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BtoB構築を支える
IBM WebSphereソフトウェア・プラットフォーム

第2回 WebSphereにおける統合開発環境、
VisualAge for JavaとWebSphere Studio


目次
BtoBシステム構築には、柔軟なデータアクセスに対応する開発ツールを
 まずは社内システムの統合
 次に社外システムとの連携
 開発ツールに求められるXMLへの対応
VisualAge for Java V3.5
 データアクセスをBean化
WebSphere Studio
 ワークベンチ
 ページデザイナー
 サーブレットウィザード
BtoBシステム開発を協力にサポートする、 WebSphereソフトウェア・プラットフォーム
 堅牢性と拡張性を備えたソフトウェア・プラットフォーム

 企業間取引、すなわちBtoBを実現するためのシステムでは、まず取引に関わる企業内のシステムを統合すること、そのうえでXMLなどの標準的なデータフォーマットで企業間の連携を行うことが重要だ。「WebSphere Application Server」がそうした高度な機能を提供するプラットフォームであることは、前回の内容で紹介した。今回はBtoB構築の観点から、開発ツールであるJava対応統合開発環境(IDE)である「VisualAge for Java V3.5」およびWebアプリケーション開発基盤を提供する「WebSphere Studio V3.5」についても見ていくことにしよう。

  BtoBシステム構築には、
柔軟なデータアクセスに対応する開発ツールを

まずは社内システムの統合

 BtoBを行う以前に、発注書や請求書の書式が部門ごとにバラバラでは、そのまま取引相手に請求書などを発行することすらできない。また、取引相手から一度提示された条件や情報は、すみやかに関連部門で共有される必要がある。何度も何度も同じような問い合わせが異なる部署から取引先に発せられるようでは、効率的なBtoBなどおぼつかない。まずは部門を越えた社内のシステム統合がBtoBの前提になる。

 こうした社内システムの統合、いわゆるEAI(Enterprise Application Integration)のために、WebSphere ソフトウェア・プラットフォームでは「MQSeriesファミリー」と呼ばれる製品群が採用されている。「MQSeriesファミリー」は、メッセージング機能を使って、35以上のオペレーティング・システム上のアプリケーションやデータを統合することができる。またWebアプリケーションとはJavaのAPIやツールを使って容易に連携がとれるようになっている。つまり、WebSphere ソフトウェア・プラットフォームには、インターネットからの入り口およびWebトランザクションを実現する「WebSphere Application Server」と、EAIを実現する「MQSeriesファミリー」が共に組み込まれているのである。

 部門を越えた社内のシステム統合とともにBtoB構築において重要なのは、実際のインプリメンテーション時点における開発ツールもこうした社内システム統合に対応する機能が求められる点だ。あらゆるデータソースに透過的に、統一的な手法でアクセス可能な手段を提供しているかどうかで、開発効率が大きく違ってくる。さらに、汎用機、ERPのようなアプリケーション、「MQSeries」のようなミドルウェア、DB2やOracleなどのデータベースとの透過的なアクセス手法が提供されるかどうかも、開発者にとっては重要な点だ。

 もしもデータソースごとに、それぞれ固有のアクセス方式を意識したコーディングが要求されるようなら、接続先が増えるたびに開発者の手間が増え、要求されるスキルが増え、そして開発期間は増大していくことだろう。その対策として、具体的にはさまざまなデータソースはJavaのBean機能でカプセル化されるべきだ。そのBeanにアクセスすることでアプリケーションからデータソースへアクセス可能になれば、開発者はずっと効率よく、かつ容易にデータソースへアクセスすることが可能になる。こうした機能が開発ツール側で用意されてはじめて、プラットフォーム側の豊富な接続機能が活用できると言えるだろう。後述するが「VisualAge for Java」では、こうしたデータソースへのアクセスを行うData Access Beanや、エンタープライズ・アクセス・ビルダーを備えており、データアクセスへの十分な対応が行われている。

次に社外システムとの連携

 社外システムとの連携という面では何が重要だろうか。BtoBのための通信プロトコルとしてもっともよく利用されるのはHTTPであり、この機能は「WebSphere Application Server」に備わっている。大事なのは、この通信プロトコルにどのようなデータを乗せるかであり、データ生成部分はシステム開発の中でも非常に重要な部分だ。

 むろん、データフォーマットは取引先各社と標準化されていることが前提だ。もし取引先ごとに異なるフォーマットで生成しなればならなかったら、開発の手間はその分だけ余計にかかってしまう。また誤ったデータを生成してしまったら、取引先にそのまま誤ったデータを送信してしまうことになり、大きな問題になりかねない。データ生成部分はシステム開発の大きな要点の1つと言えよう。

 従来のWebアプリケーションでは、このデータ生成とはHTMLを生成することであり、最終的にはWebブラウザで表示されるものを作成することに主眼が置かれていた。もちろん「Visual Age for Java」と「Websphere Studio」でもJSP(Java ServerPages)などのHTML生成機能は充実している。しかし、BtoBではここに新しい要素が求められる。

開発ツールに求められるXMLへの対応

 それはXMLの対応だ。BtoBでは人間がWebブラウザでWebページを見るのではなく、社外のシステムが直接、別の会社のWebサーバへ接続し、データを参照する。つまり、そこには装飾などは必要なく、正しい属性や値が表現されたXMLもしくはHTML文書が用意されている必要がある。将来のBtoBでは、HTTP上でSOAPを利用したXML文書のやりとりが行われることになると思われるが、現状ではHTTP上に直接XML文書を乗せたり、XMLをHTML化したもので情報をやりとりすることが多い。こうした場面では、開発ツールに対してもデータをXML文書化するための機能、またXML文書をHTML化する機能が要求される。

図 たとえば見積のやりとりも BtoBでは発注側も受注側も自動的に処理される

 XML文書の生成やHTMLの変換にはXMLパーサが利用される。「VisualAge for Java」では、技術者の間で定番のXMLパーサとして利用されているXML Parser for Javaを内蔵していて、DOM(Document Object Model)、SAX(The Simple API for XML)を利用したXML文書の操作が行える。また、DTD(Document Type Definition)を基にしたテスト用のXML文書を作成するためのXML Generatorも備えている。

 WebSphereソフトウェア・プラットフォームでは、このようなBtoBを実現するための開発環境が用意されている。では、WebSphereソフトウェア・プラットフォームの開発ツールを個別に見ていこう。

  VisualAge for Java V3.5

 「VisualAge for Java V3.5」(以下「VisualAge for Java」)は、WebSphereソフトウェア・プラットフォームにおけるJava統合開発環境(IDE)だ。Javaアプレット、Javaアプリケーションの開発から、サーブレット、JSP、EJB(Enterprise JavaBeans)などサーバサイドのJavaアプリケーションの開発、デバッグ、テストまでを強力にサポートしており、ビジュアルプログラミングツールにとどまらない、さまざまな統合機能が含まれる。

 前述のXML Parser for JavaやXML Generator以外にも、ソフトウェアの設計・モデリングツールとして有名なラショナル社の「Rational Rose」のモデルファイルからXMIファイルを経由して、設計に沿ったJavaのソースファイルを生成することができるXMIツールキットや分散デバッガ、卓越したバージョン管理機能などを備えている。

 「VisualAge for Java」にはプロフェッショナル版とエンタープライズ版の2つの製品レベルがあり、開発するアプリケーションの目的によってどちらかを選択することになる(図「VisualAge for Java V3.5の機能一覧」)。この製品レベルは「WebSphere Application Server」のスタンダード版とアドバンスド版あるいはエンタープライズ版にそれぞれ対応していると考えると分かりやすい。つまり「VisualAge for Java」のプロフェッショナル版では、開発からテストデバッグまでJava開発に要求される基本的な機能は提供されるが、EJBを使った基幹アプリケーションの開発にはエンタープライズ版が必要となる。

図 VisualAge for Java V3.5の機能一覧

データアクセスをBean化

 BtoBシステム構築において、データベースアクセス機能は必須である。「VisualAge for Java」にはDBアクセス機能がいくつか搭載されているが、基幹DBへのアクセスを容易に実現する機能として注目されるのが、先に述べたData Access Beanだ。Data Access Beanはウィザード形式でDB、テーブル、カラムを指定することによって、JDBC経由でDBアクセス(検索/更新)するBeanを生成する。このBeanはビジュアル・プログラミング環境でソフトウェア部品として容易に利用することができる。また既存のDBからスキーマを読み込むことも可能だ。さらに「WebSphere Application Server」のデータソースや接続マネージャーによる接続プーリングにも対応する。これはコネクションを効率的に再利用することで、高速なアクセス環境を実現してくれる機能である。

 基幹システムとの連携という点では、エンタープライズ版に含まれるエンタープライズ・アクセス・ビルダーが開発を強力にサポートする。エンタープライズ・アクセス・ビルダーは、CICSやENCINA、MQSeies、IMS、SAP R/3など各種ミドルウェア経由のアプリケーションをラップするコネクターJava Beanを生成する。生成されたBeanは、Java ServletまたはJavaアプリケーションに追加できるため、既存のアプリケーションを有効に利用できる。

 エンタープライズ版に含まれるEJB開発環境は、Session Bean、Entity Bean、CMP Entity Beanに対応し、複数のツールによって構成される。当然のことながら、IDEに統合されたコンパイラやデバッガが利用でき、一貫した環境でEJBの開発テストが行える。

 なお、Session Bean などの Enterprise Bean については、「サーバサイドJavaテクノロジ 重点キーワード」を参考にしてもらいたい。

  WebSphere Studio

 「VisualAge for Java」がビジネス・ロジックおよびエンタープライズ統合コードを作成するJava開発環境であるのに対し、「WebSphere Studio V3.5」(以下「WebSphere Studio」)は WebSphereソフトウェア・プラットフォームにおけるダイナミックなWebアプリケーション/コンテンツの開発を目的とする開発環境だ。「VisualAge for Java」と同様、プロフェッショナル版とアドバンスド版の2つの製品レベルがあり、プロフェッショナル版はアドバンスド版のサブセットとなる。「WebSphere Studio」を構成する基本的な機能は次のとおり。

ワークベンチ

 「WebSphere Studio」においてプロジェクト管理、コンテンツ管理のベースとなるのがワークベンチだ。サイトを構成するWebページがグラフィカルに表示され、いずれかのページが更新されるとそれに伴ってリンク関係も自動的に修正されるなどの機能を搭載する。

画面「ワークベンチ」

ページデザイナー

 Webページを作成するのがページデザイナーだ。ワークベンチ上に表示されたHTMLファイルをクリックすることで起動される。ページデザイナーはHTMLエディタとして定評のある「ホームページ・ビルダー」をベースに開発されており、高度なWebページを容易に作成できる。JSPをサポートしており、ビジュアル環境でJSPの編集を可能にしている点が特徴的だ。

画面「ページデザイナー」

サーブレットウィザード

 サーブレットウィザードは、Javaを習得していないWebデザイナーでも簡単にJSPやサーブレットソースコード、SQL文(Insert、Update、Delete)の自動生成をサポートする。アドバンスド版ではさらに、トランザクション、パフォーマンスを分析するWebページ分析ツールや、「VisualAge for Java」のエンタープライズ版と共通のSCM(ソース構成管理)システムを利用できるなど、エンタープライズWebアプリケーション開発を強力にサポートする。

 そのほか、WorkPadや携帯電話、音声デバイスなどのパーベイシブデバイス用のコンテンツ作成に対応するなど、先進のシステム開発機能も豊富である。

  BtoBシステム開発を協力にサポートする、
WebSphereソフトウェア・プラットフォーム

 下の図は、WebSphereソフトウェア・プラットフォームの各要素の相互関係を示したものだ。「WebSphere Application Server」は、今後ますます本格化するBtoBをはじめ、あらゆるエンタープライズ アプリケーションのプラットフォームとなり、すばやいソリューションを提供していくために必須の基盤である。また、MQSeriesファミリー製品も汎用機などを接続するEAIのための必須のミドルウェアである。

 そしてWebアプリケーション開発の中心が「VisualAge for Java」と「WebSphere Studio」だ。エンタープライズシステムの開発には、Webマスター、デザイナー、プログラマーらが多数参加し、Webアプリケーションを開発していくことになる。こうした大規模なチーム開発において、「VisualAge for Java」と「WebSphere Studio」は強力な開発環境を提供することになる。そのうえにさまざまなWebアプリケーションが構築され、BtoBやBtoCを始めとするソリューションが提供されていく。

図 4つの要素からなるWebSphereソフトウェア・プラットフォーム

堅牢性と拡張性を備えたソフトウェア・プラットフォーム

 BtoBはITの中でももっともホットな分野であり、日々新しい仕様、技術、製品が登場している。この激しい変化は当分のあいだ続くだろう。その中で利用価値の高いBtoBのシステムを開発していくには、堅牢であると同時に変化に対応できるプラットフォームでなければならない。EJBをサポートし、XMLなど最新技術に対応していることはもちろん、SOAPやUDDIといったこれから登場する新しい業界標準にも対応できることが求められる。

 IBMはそれら最新技術の標準化に積極的に取り組み、その活動の成果はWebSphere ソフトウェア・プラットフォームを基盤に実装されていく。堅牢性かつ最新標準にも対応できる拡張性、そうしたプラットフォームの条件をWebSphereソフトウェア・プラットフォームは、これからも確実に満たしてくれるだろう。

Information
VisualAge for Java プロフェッショナル V3.5 乗り換えアップグレード

 日本アイ・ビー・エムでは、記事中で紹介したVisualAge for Java プロフェッショナル V3.5 に乗り換えアップグレード版を用意している。これは、Visual Cafe, JBuilder, Visual J++など、他社Java開発製品の正規ライセンスユーザーに対し、通常23,900円のVisualAge for Java プロフェッショナル V3.5 を12,700円(税別)で提供するものだ。

 また、VisualAge for Javaの以前のバージョン(V2.0、V3.0、V3.02)のユーザーも同じ価格で購入できる。

 他社Java開発製品の正規ライセンスユーザーは購入にあたって、レシート、ユーザーマニュアルの表紙、CDケースの表など(コピー不可)を提示する必要がある。

 詳しくは、下記日本アイ・ビー・エムのWebページを参照いただきたい。

http://www.ibm.com/jp/software/ad/vaj-upg/


BtoB構築を支える
IBM WebSphereソフトウェア・プラットフォーム
  第1回 BtoBに求められるキーテクノロジーと
WebSphereソフトウェア・プラットフォーム
第2回 WebSphereにおける統合開発環境、
VisualAge for JavaとWebSphere Studio


 
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