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高まるミッションクリティカルニーズ
LinuxとItaniumシステムはどう応えるか

第4回Developer Daysは六本木ヒルズの六本木アカデミーヒルズ49で開催された

 Itanium® Solutions Alliance日本地域委員会は2007年4月18日、レッドハット主催の「東京レッドハット會議」に併設の形で第4回目のDeveloper Daysを開催した。

 Developer DaysはItanium®プロセッサーのメリットを生かすことをテーマとした開発者向けのセミナーシリーズ。世界各地で開催されているが、日本地域委員会ではこれまで2005年12月にLinux開発者向けセミナー、2006年3月にWindows開発者向けセミナー、2006年10月にミッションクリティカル分野に焦点を当てたWindows関連セミナーを行ってきた。

 今回は、Linuxベースでのソフトウェア開発やシステム構築を担当する人々を対象に、特にRed Hat Enterprise Linux 5 のミッションクリティカルシステム向け機能拡張についてデモを交えて紹介した。

 以下では、当日の講演内容を紹介する。

Itanium® Solutions Allianceのご紹介

Itanium® Solutions Alliance日本地域委員会議長/NEC
泓(ふち)宏優氏

 まず、Itanium® Solutions Alliance日本地域委員会議長を務めるNECの泓宏優氏が、同アライアンスの活動状況を紹介した。

Itanium® Solutions Alliance日本地域委員会議長の泓宏優氏

 Itaniumプロセッサーベースのソリューション供給促進を目的に、2005年9月に発足したItanium Solutions Allianceだが、メンバーは当時の23社から現在は150社を超えるに至り、Itanium対応アプリケーションが1年間で2倍の1万2000以上に達するなど、大きな成果が得られている。

 また、この間にItanium 2プロセッサーの市場は大きな広がりを見せた。Itanium 2プロセッサーファミリーを搭載したシステムの世界における販売金額は、2006年 第4四半期で11億ドルを超えた。日本では特に好調で、2006年末までにSUN SPARC、IBM Powerなどで構成されるISCサーバ市場に対して、既に6割以上の相対的 なシェアを獲得したという。

 今年、Itanium Solutions AllianceではLinux on Itanium市場拡大に本格的に取り組む。その一環としてLinux開発者を支援するため、デュアルコア インテルItanium 2プロセッサー搭載サーバの貸し出しを行う。レッドハットとの協業により、このサーバにはRed Hat Linuxをインストールして提供。ISVに対してはサポートも提供するという。

 さらに、UNIXからLinux on Itaniumへのシステム移行技術を検証し、移行に関するベストプラクティスやナレッジの共有を進める。また、ミッションクリティカル領域に向け、ISVとの協業によりソリューションスタックを検証していく。こうした活動の成果を、オープンソースコミュニティとも共有していきたいという。

Linuxの最新動向〜ミッションクリティカルシステムへ向けて〜

NEC OSSプラットフォーム開発本部 OSS推進センター
グループマネージャー 高橋千恵子氏

 NEC OSSプラットフォーム開発本部 OSS推進センター グループマネージャーの高橋千恵子氏は、組み込みや通信業関連では広く普及しているLinuxが、企業の基幹システム用途でも大きく期待されていると話した。NECでは国内のエンタープライズLinuxビジネスが2005〜2009年の間に年率20%伸び、2009年にはハードウェア/ソフトウェア、SI、サポートで5750億円規模に達すると推定している。

NEC OSSプラットフォーム開発本部 OSS推進センター グループマネージャーの高橋千恵子氏

 すでにNECがかかわるシステム構築案件においても、幅広い業種でLinuxを用いた基幹業務システムを構築する事例が目立ってきているという。金融系では証券フロントシステム、Webサービスによる決済システム、民需系では受発注・集配信システム、公共系では電子申請システム、官公庁・自治体では情報系基盤システムなどの例を高橋氏は挙げ、特にLinuxとOSSのミドルウェアを使ってUNIXからの移行を図るケースが多くなってきたと話した。

 事例の1つにGMOインターネット証券の証券フロントシステムがある。サーバ約60台規模のシステムで、インフラは約4カ月で構築できたという。このシステムではRed Hat Linux上でApache、JBoss、Tomcat、PHP、MySQLといったオープンソース・ミドルウェアを活用しながらもOracle 10g RACやCLUSTERPROといった商用ミドルウェアで補完した。システム全体を2種のSLA要件に分けて構築、メリハリのあるシステムを実現した。

 また、健康食品の通信販売で知られるやずやでは、基幹系サーバをNECのItanium搭載サーバ、OSをRed Hat、データベースはOracle10g RACで構築した。導入の背景としては、共有メモリ不足を解消するため、インテルItanium 2を搭載したLinuxかUNIXが稼働する64ビットサーバの導入を考えていた。そして最新のOracle 10g R2RACがLinuxでのみ使用できたことと、Linuxがコストパフォーマンスに優れていたため、採用を決定。

 サービスインは2006年10月で、計画停止や環境変更による停止以外は、OS、データベースサーバともに24時間無停止運転を続けているという。

 これらの事例を通じて、NECではLinuxでミッションクリティカル・システムを構築する際には入念な検証が必要となること、OSSを活用する際には実証された組み合わせを行うことで、短期のシステム構築が可能になること、OSSミドルウェアには障害解析や運用のための機能が不足しているため、技術者間の情報共有推進や、補完機能の開発・製品化が求められること、などを学んだという 。

Linuxと障害解析、ミッションクリティカルなニーズに対応するための新しい機能

株式会社オープンドリーム 代表取締役副社長
小薗井康志氏


  技術者教育やオープンソースコンサルティングを手掛けるオープンドリーム副社長の小薗井康志氏は、ミッションクリティカルなニーズにLinuxとItanium 2プロセッサーがどのように対応しているかを説明した。
デモを交えて解説を行ったオープンドリーム副社長の小薗井康志氏

 小薗井氏はまず、ミッションクリティカルなシステムの定義として「ダウンしない」「ダウンしても素早く復旧する」「原因を追究できる」という点を挙げ、Linux OSではこれをサポートするための機能拡張として高負荷な処理への対応を目指したカーネルの対応、ダウン時の早期復旧のためのKEXEC、デバッグ手段としてのKDUMP、性能向上のためのSystemTAP、Fryskなどを装備してきていると話した。

 小薗井氏もかかわってきたLinux Foundation(旧OSDL)では、市場の要求をオープンソースコミュニティにフィードバックする活動により、ミッションクリティカルな場面での利用に向けたLinuxの機能拡張を進めてきたが、最新カーネル2.6においてもそれが生かされていると同氏は続けた。

 大規模システム向けカーネルパッチとしては高速ブートのKEXECがあり、ロック機構の改善ではrobust mutex、I/Oサブシステムの改良ではasync I/Oやmultipath I/O、ネットワークスタックではnetem & bridging、セキュリティではLSMなどがある。そのほかにも大規模システム向けのプロジェクトとしてクラスタリングのTIPC、標準化のOpenAISなどがある。信頼性強化に向けたPLM/STP、2.6安定化プロジェクトなども活発に活動している。

 Red Hat Enterprise Linux 5は、過去数年にわたるこれらオープンソースコミュニティの改良努力と、レッドハットをはじめとした企業の改良努力の1つの成果であるという。

 次に小薗井氏はItanium 2プロセッサーに話を転じ、明示的並列演算やハイパースレッディングテクノロジで高いパフォーマンスをもたらすこのCPUが、x86系プロセッサーと異なり高い信頼性機能も兼ね備えていることを説明した。

 キャッシュセーフテクノロジーはキャッシュエラーからの回復機能を提供し、改良型MCAではバスデータエラーの自動検出や記録、訂正機能を果たしている。これらを含め、いわゆるRAS(Reliability、Availability、Serviceability)については、メインフレームやRISCシステムレベルの機能を搭載しており、24時間止めることのできないミッションクリティカルなシステムには欠かせないプロセッサーになっているという。

 LinuxとItanium 2プロセッサーの協調によって実現するエンタープライズ機能の例として小薗井氏は、サーバ仮想化技術の「Xen」を紹介した。パラバーチャライゼーション技術のXenは、ゲストOSを改変する必要があったため、稼働できるゲストOSの種類が非常に限られていた。しかしItanium 2プロセッサーなどに搭載されたインテルバーチャライゼーションテクノロジを活用することで、XenではOSの修正を必要としないフルバーチャライゼーションも利用できるようになった。このため、Windows OSを含めた幅広いOSを、バージョンにかかわらず、最新のハードウェアで稼働させられるようになった。

 次に小薗井氏は、ミッションクリティカル用途に向けたLinuxの機能強化例として、KEXECとKDUMPを、デモを交えて具体的に紹介した。

 KEXECは起動時にBIOSをバイパスすることで、OSの起動を早める仕組み。OSを稼働中に一時的ファイルシステムinitrdとカーネルイメージをメモリ上にロードしておき、システムのクラッシュなどをきっかけとしてそのカーネルに制御を移行するプロセス。システム構成にもよるが、これにより起動時間を4分の1にすることもできることを同氏は示した。一方KDUMPはKEXECがシステムパニック時にシステムのリセットをせずに再起動を行うことを利用して、メモリイメージを取得し、自動的に保存するツール。Crashなどで解析を行うことができる。

 小薗井氏はまとめとして、改良されたカーネルを搭載し、Xen、KEXEC、KDUMPなどの新しいツール群を備えたRed Hat Enterprise Linux 5と、RAS機能が充実し、バーチャライゼーションテクノロジーでさらに強化されたItanium 2プロセッサーは、ミッションクリティカルシステムに最適な組み合わせだと語った 。

第4回 Developer Days講演資料ダウンロード
Itanium® Solutions Allianceのご紹介
Linuxの最新動向〜ミッションクリティカルシステムへ向けて〜
Linuxと障害解析、ミッションクリティカルなニーズに対応するための新しい機能

提供:Itanium® Solutions Alliance
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2007年6月18日
 
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Itanium® Solutions Allianceのご紹介
Linuxの最新動向〜ミッションクリティカルシステムへ向けて〜
Linuxと障害解析、ミッションクリティカルなニーズに対応するための新しい機能

関連リンク
創立メンバー(日本地域委員会)
富士通
日立製作所
日本ヒューレット・パッカード
インテル
NEC
日本SGI
日本ユニシス

Developer Days Japanレポート
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