか? 製品紹介とともに、その謎に迫る。 |
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SANでポイントインタイムのデータスナップショットを作成するプロセスは複雑だ。だが、「Dell EqualLogic PS シリーズ」はある機能を搭載することで、そのプロセスを簡易化。運用負担の掛からないデータ管理を実現する。 |
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デル Dell EqualLogic PS 5000 シリーズ ITのシンプル化とは 仮想化ソリューション |
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