ユーザーの目線で考える 「Made for Japan」の“ものづくり”とは? 〜 机上PCサーバ、PRIMERGY(プライマジー)「TX120」 「ECONEL(エコネル) 100 S2」の魅力と開発秘話 〜 |
いま中小企業・SOHOは、どのようなサーバを求めているのか? 富士通の技術者自らが顧客先へ足を運び、ニーズを受け止めて試行錯誤した結果、PCサーバ「PRIMERGY」シリーズのエントリーサーバ「TX120」「ECONEL 100 S2」が誕生した。「ユーザーに絶対損をさせない」といい切る自信作の魅力と開発秘話に迫る。
中小企業・SOHOのための “机の上”に置けるPCサーバ |
「想像以上に多くの企業がPCサーバを“机の上”に置いている」
数年前、富士通 パーソナルビジネス本部 PCサーバ事業部 プロダクトプランニング部 部長 藤巻秀明氏が顧客先に出向き、オフィスを見渡したときに受けた印象がそれだった。
富士通 パーソナルビジネス本部 PCサーバ事業部 プロダクトプランニング部 部長 藤巻秀明氏 |
「机の下に置いて利用していただいていると思っていたのに、(外寸が幅205mm×奥行き615mm×高さ444mmの)エントリーサーバ「TX150」ですら“机の上”に乗っていた」と話す藤巻氏は、設計開発時に想定していなかった使われ方を目の当たりにして衝撃を受けた。
業務がITインフラに依存する現在、中小企業・SOHOのPCサーバへのニーズは急速に上昇している。広報・宣伝やオンラインビジネスのためにWebサーバを設置したり、セキュリティやコンプライアンスへの対応で社員のPC内のデータをファイルサーバに一元管理したり、利用範囲は拡大する一方だ。しかし、多くの中小企業・SOHOでは、サーバルームを設置してサーバ専任の管理者を配置する余裕はない。そのほかの業務を抱えながら、“机の上”に置かれたPCサーバの面倒を見るのが精いっぱいだ。
一方で、“机の上”にあるからこその問題もある。それは、稼働時の“音”と“熱”だ。高信頼性、高性能・高機能を提供するため、サーバは通常のPCに比べて処理内容が膨大だ。その結果、機器の稼働音は大きくなり、それに伴って排出する熱量も大きくなってしまう。机の下であれば多少は無視できるこの問題も、“机の上”ではどうしても気になる。
年60回もの顧客訪問でそうした現状を実感した富士通は、“机の上”に置けるPCサーバの開発に踏み出した。「静音」「省電力」「省スペース」を目標に進められた製品開発は、試行錯誤の末、同社人気のPCサーバPRIMERGYシリーズの「TX120」と「ECONEL 100 S2」を生み出した。
ユーザーの目線で考えていたら、 自然と「ECO」にたどり着いていた |
TX120の省電力と静音性を実現するための技術が、「ヒートパイプ方式」「ストレートクーリング方式」だ。
ヒートパイプ方式とは、管内に毛細管構造を持つ金属製パイプを用い、一端をCPUへ、他端をラジエータに接続し、狭い場所で効率良く熱を伝導する仕組みである。熱を伝導するために、金属製パイプの中には少量の水が入っており、冷却方式にはラジエータに送られた熱水を空気(ファンの風)で冷やすことにより行う「空冷方式」を採用している。
「空冷方式」と通常使われる「水冷方式」の違うところは、水を巡回させるためのポンプがないことだ。「水冷方式」では、ポンプを稼働するにも熱が生じるものだが、「少しでも熱源を絶つために、ポンプがなくても冷却できる仕組みを開発した」と、藤巻氏は胸を張る。
これに加えて、ストレートクーリング方式でCPUやハードディスクといった、処理が多く熱を発しやすい部品を一直線に配置した。筐体内で発生する熱の流れを、前面から背面へと抜けていくようにしたのだ。その結果、ファンでの冷却効果も一気に向上し、さらなる静音性と省電力での冷却性を実現した。
このほか、大き目のファンを使うことによって、「省電力」と「静音」のためにファンの回転数を落としても高い冷却性を実現していたり、さらにシステムを冷やすファンと電源を冷やすファンの2基を搭載してより冷却率を高めている。また、インテル・コーポレーションからは、TX120の「静音」「省電力」「省スペース」をインテル製CPUを用いて実現した革新性が高く評価され、2007年4月に開催されたインテル・デベロッパー・フォーラム(IDF)のサーバ部門で「イノベーションアワード」を受賞している。
こうした省電力の機器は、現在「ECO製品」「グリーンIT製品」と呼ばれており、いまや製品選択時の必須キーワードとなっている。グリーンIT製品を目指して各社が開発を進める中で、藤巻氏は「ユーザーのニーズに応えられる設計を模索していたら、自然とたどり着いていた」と話す。ユーザーの目線に立って真摯に要望を受け止める姿勢があったからこそ実現したのだ。
24時間365日運用の“信頼性”を提供する 超スリムなコンパクトPCサーバ「TX120」 |
「TX120」(外寸、幅99mm×奥行き399、mm×高さ340mm)(画像をクリックすると拡大します) |
実際に製品を見てみると、同社こだわりの“ものづくり”をさらに実感できる。「TX120」は、2.5インチのSASハードディスクを採用した、外寸が幅99mm×奥行き399mm×高さ340mm、質量約10kgの超スリムなコンパクトサーバだ。スリム設計の特長を生かし、同等サイズの無停電電源装置「Smart-UPS C500J」と並べて格納できるPCワゴンをオプションで用意し、さらなる高可用性をサポートする。静音性はいうまでもないが、待機時は28dB、稼働時は32dBだ。
同製品は、24時間365日の運用を想定している。複数個所に拠点があり、それぞれに専任のサーバ管理者がいない場合でも、リモートでサーバを監視・操作できるiRMC(リモートマネジメントコントローラー)によって、遠隔地からサーバ電源のON/OFFができ、サーバの異常通報も受け取れる「リモートサービス」機能を備えている。また、オプションによって仮想デバイスによるOSのインストール制御やGUIでのサーバ管理も可能だ。
ハイエンドのサーバの性能が向上し、CPUなどのリソースを仮想的に切り分けて運用するサーバの仮想化や、セキュリティとコンプライアンスへの対応でデータの一元管理が推進される今日でも、部署や支店にはプリントサーバやファイルサーバなど、さまざまなサーバが設置されている。「集中化と分散化のハイブリッドなシステム構成にも対応できる」(藤巻氏)TX120は、中小規模・SOHOから中堅・大規模まで幅広く網羅できる、数少ない優良PCサーバだ。
ユーザー先での評判も高く、「小さいうえに起動時は静か、しかも終了時にカバーを開けても部品が熱くない。見れば必ず気に入ってもらえる」と、富士通 プラットフォームビジネス本部 プラットフォーム拡販戦略室(PCサーバ担当) 佐藤勇治氏はうれしさを噛みしめる。
「木の葉が触れ合う音」並みの“超静音” と“省電力”を実現した「ECONEL 100 S2」 |
「ECONEL 100 S2」(外寸、幅203mm×奥行き386mm×高さ390mm)(画像をクリックすると拡大します) |
一方の「ECONEL 100 S2」は、高い信頼性とコストパフォーマンスを意識したエントリーサーバだ。インテル® Celeron® プロセッサー、インテル® Pentium® デュアルコア・プロセッサー、またはデュアルコア インテル® Xeon® プロセッサーを採用しながら、稼働時21dBの超静音を実現、外寸は幅203mm×奥行き386mm×高さ390mmのコンパクト設計で、机の上でもまったく気にならない。TX120よりも静音性が高い要因には、筐体が少し大きい分サイズが大きいファンが使用できるため、よりゆっくりとファンを回しても十分な冷却性が得られるためだという。
PCサーバ本来の性能面では、RAID1によるミラーリング構成を標準でサポートしていて、オプションのSASアレイコントローラカードを搭載すれば、RAID 0/1/1+0/5/6を構成できる。ハードディスクはコストパフォーマンスを考慮してSATAを採用し、最大2TBまで拡張できる。
同製品は、1日8時間程度の利用で、コストを意識して業務終了時には電源を切るといった利用を想定して開発された。こうした利用の場合、どうしても安価なユーザー向けデスクトップPCにサーバOSを無理やり載せて運用するところもあるだろう。しかし、「サーバOSの動作検証が行われていること、そしてRAID1の標準サポートといったデータ保全のサポート」(藤巻氏)など、PCサーバにはPCサーバとしての信頼性と可用性を保証する性能がある。サーバを運用するという観点で見たとき、「なんちゃって」サーバと、検証と保証がされたPCサーバのどちらを選択するかは、一目瞭然だろう。
販売パートナーやSI企業、そして ユーザーも安心の「トータルサポート」 |
両製品はインストールも簡単だ。セットアップ支援ツール「ServerStart(サーバスタート)」を使えば、ウィザードベースでハードウェアの設定からOSのインストールまで簡単にできてしまう。運用時にも、標準搭載のサーバ監視ソフト「ServerView(サーバビュー)」で、CPUの使用率やハードディスクの死活、筐体内の温度や電圧の状況までもグラフィカルに確認できる。
サーバ監視ソフト「ServerView」(画像をクリックすると拡大します) |
サーバ運用に不慣れな管理者でもすぐに対応できるようになり、運用管理の不安を解消する。さらに、最新の修正情報を検索して、いわゆるWindows UpdateのようにサーバのBIOSを自動アップデートする「UpdateSite」なども搭載し、より高い安定性を提供する。
そして忘れてならないのは、サポート面だ。「TX120」、「ECONEL 100 S2」には、1年間の標準保証のほか、3年間にハードウェアの保証を延長する「SupportDeskパック Lite」 (翌営業日以降訪問修理)や、OSやソフトウェアサポートに加えてリモート通報や当日2時間以内の訪問修理に対応する「SupportDeskパック Standard」など各種サービスを用意している。また、全国850個所のサービス拠点や、規模のサポート体制や、前述のリモートでのサーバ監視サービス、オンサイト支援など、製品提供だけではない、提案から運用まで包括的なサポートも提供している。
さらに、販売パートナーとともに歩む豊富なプログラムも用意しているので、SI企業は実績豊富な富士通のバックアップで販路拡大に弾みを付けることができ、ユーザー企業は多種多様なサービスから自社に最適なサポートを選択できる。
「Made in Japan」、そして「Made for Japan」 の強みで「ユーザーに絶対損をさせない」 |
このようにTX120とECONEL 100 S2は、品質とサポートにおいて高い信頼性を持ちながら、「静音」「省電力」「省スペース」という時代を先取りしたPCサーバといえるわけだが、富士通 パーソナルビジネス本部 パーソナルマーケティング統括部 芝本隆政氏はその理由の1つに“国内”で製品開発を行っている点を挙げた。
「企業からのフィードバックを素早く受け止め、迅速に製品へ反映できなければ意味がない」と語る芝本氏は、国内ベンダだからこその利点を最大限に活かせることが富士通の強みと強調する。「お客さまに近い製品開発はもちろんのこと、日本ならではの品質のこだわりを盛り込むことで、グローバルに展開できる製品作りも実現する」(芝本氏)。
こだわりぬいた製品設計と国内ベンダとしての誇りと自信が、PRIMERGY製品群の魅力の源だ。大企業の製品開発で培ってきた技術力と実績を、中小企業・SOHO向け製品群でも提供できる富士通の“ものづくり”は、「ユーザーに絶対損をさせない」と自信を見せる芝本氏の言葉に表れている。
提供:富士通株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年9月30日
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