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成長企業のシステム戦略(1)
未来を見据えた「システム基盤選び」のポイント
〜企業を支えるシステム基盤の選択に意思と計画を〜

  成長企業は、システム基盤を選ぶべき

 創業期を過ぎ、ビジネスが軌道に乗ってきた企業が決断しなければならないことの1つに、業務の基幹システム──コアシステムの本格的な構築がある。創業時には間に合わせでも良かったシステムも、成長期に入ると問題が出てくる可能性が高い。ビジネスが成長段階に入ると、それまでとは比べものにならない速度でトランザクションや処理が増大することが少なくない。その結果、それぞれのアプリケーションの重要度や停止した場合のリスクも大きくなり、ビジネス継続性も求められることになる。

 そこで成長期のコアシステムには、

  • 必要なサービスレベルの維持あるいはさらなる向上
  • 成長に対応できるだけの拡張性やキャパシティ
  • ビジネスを中断しない安定性、継続性

が求められる。このためには、自社のあるべきシステムをきちんと考え、上記の条件を満たすようなシステム基盤を構築することが重要となるのである。

  オープンシステムの課題

 拡張性などを含む将来性、構築や発展方向の柔軟性などを考えると、広く普及しているオープンシステム・アーキテクチャを前提にすべきだろう。

 オープンシステムでは、ハードウェアやソフトウェアなどの構成要素が標準化(あるいは事実上の標準化)が行われており、ユーザーが自由な組み合わせでシステムを構築することができる。さらに各種情報が公開されていることもあり、独自のソフトウェアを開発することも可能で、システムの改良や拡張を続けていけるというメリットがある。また、こうした標準製品は、特定ベンダのみの専用機器などに比べると、大量に作られるために価格も安くなっているか、あるいは将来的な価格低下や性能向上も期待できる。

 ただし注意する点として、いかに標準化しているオープンシステムであっても、実際のシステム構築では、動作検証や組み合せの検証が必要なことが挙げられる。オープンシステムでは、同一仕様・規格に基づいて多数の製品が作られるため、ベンダといえども個々の製品においては組み合せ可能なすべての製品との検証を行うことができない。そのため、ごくまれに問題が発生することあるのだ。こうした異なるベンダ製品同士の組み合わせによる不具合は、原因の追及が極めて難しいものとなる。

 さて、オープンシステムの“安い”という利点を使って、例えばWebサイトの負荷分散を複数のマシンで構築する例も増えてきた。このような場合では、そのうちの1台に障害が起きたとしても、大きな問題になることはない。しかし、トランザクションデータを受け持つようなデータベースシステムでは、単純に複数のサーバで冗長性を持たせることも難しい。単一のシステムでのサービス継続性があることが前提で、さらに天災や事故のバックアップのためにシステムを冗長化することが多い。

 また、安価だからといってサーバを大量に導入すると、サーバの管理や運用のコストが増加する。オープンシステムは構築が容易で柔軟性があるのはいいのだが、システム規模が大きくなると運用管理に大きなしわ寄せがいく場合が少なくないのである。

  信頼性と拡張性を共存させる商用UNIXのメリット

 オープン系のオペレーティングシステムには、大きく3つの系列がある。「商用UNIX」、「オープンソースOS(Linux系)」、マイクロソフトの「Windows系」である。現在では、どれもミッションクリティカルな領域で利用されているが、メインフレームの次世代機として歴史・実績を持つのは、商用UNIXだ。

オープン系オペレーティングシステムそれぞれの特徴

 オープンソース系の、例えばLinuxなどではソフトウェア自体の導入コストが安く、また汎用のPC/PCサーバでも動作するため、安価なシステムを構築するために導入されることが多い。オープンソース系の最大のメリットは公開されたソースコードを利用して、自分自身でシステムをメンテナンスしつつ、継続利用が可能という点だ。もちろん、これをSIerなどに頼むことも可能だが、その場合でもソースコードを読みこなすレベルで、オペレーティングシステムや関連ソフトウェアへの深い知識と技術力が必要となる。この部分は“見えないコスト”となる。

 Windows系は、クライアントOSとしてのWindowsと同じGUIであるため、一見、導入が容易に思える。しかし例えばDNSの設定を行うには、GUIの有無とは関係なくDNSに対する知識が必要となる。つまり、操作そのものは簡単だが、知識や技術力に関しては、ほかのシステムとなんら変わりがない。またマイクロソフトの独自OSであるため、導入したSIerであっても、不具合が発生した場合の原因追及には限界がある。仮に原因が分かったとしても、最終的にバグなどを直すことができるのはマイクロソフトのみだ。Windowsは標準品指向の製品であるため、個別対応は事実上期待できず、サービスパックやホットフィックスといったパッチなどがリリースされない限り、ユーザーやSIerは抜本対策を打つことができない。

 UNIXはミニコン用のOSとして開発され、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)や業務用のサーバのOSとして発展してきた。

 1970年代に開発されたUNIXは、DECのPDP-11というミニコン用にベル研究所で開発されたものだ。このときに高級言語が使われ、最初から移植性の高いOSだった。UNIXはその後、C言語で記述され、C言語の普及とともに各社のハードウェアへ移植されていく。1980年代になると、登場しはじめた32bitマイクロプロセッサを使ったEWS用のOSとして各社が採用を始める。

 UNIXは、最初からマルチユーザー/マルチプロセスのオペレーティングシステムとして設計されており、RDBMSのプラットフォームのようなビジネス分野におけるミッションクリティカルなシステムでも使われるようになる。

UNIXとHP-UXの歩み
1968年 UNIXの原形になるシステムが作られる
1971年 UNIX 1st Edition
1973年 UNIX 4th Edition C言語で書き直される
1975年 UNIX V6
1979年 UNIX/32V 32bitCPU版
1983年 UNIX SystemV
1983年 HP-UXが開発される
1986年 HP-UX 1.0 PA-RISC対応
1989年 UNIX SystemV R4(SVR4)
1995年 HP-UX 10.x
1997年 HP-UX 11.0 64bit化
2002年 HP-UX 11i v1.6 Itanium対応
2003年 HP-UX 11i v2 本格的なエンタープライズ向け環境を備える

 そのさきがけともいえるのがヒューレット・パッカード(HP)のHP-UXだ。HP-UXの最初のバージョンは1983年のリリースで、当時はHP9000シリーズ用のものだった。現在では、64bitプロセッサItanium2を採用するHP Integrityシリーズにも採用されている。HP-UXは、こうした商用UNIXの成長とともに開発が続けられ、ERP (Enterprise Resource Planning)、SCM (Supply Chain Management) といった企業の基幹業務システム、インターネットを介した金融機関のオンラインサービスなど、一定のサービスレベルで大量のトランザクションを高速に処理するシステムとして多数の実績を持つ。

 商用UNIXでは、オペレーティングシステムとハードウェア、さらにはハードウェアを構成するCPUやチップセットを一体のものとして開発が続けられてきた。このため、それらの間には基本的には組み合せ問題は起こりえず、システム全体としてきちんと検証が行われたものとなっている。高い信頼性、安定性を持ち、ベンダ自体がハードウェア、ソフトウェアを隅々まで知り尽くしていることから、高度で一貫したサポートを提供することが可能だ。このあたりが、マルチベンダにならざるを得ないオープンソース型とは違ったメリットである。

 HP-UXはOSそのものだけではなく、ハードウェアとのマッチング、サポート体制や技術力、ノウハウの蓄積や各種のツールの充実度といった総合的な取り組みに大きな特徴があるといえるだろう。

  成長企業は、コアシステムも成長する

 オープンシステムが柔軟だとはいえ、システムの増強には大きな手間が掛かるのも事実だ。あらかじめ余裕を持たせてシステムを設計・構築するのが常識とはいえ、急激に成長する企業では、将来に必要となるシステムサイズを正確に予測することは困難である。また、成長企業にとって時間は最も重要な要素の1つであり、増強・変更にかけることができる時間は限られている。

 こうした状況を解決する手段に仮想化技術がある。仮想化はソフトウェアの実行環境と物理的なハードウェアを分離させる技術だ。最近ではLinuxやWindowsにも取り込まれつつあるが、まだ初期段階といえる。これに対して商用UNIXでは、以前よりこの技術を実装しており、現在では「当たり前」のレベルに達している。

 HP-UXでは、成長時の変化し続けるシステムに対しての柔軟な対応を可能にするだけでなく、成長期であってもサービスを止めないための安定性や堅牢さを提供する技術として、仮想化が利用されている。例えば、サービスに対する要求をポリシーとして設定することで、サービスレベルを維持しながらシステムリソースを動的に個別のOS環境間で調整できるといった具合だ。

 HPでは、同社のビジョン「アダプティブ・インフラストラクチャ」において仮想化および自動化技術を重要コンポーネントとして位置付け、その開発を加速している。HP-UXの特徴でもあり、今後のさらなる強化・拡張が計画されている信頼性(RAS)向上機能や動的な再構成機能を仮想化技術と統合していくことで「ゼロダウンタイム」なサービスの提供をより確実なものとすることが期待される。これにより、HP-UX搭載サーバによるメインフレームの置き換えもさらに加速されるだろう。

  長期で考えるシステムコスト

 システム投資(コスト)を考える場合、初期投資のみに着目することが多いが、実際にはその後の運用やサポート、そして成長によるシステム増強や変更などの比率が高いものだ。いくら初期投資が安くとも、ランニングコストや増強・変更のコストが高ければ、トータルでは高価になってしまう。

 また、オープンシステム系で使われるハードウェアは変化が激しく、2〜3年もすれば、同じハードウェアを手に入れることも困難になる。ソフトウェアにも似た状況がある。もちろん、オープンソース系であれば自身でメンテナンスを行うことで生涯にわたって利用を継続することができるが、オープンソースコミュニティで中心的に使われているバージョンと大きくかけ離れてしまうと、コミュニティから提供されるさまざまな成果を取り込むことも困難になる。

 これに対して商用UNIXでは、長期利用を前提にしたサポートが行われている。例えば、HP-UX 11i v1/v2は、市場初出荷から10年間のサポートを提供する。

 商用UNIXのシステムは、オープンソース系やパソコン系のシステムに比べれば、初期投資金額は安くはないかもしれない。しかし、導入後のコストを考えるとトータルのシステムコストは、必ずしも高いとはいえない。

 また、すでにLinuxなどのオープンソース系のシステムを導入しているなら、その経験は商用UNIXでも無駄にならない。Linux系OSはUNIXを手本として作られてきたものであり、ある意味UNIXの1種である。つまり、Linux系OSのエンジニアやオペレーションに携わる人々は、すでにUNIXの入門を終えた段階にあるといえ、商用UNIXでもその人的資源を生かすことができるのだ。

 この連載では成長期の企業にとって、システムインフラとなるオペレーティングシステムが備えるべき要件とは何かという視点から、商用UNIXの利点を解説していく。もちろん、商用UNIXが万能というわけではない。適材適所で採用すべきものだが、システム基盤選択に十分な配慮をしないということが、成長を阻害したり、ビジネス継続に対するリスクになったりすることがあることは、大いに気にしておくべきだろう。

 次回は近年、オープン系システムでも話題となってきた仮想化技術について解説する。

成長企業のシステム戦略
未来を見据えた「システム基盤選び」のポイント
ゼロダウンタイムに向けた仮想化技術
サービスの継続性を左右する“サポータビリティ”

提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2006年8月30日
 
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