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PR:工事進行基準適用直前対策セミナーレポート

 @IT情報マネジメント編集部主催の「工事進行基準適用直前対策セミナー 〜見積もりと進ちょく管理の肝を大公開〜」が、2月17日に都内の青山ダイヤモンドホールで開催された。

 2009年4月より日本の受託ソフトウェア開発業も、原則として売上計上の基準として工事進行基準が適用される。適用開始を直前に、見積もり、進ちょく管理、そして会計管理の面で、開発現場や経理担当者は、どのような準備を整えておくべきなのか。セミナーは、受託開発業者、ユーザー企業に対して、直前期に押さえておくべきポイントを提案する内容となった。

 簡単におさらいしておくと、従来の工事完成基準は、工事が完成し、引き渡しが完了した時点で売り上げを計上する会計基準であった。それに比べて工事進行基準では、工事の進行程度に応じた売り上げをその期に計上することとなる。

 それでは、当日行われたセミナーの4つのセッションの概要を紹介しよう。

セミナーレポート インデックス
基調講演
工事進行基準の直前期における留意事項
――ベリングポイント
セッション1
工事進行基準で求められるプロジェクト管理会計とは
――日本コンピュータ・ダイナミクス
セッション2 「MA-EYES」で実現する高度なプロジェクト管理〜進行基準への対応〜 ――ビーブレイクシステムズ
実践事例
セッション
ついに来た! 工事進行基準! 結局現場は何をするの?〜すでに取り組んでいる開発現場よりのメッセージ〜――オープントーン

基調講演品質管理部門を設置し、社内ルールの徹底が肝心
ベリングポイント

ベリングポイント シニアマネージャー 公認会計士 山田和延氏

 ベリングポイントのシニアマネージャーで公認会計士の山田和延氏は、米本社に合わせていち早く工事進行基準を採用してきた経験から、工事進行基準適用に向けて、体制構築の最終段階に確認しておくべきポイントを語った。

 工事進行基準は、「工事収益総額」「工事原価総額」「工事進捗度」の3つを、信頼性をもって見積もることができる場合のみ適用される。企業の実態を正しく反映しやすいというメリットはあるが、原価や売り上げの計上を操作しやすいというデメリットもある。よって、山田氏は、「見積もり、受注、進ちょく管理、損益計算のあらゆる点で、全社的に統一された厳密な全体ルールの策定が必須」と述べた。

 その全体ルールを定め、全社に周知徹底し、管理する機能を持った専任の「品質管理部門」を設置することを、山田氏は直前期の重要事項として挙げる。

 品質管理部門はまず、「工事収益総額」「工事原価総額」「工事進ちょく度」を算出する根拠となる方法を定める必要がある。信頼性確保のためには、「WBS(Work Breakdown Structure)や見積もりシートなどの必要書類を定義し、承認ルールを統一化し、メンバーの実績を正直に入力・報告させる仕組みを徹底させねばならない」と強調する。

 また、工事進行基準の適用は、取引契約単位で行うものなので、例えば「5000万円以上の案件に工事進行基準を適用し、それ未満のプロジェクトは、従来どおり工事完成基準とする」など、プロジェクトの規模と重要性によって、あらかじめどちらの基準を適用するのかを定めておく必要がある。さらに、やむなくプロジェクト途中段階において会計基準の変更を行う場合のルールや、契約未締結のままプロジェクトを走らせる場合のルールも策定しておくべきと指摘する。

 経理部門の直前期のポイントは、最終的に財務数値に落とし込まれる要素をどう処理するのか、そのルールの標準化である。予算策定、予実対比、見積もり修正の方法や、プロジェクトコードの発行・閉鎖ルール、子会社間の連結消去、赤字時の引当金の設定基準などの明確化などが確認事項となる。

 特に実績集計に基づく予定原価の設定法と、現金回収のタイミングは厳密にする必要がある。工事進行基準では、管理会計上の売り上げと、実際の売上金回収が同時とは限らないため、キャッシュの担保は常に気を付けておかねばならない。営業部門とも連携し、特に与信管理に気を配る必要がある。

 そのほか、進ちょく管理においては、なるべく外注先も入れた週次ミーティングを開催し、そこで外注先の進ちょくを把握すること、多重下請けはなるべく避けることなども指摘した。

 最後に説明したのは内部統制との関連についてだ。「内部統制と工事進行基準の組み合わせは、史上最悪の組み合わせ」と苦笑しながら山田氏は指摘した。

 工事進行基準は、売り上げ、売上原価、棚卸し資産、引当金などに関係することから、それだけ固有リスクが高いものである。そのため、特に工事収益総額、工事原価総額、工事進ちょく度の見積もりプロセスは、「できるだけ客観的な資料に基づいて計上する、一定の品質を保つための社内の処理ルールを定める、適正性を検証する承認体制を構築しておく」ことが重要だと解説した。

セッション1実行予算の厳密な策定と進ちょく把握が必要
日本コンピュータ・ダイナミクス

日本コンピュータ・ダイナミクス
パッケージソリューション推進部
取締役 部長 岸賢氏

 工事進行基準の直前対策として参考になるのは、実際に厳密なプロジェクト管理会計と、それに基づく工事進行基準の早期導入を行っているソフトウェア開発企業の取り組みだろう。

 日本コンピュータ・ダイナミクスは、10年ほど前からプロジェクト管理会計システムを導入している。そのノウハウを基にオービックビジネスコンサルタントと共同開発したのが、「プロジェクト管理会計テンプレート for 勘定奉行V ERP」だ。このパッケージは、「勘定奉行(個別原価管理編)」上で動作する。

 日本コンピュータ・ダイナミクス パッケージソリューション推進部 取締役 部長 岸賢氏は、これまでの経験を基に、工事進行基準に対応したプロジェクト管理会計について、プロジェクトマネージャが押さえておくべきポイントについて説明した。

 まず、岸氏が情報システム企業を取り巻く環境として挙げたのが、工事進行基準への対応、内部統制、未曽有の経済危機だ。これらの対応策の1つとして、プロジェクトコードを必ず起票して追跡可能な仕組みを作り、恣意性が入る余地を少なくさせ、プロジェクトが終わらないと分からないような採算を、「見える」よう損益を数値化して、早めの対策を打ち立てるよう提言した。岸氏は、「これからはプロジェクトマネージャも、品質のみを優先する技術思考から一歩進んだ『ビジネス思考』を養い、常にプロジェクトの採算を把握する計数感覚を身に付けることが重要」と強調する。

 工事進行基準において一括請負契約でプロジェクトを進める場合は、実際の財務会計とは別に、プロジェクト管理会計上仮売り上げ(売上出来高)と仕掛かり原価を月ごとに案分し、予定損益を把握する「プロジェクト実行予算」を作成しなければならないとする。この予測される損益と進ちょく状況を比較することで、プロジェクトの途中でも進ちょく状況や損益の「見える化」を果たせるのである。

 信頼性のある実行予算策定のためにすべきこととして、例えば労務費は「フェイズごとにタスクを細かくWBS化し、割り当てた人員の単価を月ごとに算出する。また、随時予算を組み直せるよう、根拠となる予実対比表や進ちょくの履歴は必ず残しておくよう」に岸氏はアドバイスした。

 さらに工事進行基準では、進ちょく状況の把握が重要になる。一般的に使われるのは原価比例法だが、これだけでは、進ちょくが遅れて原価が予定より多く発生している場合にも、見かけの進ちょく率は上がってしまう恐れがある。そのため、プロジェクトマネージャはこれまで以上に作業進ちょくの実態を管理し、翌月以降の予算を見直していく力が要求される。岸氏は、「フェイズごとの成果物を顧客に検証してもらうなど、客観的に進ちょくを判断できる仕組みを取り入れる」よう勧めた。

 以上の要件を支援するシステムとして、同社の「プロジェクト管理会計テンプレート for 勘定奉行V ERP」を紹介した。これは、「勘定奉行」の豊富な財務会計処理機能と、システム会社の求める管理会計機能を結合したパッケージである。

 最初の実行予算や、補正予算との予実対比が容易で、プロジェクトの問題点や損益の把握、着地予想が可能である。また、工事進行基準に対応しており、進ちょく率に応じた売り上げも自動計算される。開発途中に予定原価総額が変更された場合にも、翌月からそれを反映した形で原価比例法による進ちょく計算を行うことができる。

 「プロジェクト管理会計テンプレート for 勘定奉行V ERP」には、プロジェクト損益推移表やEVM分析グラフ、部門別損益推移表など、プロジェクト管理上、経営上、経理上必要な各種管理帳表が標準で含まれる。例えばEVM分析グラフを利用することで、その期以降のコストシミュレーションを行うことで、予算修正をする必要があるなどの判断にも利用できる。

 現在、同社は最短で4カ月で本番稼働させる導入モデルを用意しているため、「早期に工事進行基準の適用を考えている企業にも対応できる」と岸氏は強調した。そして、岸氏は自社で試験運用中の経験から、「このようなパッケージを導入することが、管理会計を大きく変えざるを得ない工事進行基準への対応には有効だ」と語った。

【日本コンピュータ・ダイナミクス お問い合わせ先】
MAIL : info_pkg@ncd.co.jp
TEL : 03-5437-0071
ホワイトペーパー ダウンロード
 日本コンピュータ・ダイナミクスのホワイトペーパー「プロジェクトの現在と未来を数値化し収益改善を図るプロジェクト管理会計」が、TechTargetジャパン ホワイトペーパー ダウンロードセンターで入手できます。



セッション2「MA-EYES」を活用した高度なプロジェクトマネジメント
ビーブレイクシステムズ

ビーブレイクシステムズ 営業部
広報・営業推進チーム リーダー
木塚愛美氏

 ビーブレイクシステムズ 営業部 広報・営業推進チーム 木塚愛美氏は、現在システム開発プロジェクトが抱えるさまざまな問題として、各プロジェクトマネージャによる属人的管理のため、客観的で公正な状況把握ができないこと、リソースの稼働にばらつきがあり、適材適所にリソースをアサインできていないこと、管理ツールを導入してもコスト管理にまで使いこなせず、結局プロジェクト完了後まで利益が分かりづらいことなどを挙げた。

 以上の問題を抱えたまま、単なる会計上の対応だけで工事進行基準への対応はできない。きちんと対応するためには、見積もりの標準化、見積もり登録および変更時のチェック(承認)体制、正確な実績原価の把握、予算と実績の比較、そして契約ごとの基準の設定という5つの対策が必要とし、そのために木塚氏は、「プロジェクトマネジメントそのものの厳密化・高度化が迫られている現在、工事進行基準にも対応できる高度なプロジェクトマネジメント機能を備えた業務システムの構築が必要」と強調する。

 業務システムの構築で重要な点として木塚氏が挙げたのは、工事進行基準に対応できる高度なプロジェクトマネジメントができること、内部統制をサポートする各種機能があること、高い使用率を実現する快適な操作と分かりやすさ、情報の一元管理を実現できること、自社の業務要件に合わせるカスタマイズ性、導入後の環境の変化にも対応できる高い自由度があることだという。そしてそれらすべてを満たすシステムとして、同社の「MA-EYES」を紹介した。

 「MA-EYES」は、追加開発をあらかじめ想定されたセミオーダー型のパッケージであり、企業に合わせた構築が可能となっている。

 主要機能としては、商談の履歴や受注確度の管理を行える「商談管理」、承認チェック機能を備え、見積もりの根拠となる書類を添付することで一元管理を実現する「プロジェクト見積もり」、外注費や発注費をプロジェクトにひも付け、さまざまな書類を添付して管理できる「購買の事前申請」、購買データを引き継いで支払い申請できる「経費申請」、原価の予定と実績の管理や人材のアサイン、請求データ管理などを行う「プロジェクト管理」、多段階承認や条件分岐設定も可能な承認・申請の「ワークフロー・権限」、プロジェクト別・タスク別に作業時間を入力して労務管理を行う「作業実績管理」など多岐にわたっており、プロジェクトの予実を厳密に管理できる。

 また、プロジェクト一覧や稼働状況一覧などの帳票や、部門別売上・収益レポートなどの各種分析レポートをグラフィカルに表示できる「帳票・分析レポート」、財務会計などの既存のシステムと連携できる「外部システム連携」などを標準装備する。さらにオプションとして、WBSの明細登録やガントチャートでの進ちょく・スケジュール管理が可能な「WBS管理」も用意されている。

 工事進行基準に対応しているため、進ちょく率に応じた売り上げの自動計上、赤字時の引当金の把握にも柔軟に対応できる。経費や作業実績はプロジェクトコードにひも付けて一元管理され、原価発生状況に応じて進ちょく率も自動で計算され直し、期ごとの損益計算書には進行基準に準じて計上された売り上げが表示される仕様となっている。

 木塚氏は、楽天をはじめ、システム開発会社などさまざまな企業での導入実績をアピールし、「MA-EYES」を推薦する。

 「画面や操作性はリッチクライアントベースであり、直感的で分かりやすい画面である」ことも強みだと強調した。木塚氏は、「企業によって、問題を解決するためのシステムの形はさまざまある。セミオーダー型で、スモールスタートでき、さらに機能も充実している『MA-EYES』なら柔軟な提案ができるだろう」と締めくくった。

【ビーブレイクシステムズ お問い合わせ先】
MAIL : product@bbreak.co.jp
TEL : 03-5487-7855


実践事例セッション経験値を蓄積し精度を上げてリスク低減
オープントーン

オープントーン 代表取締役社長
佐藤大輔氏

 「工事進行基準の導入のため、見積もりや進ちょく把握のプロセスを再構築することは、プロジェクトリスクの低減につながる。これは現場にとってチャンスでもあるのです」というのは、オープントーン 代表取締役社長 佐藤大輔氏だ。佐藤氏は、経営者であり、現場に立つプロジェクトマネージャでもあり、経理責任者として財務監査も受けているという総合的な立場から、「工事進行基準導入に当たって、開発現場のやるべきことは何か」という具体的な取り組み方法について説明した。

 工事進行基準は、「工事収益総額」「工事原価総額」「工事進ちょく度」の3つを、信頼性をもって見積もることができる場合のみ適用される。そのためには、基本的なプロジェクトマネジメントのルールを標準化しておく必要がある。恣意的な利益操作を防ぎ、会計の公正を保つため、このルールは一度決定したらプロジェクトや期ごとに変更すべきではない。よって、最初に管理部門と共同で、原価に計上する範囲や、進ちょくの判断に使用するツールなどを統一しておくべきであるとする。

 具体的に現場が行うことは、大きく分けると次の2つになる。1つ目は、見積もり手法の決定と、定めた手法による見積もりの実施、2つ目は、進ちょく管理の手法の決定と、定めた手法による進ちょく管理の実施である。

 見積もり手法の決定と実施については、一般的な見積もり手法を用いた、「第三者に説明可能な客観的・定量的な手法を採用すべき」と佐藤氏は述べる。一般的に知られた見積もり手法には、プログラム行数を基準に算出する「COCOMO II」、処理内容に応じて機能をポイント化する「ファンクションポイント法」、ユースケースに基づく「ユースケースポイント法」など、さまざまなものがある。プロジェクトごとにそれぞれの手法の向き不向きがあるため、佐藤氏は、これらを複合的に「いいとこ取り」し、要件に見合った手法を確立する必要性があるとする。

 こうして算出した見積もりを全社で共有し、実際との分析結果を蓄積していくことで、プロジェクトに最適化された見積もり係数が導き出され、精度が向上していく。また、税務監査は数年後に入るため、客観的な説明ができるように、見積もりの資料や要件書の記録は必ず残しておくように呼びかけた。

 「進ちょく管理は、見積もり以上に難しいからこそ、数値化することが重要」と佐藤氏は指摘する。進ちょく管理の手法について、リソース、スケジュール、コストについて、第三者に説明可能な管理ルールを策定しなければならない。ガントチャートなどで「見える化」を行い、記録を残すことも必要である。初期において現場マネージャの負担は増えるだろうが、ルールが定常化すれば省力化できるようになるという。ただし、「あまり細かいところまではルール化しない方がいい」というのが、佐藤氏の経験からのアドバイスだ。

 進ちょく度の測定は、予定されているタスク、実際に消化したタスク、コストの面から報告される。「WBSに細かいタスクまで落とし込むべきだが、予定タスクと過去の実績タスクはどうしても粒度が違ってくる。予定タスクの粒度は粗く、過去に消化したタスクは、実際にやったことなので、粒度は細かく報告される。正確な達成度を算出するためには、粒度が細かい過去に消化した作業タスクを、粒度の粗い予定タスクに合わせて進ちょくを算出することが必要」だと佐藤氏は指摘する。それには、「例えば実装の場合、『正常系の実装で30%、異常系の実装で40%、テストケース作成で50%』など、各フェイズの終了時に全体の何割が達成されたか、機能単位の達成度の基準を明確に決めておくことが一助となる」と述べ、具体的にオープントーンで実際に行っているルールを紹介した。

 佐藤氏は、「見積もりや進ちょくの精度を上げ、社内で共有化することは、開発の効率化と納期リスクの回避につながる。当社では実際に開発の遅れが激減しました。工事進行基準対応を、社内の業務改善の機会として生かそう」と訴えた。

関連資料
オープントーンのセミナー時のプレゼンテーション資料は、同社のWebサイトからダウンロードできる(ファイルはPDF)

提供:日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
株式会社ビーブレイクシステムズ会社

企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 情報マネジメント編集部
掲載内容有効期限:2009年03月31日


セミナーレポート インデックス
工事進行基準の直前期における留意事項
――ベリングポイント
工事進行基準で求められるプロジェクト管理会計とは
――日本コンピュータ・ダイナミクス
「MA-EYES」で実現する高度なプロジェクト管理〜進行基準への対応〜
――ビーブレイクシステムズ
ついに来た! 工事進行基準! 結局現場は何をするの?〜すでに取り組んでいる開発現場よりのメッセージ〜
――オープントーン

ホワイトペーパー ダウンロード
プロジェクトの現在と未来を数値化し収益改善を図るプロジェクト管理会計
(日本コンピュータ・ダイナミクス)

 工事進行基準、内部統制、親会社や経営層への報告……。現在企業が抱える課題を解決するためにはプロジェクト管理会計システムの導入が1つの解となる。新会計基準対応にも必要なプロジェクト管理会計の仕組みとITインフラを紹介する。

関連リンク
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