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@IT > Exchange Server 2007への移行 落とし穴を避けてパワーを解き放て! |
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企業にとってメールやスケジュール管理は、いまやなくてはならない重要なシステムだ。これらのシステムに何らかのトラブルが発生すると、会社全体の業務が止まりかねない企業もある。この、ビジネスの継続的な稼働を保証するクリティカルともいえる重要なシステムを、日々管理しているIT部門の担当者にとっては、現状大きなトラブルもなく稼働できているのであれば、何か重大なトラブル要因でも抱えていない限り、できることならシステムはそっとしておきたいはずだ。 とはいえ、メールやスケジュール管理システムを移行しなければならない状況も生まれる。その理由はさまざまだが、最もよくあるのは利用しているハードウェアのリース期間満了や、古いOSやソフトウェアのサポート切れが間近に迫るというもの。あるいは、ユーザー数の増加などが原因で、現状環境の性能や機能、安定性に不安、不満があり、環境を一新したいという理由もあるかもしれない。 「最新機能やOutlook 2007との連係機能の利用というメリットもありますが、ハードウェアの更新を機に最新の64bit環境の性能をフルに活用したパフォーマンスの向上が、Exchange Server 2007への移行を強く勧める理由です」 デル株式会社 ソリューション・サービス本部 インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス コンサルティング第2部 テクニカル コンサルタントの森嶋修平氏は、Exchange Server 2000/2003から2007へ移行することで、大きなパフォーマンスの向上が期待できると話す。2000/2003の環境でなかなか性能が確保できないため、複数のメールボックスサーバを導入しているような場合には、2007への移行でサーバ台数の削減も可能。さらに、安定性、信頼性、セキュリティの向上やコンプライアンスへの対応など、Exchange Server 2007への移行メリットは大きいという。 ■Exchange Server 2007移行時に注意すべきポイントとは
とはいえ、いざ移行しようとする際には、単純に環境を載せ替えるだけで完了するわけではない。新しい環境で十分に機能、性能を発揮できるよう、細部にわたり調整しなければならない。そのためには、移行の際に気をつけておくべき重要なポイントがいくつかある。 「Exchange Server 2000/2003から2007への移行のための情報は出そろいつつありますが、一般に入手できる情報以外にも、いくつか押さえておくべき重要なポイントがあります」(森嶋氏) Exchange Server 2000/2003からの移行を行うに当たっての最初のポイントは、既存ドメインコントローラがExchange Server 2007の前提条件を満たしているかどうかだ。Windows Server 2003 SP1 のグローバルカタログサーバがローカルサイトに必須であり、Windows 2000 のグローバルカタログサーバは存在してはいけない。 しかし、Windows 2000の単なるドメインコントローラであれば存在していても問題はないため、ドメインレベル、フォレストレベルはWindows 2000 ネイティブで問題はないが、フォレストレベルを Windows 2003 にすることにより、Active Directory 複製における差分同期(LVR) 等のメリットが得られる。可能であれば、このタイミングで完全に Windows Server 2003 ネイティブの環境へ移行することを強く推奨している、と森嶋氏はいう。 また、2000/2003と2007では、メールのルーティング仕様が変更されており、このための注意もいくつかある。例えば、既存のExchange Serverが1セットのMSCSクラスタ構成となっており、フロントエンドのサーバが存在しない場合には、このまま一気に2007へ移行することはサポートされないので、いったんフロント用のハブサーバを用意する必要がある。他にも、Exchange 2007 では複数の送信コネクタが存在しても、自動的に再ルーティングする機能がないため、2000/2003 のSMTP コネクタとイコールと考える事はできない。 「一般にも出ている情報ですが、ハブ・トランスポートサーバを複数追加する際には、1台目は自動接続されますが、2台目以降は手動で接続しなければなりません。細かいことですが、スムーズな移行を進めるには、こういったポイントにも気を付けておくべきです」 ソリューション・サービス本部 インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス コンサルティング第2部 テクニカル コンサルタントの木村亮介氏は、公開されているが情報が英語だけであったり、マイクロソフトのWebサイト上の各所に分散されていることもあり、事前に十分に情報収集をしておくことを勧めるという。
「Active Directory のグローバル・グループを配布グループとして使用している際には、Exchange Server 2007では注意が必要です。グローバル・グループはExchange 2007の配布グループとしては利用できないので、ユニバーサル・グループにすべて変更しなければなりません。グローバル・グループを多数用いてメール配布を行っている環境も多いので、この仕様変更は顧客にかなり大きな影響を与えるため、事前に十分に調査し注意しておく必要があります」(木村氏) このほかにも、パブリックフォルダのツリー構造は別途移行しなければならない、過去との互換性確保のために移行前の管理グループの名前を消去しないなど、移行マニュアルには出ていない情報も多数あるとのことだ。 また、メールボックス移行の進め方で注意しておくべきことがある。当然ながら、顧客からはExchange 2007への移行期間を短縮したいという要望が出てくる。ITシステム担当のほうでサーバ側でメールボックスの移行作業を実施するとなると、ユーザーがメールを利用していない土日を作業日に充てるしかないなどの制約条件で時間がかかる場合が多い。そのため、各ユーザーに個人用フォルダのPSTファイルを取得してもらい、移行後にそれをユーザーの手で新環境に戻してもらう方法をとる場合がある。 この方法はユーザー数が少ない場合には問題にならないが、大勢のユーザーが一斉にPSTファイルを戻す作業を実行すると、サーバが高負荷で停止してしまうことがある。これは、Exchange Server 2007からインデックスの作成が既定で有効となっているため、サーバ負荷の高いインデックス作成の処理が一気に開始されてしまうためだ。 「この状況を避け、メールボックスの移行期間を短縮したい場合は、アーカイブ機能の利用も非常に有効です。移行のタイミングで導入することにより、今後のメール環境のコンプライアンスへ対応できる等のメリットも非常に大きいため、ぜひ利用することをお勧めします」(森嶋氏) ■ユーザーの利用状況に最適なシステム構成を提案する Exchange Server 2007の性能は、このソフトウェアが64ビットに移行したことで、大幅に向上している。 「最も大きく性能向上に貢献しているのが、メモリ空間の拡大です。メモリを搭載すればするほど性能が向上するといっても過言ではありません。デュアルコア、デュアルソケットのPowerEdge 2950に16GB程度のメモリを搭載したサーバ1台で、5000ユーザー規模でも十分に利用できます」(森嶋氏) Exchange Server 2003 の時代には、1メールボックスサーバで3000ユーザーくらいまでというユーザー数の指標があったが、Exchange 2007についてデルで検証した結果としては、1サーバで8000ユーザーくらいまでは楽に運用可能だとのことだ。とはいえ、現実的にはシングルサーバでの運用は勧められない。冗長性を確保しシステムの信頼性を向上させるためには、ロールごとにサーバを分離することが推奨される。 「ハブトランスポートとクライアントアクセスの役割を同居させて冗長構成として2台、メールボックスはMSCS冗長化構成として2台、最低でもこの合計4台の構成を推奨します。実際にトラブルを経験しないとなかなか理解されにくい面もありますが、いまやメールはミッションクリティカルなシステムと同様な存在です。冗長化やバックアップは極めて重要です。デルでは、顧客の状況に応じ、これらに加え災害対策のシステム構成も提案しています」(木村氏) 企業の内部統制確保のためにも、メールシステムのバックアップはいまや極めて重要だ。デルではストレージベンダのEMCとの協業による「Dell|EMC CX」ブランドでSAN (Storage Area Network)およびDAS (Direct Attached Storage)環境のためのストレージソリューションを提供している。このCXシリーズのストレージとEMCの「Replication Manager」というソフトウェアを組み合わせることで、オンライン状態のままディスクからディスクへ瞬時にクローンを作成することが可能だ。 「この機能を利用すれば、数100GBのメールボックスも瞬時に複製できます。ストレージ内で複製するので、バックアップを取得している際にサーバへの負荷はほとんどありません」(森嶋氏) バックアップ環境も含め、デルにはExchange Server 2007運用のためのシステム構成のベストプラクティスが用意されている。すでに海外では数百、国内でも20件以上の導入実績もあり、その経験とノウハウが社内に蓄積され共有する体制が確立している。単にベストプラクティス構成を提示するだけでなく、顧客環境のExchange Serverの具体的な利用状況に即したシステム構成を提案する、「アセスメントサービス」も提供している。 「Windowsサーバのパフォーマンス監視ツールなどを利用し、現状の利用状況の情報を詳細に取得して、それをもとに必要なシステム構成要素の洗い出しを行います。サーバだけでなく、ストレージはどのようなRAID構成を採用すべきか、さらにメールボックスはどのように分割すべきか、ハードウェアについてもソフトウェアについても顧客の利用状況に最適な構成を提案できます」(森嶋氏) 「単純にストレージを分散しI/Oパフォーマンスを向上させるだけで、システム全体の性能が向上するとは限りません。特定グループのユーザーだけが利用頻度が高い場合にどうグループを分割すべきかというように、顧客の利用状況の観点からトータルで最適なサイジングを提案します」(木村氏) 顧客視点でハードウェアとソフトウェアの最適な関係を提案できる。これがハードウェアベンダとしてすでに数多くのExchange Server 2007導入経験を持つ、デルのサービスの優位性となっている。システム更新時期を間近に控えてはいるものの、Exchange Server 2007への移行に少し躊躇しているのならば、ノウハウ豊富なプロフェッショナルサービスを期待できるデルに、一度相談してみるといいだろう。
提供:デル株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2008/5/31 |
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