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成長企業のシステム戦略(2)
ゼロダウンタイムを支える統合仮想化
〜企業の俊敏性とシステム運用コスト最適化を両立〜

  システム増強ニーズにどう応えるか?

 成長企業は日々業務が拡大していくため、システム増強の作業がついて回る。しかし、コアシステムを増強する場合、簡単にサービス停止するわけにはいかない場合も多く、また作業時間も限られることが少なくない。

 これらは、純粋にハードウェアに関する作業の問題としてとらえられがちだが、仮想化技術を使うことで、その都度拡張可能な環境を準備することができる。環境整備をすることで、システムやサービスを停止することなく、リソースの増強・再配分を行うことが可能になるのだ。

 仮想化技術は古くからメインフレームなどで使われていて、歴史ある技術である。商用UNIXは、この歴史ある技術をオープンシステムの長所を生かしながら取り入れることで、メインフレームの後継ソリューションとして進化してきた。現在では、商用UNIXのサーバに仮想化技術が搭載されているのは常識となっている。一方、PC系サーバにも仮想化技術が搭載されつつあるが、商用UNIXに比べると、障害からの分離性の高いハードウェア・パーティション技術が利用できないことや、仮想化技術のパフォーマンスオーバヘッドなどから、ミッションクリティカル性の高いデータベースシステムやERPなどの基幹業務への本格的な導入には至っていない。

 仮想化技術の本質は、OSないしアプリケーションなどのソフトウェアに対して、仮想的な実行環境を提供することで、物理的なCPU・メモリなどといったコンポーネントやハードウェアから分離することにある。こうした仮想的な環境では、CPUやメモリといったリソースの割り当てをOSやプロセス単位に行うことができ、さらにサービスの重要度を定義することで、自動的にリソースの調整・最適化が可能になる。また、クラスタ環境と統合することも可能だ。

 成長期にある企業にとり、早い段階で仮想化技術を装備したサーバを導入しておくことに大きな意味がある。以下にその理由を見ていこう。 

  多彩なパーティショニング技術

 ひと口に仮想化技術といっても、さまざまなものがある。単にオペレーティングシステム上に仮想環境を作って複数OSの稼働を実現しただけのものから、ハードウェア・レベルの機能を使い、マルチプロセッサ構成のシステムを複数の領域に分けるパーティショニングまで、その実現方法や機能もいろいろである。

 ここではヒューレット・パッカード(HP)のIntegrityサーバ+HP-UXを例に仮想化技術を見ていくことにしよう。HPの仮想化の基本コンセプトは企業内にある、コンピュータ・リソースを1つにまとめる(プール化)ことで、需要と供給が最適化するよう、配分・構成・管理するというものだ。パーティショニング、管理/自動制御、ユーティリティ・プライシング、可用性向上機能などの技術があり、HP Virtual Server Environment(VSE)という形で仮想化技術を統合している。

 その中でパーティショニングは、アプリケーションやITサービスの需要に合わせて、リソースプールを分割し、複数の実行環境を作り出す技術である。VSEには、次のように多彩なパーティショニング技術が用意されている。

ハードウェアレベルで分割し、独立したサーバノードとして動作

nPartitions(nPar)
  ハードウェアによるパーティショニング
ソフトウェアレベルで分割し、独立したOSイメージが動作
Virtual Partitions(vPar)
  1つのnPar内、もしくは最大128CPU構成のサーバノードを、ファームウェアによりサーバリソースを割り当て。1プロセッサコアが最小単位
Integrity Virtual Machines(Integrity VM)
  1プロセッサコア以下で割り当て可能なパーティショニング。最小単位は5%。ホストOSはHP-UXを採用

OS内のリソースを分割し、アプリケーションごとに配分

Process Resource Manager(PRM)
  ピーク負荷時に各プロセスが利用可能なシステム・リソースを制御する
Secure Resource Partition(SRP)
  OS内でセキュリティ区画を作成。アクセス制限をしながら、システムリソースの共有をPRMで実現

 最近ではPC系サーバでも仮想化技術が取り入れられてきているが、その代表格であるVMwareやVirtual PC(上述のIntegrity VMもだが)は、「ホストOS上にゲストOSを稼働する」という方法をとる。例えば、Linuxの上にLinuxを起動するような形だ。この方法は既存の環境の上に仮想化を実現できるという手軽さがある半面、ホストOSが必要である分、パフォーマンスの考慮が必要となる。またホストOSの安定性をチェックし、サーバとの相性や管理性を理解した上で運用を設計しておかなければ、稼動中のすべてのゲストOSの継続稼動は実現しない。

 これに対してnParとvParは、ほとんどパフォーマンス上のオーバーヘッドもなく、堅牢かつ可用性の高いパーティショニングを実現する。ハードウェア/ファームウェア/OSを一体で開発している、商用UNIXならではの機能だ。

 nParはサーバ内のセルボード(CPUやメモリが搭載されたボード)を単位としてパーティションを構成する。1つのサーバ筐体に複数のサーバが格納されているかのようなイメージ──ブレード・サーバに近いかもしれない──だ。Integrityサーバは最大128プロセッサコアまでのスケーラビリティを持ち、高い可用性を備えている。ハードウェアによる機能であるため、パフォーマンス上のオーバーヘッドはまったくなく、電気的な分離性を備えているため、メンテナンス時のオンライン交換も可能だ。

 vParは、nParをさらに分割できる論理パーティションで、1つのnPar環境(ないし単一サーバマシン)上にプロセッサ単位で論理的なサーバ環境を構成する。vParsでは、ハードウェアと各論理パーティションのOSの間に「vParモニタ」というモニタソフトウェアを置き、パーティション構成の管理やハードウェアリソースの割り当て、パーティションの起動などを実行する。vParsモニタはシンプルなソフトウェアで障害が発生する可能性は小さく、起動後はほとんどI/Oに関与しないため、パフォーマンス上のオーバーヘッドもほとんど発生しない。

パーティショニング(nPar/vPar)によるシステム構成イメージ。nParで、1つの物理サーバ上にHP-UX、Windows、Linux、それぞれの環境を3つ構成。さらにvParにより、HP-UXのOSイメージを2つ構成

 nParによって構成される物理パーティションも、vParによって構成される論理パーティションもそれぞれが独立しており、あるパーティションが再構成や再起動したり、動作中のアプリケーションやOSに障害が発生したりしても、影響があるのはそのパーティションのみで、サブシステムの障害などが全体に及ぶことはない。

 またnParでは、HP-UX、Windows、Linuxなど複数のOSをサポートしており、同一筐体に別々のOS(バージョン、パッチレベル)を走らせることも可能。多数の物理サーバにバラバラの環境で動いていた社内の各システムを、1つの筐体に「サーバ統合」するのに有効なソリューションだ。

サーバ仮想化の利点についてさらに詳しく(HP- UX Developer Edgeへ)
「サーバ仮想化によるスケールアウト」の新潮流・前編
「サーバ仮想化によるスケールアウト」の新潮流・後編

  突発事態に備えるユーティリティ・プライシング

 成長期の企業では、ある商品やサービスがヒットして突発的なアクセスが発生することが少なくない。このようなときにサーバ増強のため、ハードウェアを購入するとしても、社内的な手続きや納品までの時間などがあるため、2日3日といった短期間での導入は困難だ。

 こうした問題を解決するのがユーティリティ・プライシングである。これは、CPUリソースなどをプリペイドや時間借りする仕組みだ。サーバ・ハードウェアに最初から本体価格に含まれないCPUが組み込まれており、これを必要になったときに時間単位で利用することで、CPUリソースの増強をハードウェア購入ではなく、サービス利用料として処理することができる。あるいは、このCPUをホットスタンバイ用とし、障害が発生したときに切り替えて利用することもできる。

 HP VSEには、システムを停止することなくコマンドを発するだけでリソース増強を可能にする「Instant Capacity(iCAP)」が用意されている。

 iCAPは、あらかじめサーバシステムに休止状態のセルボードやプロセッサが搭載されていて、これらを必要に応じて利用し、その料金を払うというもの。増強のタイプにより「セル増強型」「CPU増強型」「CPU時間使用権」などがある。時間使用権は、CPUを時間借りするもので、プリペイド方式であらかじめ支払った利用権の範囲内であれば、ユーザーが自由にこれを起動することができるようになる。

iCAPソリューションには、セルボード単位の増強、CPU単位の増強、CPU単位の一時的増強がある

 長期的なシステム負荷への対応においてはサーバ増強が当然だが、短期的な負荷増大に対してはユーティリティ・プライシングを使うことで即時対応が可能になる。こうしたことが可能になるのも、ユーティリティ・プライシングの仕組みが仮想化技術と統合されており、サーバ・リソースをさまざまなレベルで分割して、動的に割り当てることが可能になっているからだ。

  全体最適と自動制御が可能に

 一般にシステム増強を行う場合、サーバマシンの数を増やしてしまうだけになりがちだ。しかし、スケールアウトが適さないコアシステムのアプリケーションではサーバ数が増えることで、開発や運用の手順が増え、かえって効率が悪くなってしまうこともある。ほかに電源容量や設置スペース、空調能力なども増強する必要あり、メンテナンスコストやオペレーションミスが増えるなど、さまざまな問題を生む。

 そこで最近、特に注目されるのが「サーバ統合」というソリューションだ。サーバ統合は分散されているサーバを集中管理して、メンテナンスビリティを高めることが狙いだが、単に物理的に1つのサーバに統合するだけではなく、仮想化技術を使って物理構成と論理構成を分離することにより、さらなるメリットを享受できる。

 どんなアプリケーションでも、365日24時間一定の負荷状態ということはあまりない。大抵は負荷は刻々と変動し、さらに日、週、月、シーズンといった単位での変動がある。グループウェアならば社員の出社・退社時間にピークが来るかもしれないし、夜間バッチのアプリケーションならば当然、深夜に最も負荷が掛かる。アプリケーションを個別のサーバで動作させていると、あるサーバで余剰のリソースがあるからといって、ほかのアプリケーションに回すことが困難だ。

 仮想化技術は、こうした変動や将来的な負荷増大などに対しても有効だ。システム運用中にあるパーティションで急にリソースが必要になった場合、ほかのパーティションに割り当ててあるリソースをすぐに割り当て直すことが可能だからだ。

 HP VSEには、こうしたリソース割り当てやその変更、再配分を手動・自動で行う統合ワークロード管理ツール「HP Global Workload Manager(gWLM)」がある。

 gWLMは、複数サーバ/複数パーティション環境におけるワークロード管理を行うもので、GUIベースの操作画面を持つ。マルチOS/プラットフォーム対応のHP SIM(HP Systems Insight Manager)と連携することにより、大規模なシステムを1台のコンソールで管理することが可能になっている。また、仮想化管理機能と連携することで、ワークロード追加の際の擬似的なシミュレーションや実際の負荷状況をグラフ化し、履歴の管理も可能になっている。

gWLMのポリシー選択画面クリック >> 図版拡大

 gWLMから、サービスの優先順位、リソース配分の変更ルールといったポリシーを設定することで、問題が発生してから管理者が対応するのではなく、事前のポリシーに従って、システムが自動的にリソース最適化を行う。これにより、「システムの無駄」を大幅に削減することができるのだ。

 こうした仮想化技術は、障害対策という面でも有効だ。前述のとおり、特定のパーティションで障害が発生したとしてもそれが全体に及ぶことはなく、システムは依然として動作している。そこで、障害原因がリソース不足であった場合には、リソース割り当てを変更して再起動なしに、即座に適用するといったことも可能になる。あるいはシステムを複数の物理サーバからなるクラスタ構成にして、障害発生時にパーティションごとにほかのサーバへフェイルオーバーさせることもできる。これはシステム的な障害対策だけではなく、「止めてはいけない」コアシステムにとって効果的な自動運用となるだろう。

統合管理ツールVirtualization Managerについてさらに詳しく(HP- UX Developer Edgeへ)
「サーバ仮想化のポータル」をめざす・前編
「サーバ仮想化のポータル」をめざす・後編

 仮想化技術を導入する際には、障害に対する分離度やその技術が実装されているサーバやOSとの統合性・整合性を確認しておくことが必要だ。また、サービスの拡張や運用面を考えても、業界標準や規格を保ったものでなくてはならない。このような点をクリアする商用UNIXサーバであれば、システム構成や運用に時間を取られることは少なく、システムの拡張を迅速に、しかも確実に行えるようになるのだ。ゼロダウンタイムに向けた手法の1つといえよう。

 さて次回は、企業コアシステムの実運用には欠かせないサポータビリティについて考えていこう。

成長企業のシステム戦略
未来を見据えた「システム基盤選び」のポイント
ゼロダウンタイムに向けた仮想化技術
サービスの継続性を左右する“サポータビリティ”

提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2006年9月20日
 
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