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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局

掲載内容有効期限:2003年1月15日

 

Linuxによるソリューションの実現 第2回
WebSphereが実現するThe Power of Open
〜オープン・スタンダードに貢献するIBM〜

  LinuxをリードしてきたIBMはJavaのスタンダードも築く

<<Javaの標準化と普及に向けた取り組み>>

 Linuxによる企業の基幹システム構築が相次いでいる。ベンダに依存したプロプライエタリなソフトウェアに依存していた時代には、オープン・ソースを企業のITのプラットフォームに採用するなど考えられなかったことだ。

 ところでIBMは、どのメーカーにも先駆けてLinuxへのコミットを表明し、PCサーバからメインフレームまでの広いレンジのハードウェア、WebSphereやTivoli、Lotus、DB2といったミドルウェアに至るまで、Linuxの全面的なサポートを積極的に推進している。

 しかし、オープンなテクノロジを活用するためには高いスキルが必要とされる。なぜなら、ベンダのサポートに頼ることはできないからだ。逆に企業側に高いITスキルがあるなら、「コードをすべて自分たちで把握し、トラブルがあってもそれを解決できます。このことは結果として満足度の向上につながるでしょう」と日本IBM ソフトウェア事業部 ソフトウェア・テクニカル・サポート&サービス WebSphere技術部の馬場剛氏は語る。この点がオープン・ソースのメリットとして評価される点である。

日本IBM ソフトウェア事業部 ソフトウェア・テクニカル・サポート&サービス WebSphere技術部の馬場剛氏

 さらに、オープンなソフトウェアのクオリティは非常に高い。ネットのコミュニティ上で常に情報交換が行われ、それに基づいたソフトウェアのアップデートが行われているからだ。オープン・ソースのソフトウェア、そしてJavaのようなオープンな立場に立ったプログラム言語は、非常に品質の高いソリューションを顧客に提供できるポテンシャルを持っているといえる。

 Javaには、JCP(Java Community Process)というJavaの発展を目的としたオープンな組織がある。JCPでは、複数の企業がJavaの標準仕様策定に携わっている。このJCPに、世界中からJSR(Java Specification Request)というJavaの仕様に対する要求が集まる。このJSRが、次期バージョンのJavaの仕様に反映されるのだ。ところで、このJSRのJ2EEに関する部分のうち、約8割がIBMから提出されたものであることはあまり知られていないだろう。IBMはJavaの標準仕様策定にもっとも積極的なベンダであるわけだ。

IBMがJCPに提出したJSRのリスト(クリックすると拡大します)

 「IBMは、将来Javaに盛り込まれるであろう仕様をWebSphereプラットフォームに採用してきました。例えば、EJB 2.0の標準仕様となったCMRとLocal呼び出し。いま注目のWebサービスの中で、すでに知られているものとしてはJAXMやJAX-RPCなどがあります。今回の新しいWebSphere V5.0で採用されている技術としては、プロトコルに関係なくWebサービスを呼び出せるWSGW(Web Service Gateway)などがあります」と日本IBM ソフトウェア事業部 WebSphere事業推進 営業推進 常盤千絵氏は語る。IBMのWebSphereの開発は、Javaのスタンダードを作る取り組みでもあるという。

日本IBM ソフトウェア事業部 WebSphere事業推進 営業推進 常盤千絵氏

 この、オープン・スダンダードなテクノロジを支持し、支援する取り組みは、同社の「developerWorks」というサイトにも見ることができる。「developerWorksは、LinuxやJavaに関する最新のテクノロジとそれに関するノウハウを技術者の皆さんに無償で提供してきたサイトです。」(馬場剛氏)。developerWorksでは、最新のコードやコンポーネントがダウンロードでき、なおかつチュートリアル記事を参考に実際に触り、試すことができる。「大事なのは最新のテクノジを無償でお試しいただける点です。JavaとLinuxに注力し、WebSphereなどの、IBMのさまざまなプロダクトのサンプルコードも用意しています」(常盤氏)。

 developerWorksとはドメインが異なるが、日本のマーケットの事情に合わせてタイムリーに情報を提供しているサイトとして、「WebSphere Developer Domain」がある。常盤氏は、「WebSphere Developer Domainには2000年から非常に力を入れています。製品やテクノロジが昔に比べて難しくなっていますので、実際に触って理解していただくことが重要だと考えています」と、このサイトの目的を説明する。「日本のスタッフが、日本のユーザーのことを考えて、自らの手で情報をしっかり提供できる点を大事にしたいと考えています」(馬場氏)。

 また、「われわれがこれらのサイトを通してLinux、Javaの情報を無償で提供しているのは、『新しいテクノロジを作るのはよいが、囲い込んではいけない』という過去の反省もあります。TCP/IPやHTTPもそうですが、優れた標準には人も集まってくるし、そこにはマーケットも生まれます」(馬場氏)。

<<いま注目のEclipseを育てたのはIBM>>

 Eclipseは、いま国内外で大変な注目を集めているフリーの統合開発環境だ。より正確には統合開発環境を構築するためのプラットフォームと言ったほうがよいかもしれない。「既存のプラグインを組み入れたり、あるいは自分でプラグインを作ることによって、自分の開発スタイルにもっとも最適な統合開発環境を用意することができるのです」(馬場氏)。

 このEclipseは、もともと米国のOTI(Object Technology International)が開発したものだ。後に同社をIBMが買収し、Eclipseの開発を続けた。その後、IBMがオープン・ソースとして公開する。オープン化の理由として馬場氏は、「開発者にとってツールは重要ですが、機能のインターフェイスがツール間で大きく異なることが開発者にとって不利益となる状況がありました。本来、インターフェイスのスキルを身につけるのが大変であってはならないのです」。つまり、開発者が共通のスキルで開発をスムーズにできるようにと考えたのがオープン化のきっかけだと語る。

 ところで、IBMは、WebSphere Studio Application Developer(WSAD)、WebSphere Studio Site Developer(WSSD)などに代表される統合開発環境を用意している。これらとEclipseの関係はどうなっているのだろうか。「オープン・ソースであるEclipseの成果が、これらの統合開発環境に活かされます。今回発表したWSADは、Eclipseの新しいバージョンである2.0をベースにしています」(常盤氏)。EclipseはCPL(Common Public License)と呼ばれるライセンスで配布されている。これはIBMのIPLA(IBM Program License Agreement)をオープンなものに書き直したものだ。Eclipseのコードを自社の製品に採用しても、そのコードを公開する必要はないというものだ。オープン・ソースの発展を製品に反映していくという新しいビジネスモデルをIBMは確立した。

 

いち早くJavaの最新技術に触れるなら
WebSphere を使ってほしい

 IBMはJCPに対して積極的にJSRを提出し、しかも提案した技術をいち早くWebSphereに採用している。「最新バージョンのWebSphere V5.0では、WebサービスとJ2EEに関する最新のJSRを取り込んでいるのが大きなトピックなのです。今後標準となるJavaの新しいテクノロジを、WebSphereを使うことで体験していただける点がお客様にとっての大きなメリットと考えています」(常盤氏)。

 また、新しい試みとして、Apache Jakartaプロジェクトから提供している“Struts”フレームワークの機能拡張版“Extension for Struts”の無償提供も開始した。Extension for Strutsは、IBMが顧客やビジネスパートナーとのプロジェクトにおいてStrutsベースの開発を行う際に、「これができたらいいのに」と感じられた機能的な不足部分を強化するモジュールである。具体的には、

事前/事後処理
セッション管理の機能拡張(同一Webブラウザからのリクエストを同時に1つしか処理しないことを保証)
画面遷移順序の保証
ログ機能の強化
リソースラッパーの追加(JNDI Lookupにかかる負荷の軽減)
HTMLフォームに入力された文字列に対する文字タイプのチェック

の6点だ。

 もちろん、Extension for Strutsはソースコードも含めて無償で提供されており、Jakartaプロジェクトへの“寄贈”も計画中である。

 WebSphere Application Server V5.0のもう1つのトピックがある。WebSphere Application Server - Express V5.0(以下、Express)という新グレードの製品が12月13日にダウンロード可能となった。「Expressは、WebSphere Application ServerからEJB機能を除いたサブセットと、開発環境であるWSSD(WebSphere Studio Site Developer)を統合した製品です」(馬場氏)。

 Expressは、(EJB関連を除く)開発環境と実行環境の両方を備えている。なお、Expressのアプリケーション・サーバは、Red Hat Advanced Server for Intel 2.1、SuSE Linux for Intel 7.3のLinuxプラットフォームにも対応している。「Expressがあれば、LinuxやWindowsといったプラットフォームにも関係なく、Webサービスを試していただくことができます」(馬場氏)。Express登場の背景には、顧客に対する反省点の改善がある。「われわれベンダは、ともすると最先端で大規模なものだけを追い求めがちです。しかし、それだけではいけない。明日から始めてみようというお客様や開発者に対して、使いやすい製品を提供し、またISVソリューションのコアとしてもお使いいただける製品体系を考えたということが、Expressが登場した最大の理由です」(馬場氏)。

 Expressは、大手企業だけでなく、中堅企業やこれからのスタートアップ企業も採用できる安価で高性能なアプリケーション・サーバを目指している、とする。

 ところで、アプリケーション・サーバの活躍の舞台は、インターネットやイントラネットばかりではない。コンビニなどのキオスク端末にも使われることが多い。Expressは、このような市場も狙っているという。「お客様にとって、ビジネスパートナーのソリューションと一緒に導入しやすいエントリー向け製品が必要でした」と馬場氏は話す。

 

オープン・スタンダードがお客様に与える利益を大事にしたい

 IBMのメインフレーム上で稼動するLinuxは、Red Hat、SuSE、Turbolinuxといったディストリビュータが提供しているが、IBM自身が一般的なLinuxのディストリビューションを作る予定はない。「Linuxは、生まれたいきさつからオープンなものです。オープン・ソースの安心感は、やはりクローズされていないところから生まれてくるものです。政府がe-Japan戦略の基本方針としてオープン・ソースの採用を検討し始めたのも、オープンであることがいまや『信頼性』を勝ち得ていることの証左といえます」(常盤氏)。「Linuxは、エンタープライズ、ミッション・クリティカルな世界でも使われようとしています。オープンであることが、ディストリビューションのクオリティを向上させた1つの大きな理由でもあるとも考えています」(馬場氏)。

 「WebSphereは、LinuxからWindows、UNIX、メインフレームまでプラットフォームを選ぶことなく使うことができます。しかも、WebSphereに採用しているテクノロジは、IBM独自のものではなく、IBMが積極的にJ2EE標準の策定に参加した結果生まれたものです」(馬場氏)。オープンなOS、オープンなアプリケーション基盤、そして、IBMが作り上げてきた多くのオープン・スタンダードな技術がWebSphereには結実しているのである。

 オープン・スタンダードのテクノロジを採用するメリットは、もはやここで言及するまでもないだろう。一方で、海外の公共機関でもオープン・ソース・プラットフォームの採用が進むなど、ミッション・クリティカルな世界においても、オープン・ソース・プラットフォームだからこそ信頼を勝ち得ている、という状況が身近になってきているようだ。

 “オープン・スタンダード”と“オープン・ソース”。この2つの“オープン”のメリットを享受できる、WebSphereとLinuxの組み合わせは、非常に示唆に富んだものと言える。

 
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