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工事進行基準、いよいよシステム業界にも導入へ
新時代のプロジェクト管理はこれで決まり!

 2009年4月よりソフトウェア請負開発にも適用される「工事進行基準」による収益計上は、単なる会計基準の変更という枠を超え、多くのIT企業に開発体制の抜本的な改革を迫る。会計基準というと経理だけの問題のようにとらえられがちだが、この会計基準の変更は開発現場や営業現場に大きな影響を与える。では、どういった対処が必要か。それは、開発業務の標準化と、詳細なプロジェクト計画とボトムアップ見積もりの作成、そして信頼性のある進ちょくのトラッキングを実現することだ。そこで「Microsoft Office Project 2007」が、いかに工事進行基準採用のプロジェクト管理に貢献するかを紹介しよう。

  工事進行基準の導入がプロジェクト管理に変革を迫る

 2009年4月よりシステム・インテグレータ(SIer)などの受注ソフトウェア開発業の収益計上に、原則として「工事進行基準」が適用される。

 これまでのIT業界では「工事完成基準」が一般的だった。これはプロジェクト終了後に収益を計上する方法だ。

 これに対して工事進行基準は、プロジェクトの進ちょくに応じて徐々に収益を計上する。開発が進行中であっても、会計期間(四半期財務報告を導入している会社なら四半期)ごとに、進ちょく率に応じた収益を計上する。

 進ちょく率を確定する方法としては、一般的に原価比例法またはEVM(Earned Value Management)が用いられる。原価比例法では、発生原価を見積もり総原価で割った値を進ちょく率として採用する。

 これらを採用するには、ソフトウェア開発で発生するコストのほとんどが人件費のため、(1)フェイズごとに詳細化した計画を立て、適正なメンバーをアサインし、高い精度で見積もりを算出し、(2)メンバーそれぞれの進ちょくを正確にトラッキングして発生コストを把握することが必須となる。これまでの業界の慣例ともいえるどんぶり勘定では通用しなくなる。さらに会計監査に対応できるように、総原価や発生原価の根拠を開示可能な方法で記録しておくことが求められる(図1)。

業務プロセスの定義 ■エンジニアリングプロセスの標準化
  開発プロセスを定義し、標準テンプレートを構築する
■マネジメントプロセスの設計
  プロジェクト管理のフローの構築
  管理レポートの定義
精度の高い見積もりの作成 ■フェイズごとに詳細化した見積もり
  WBSの作成
  リソース計画の作成
  ボトムアップ見積の実施
迅速な進ちょくの管理 ■発生主義に基づく迅速な発生原価の収集
 プロジェクト単位での経費情報の収集
 現場での定着が容易な実績把握システムの構築
 進ちょく状況のリアルタイムなモニタリング

図1 工事進行基準に対応するには、まず開発プロセスを定義し、精度の高い見積もりを作成する。そのうえで実際のコストを把握することが必要となる

 工事進行基準は会計基準の変更とはいえ、いかにプロジェクト現場に影響を与えそうかお分かりいただけただろう。そもそもプロジェクトの開始までには、精度の高い見積もりを作る必要がある。見積もり作成のためには、詳細な計画まで落とし込む必要がある。そして実際に開発を進める段階では、発生コストと進ちょく率を把握し、きちんと記録する必要がある。

 つまり、プロジェクト管理が高いレベルで行われることこそが、工事進行基準導入への対応の王道なのだ。工事進行基準導入には、さまざまなメリットがある。いままでグレーなままだったプロジェクトの詳細を可視化して、会社は早期に赤字になる可能性のあるプロジェクトを見つけ出して是正することが可能になる。では「Microsoft Office Project 2007」が、どのようにプロジェクト管理の強化に貢献するかを見てみよう。

  信頼性のあるボトムアップ見積もりを作成

 一般に見積もりというと、営業が概算レベルで作成するのがIT業界の通例であった。しかし原価比例法で進ちょく率を算出するためには、概算レベルではない根拠ある数値によるボトムアップ見積もりが不可欠となる。そのためには、属人的になりがちな細かい計画まですべてを要素に落としこんで作成した詳細なWBS(Work Breakdown Structure:作業分解図)をベースに、各タスクにアサインされたリソースの人月単価と工数を掛け合わせてワークパッケージごとのコストを出し、それをすべて足し込んで算出する必要がある。

画面1 このように、作業を算出し、スケジュールを作成することが簡単にできる(画面をクリックすると拡大して表示されます)

 「Microsoft Office Project 2007」で提供されるのは、WBSを時間軸で表現した詳細な計画表である。「要件定義」「基本設計」「詳細設計」などの各プロセスを細かいタスクに分割し、それぞれに担当者のスキル、期間、マイルストーン、成果物を定義する。タスクごとにコストとリソースを割り当てられるため、そのままボトムアップ見積もりとして利用できる実用的な計画書が作成できるのだ。

 信頼性のある計画書を作るコツは、タスクをできる限り漏れなく洗い出してWBSに反映すること。大枠をトップが作成して、細かい部分は現場でブレイクダウンするように指示しても、担当の業務外のことはなおざりにされがちなので、プロジェクト管理オフィス(PMO)かそれに当たる担当者が業務形態に即したものを作り込むことが望ましい。

  業務プロセスの標準化を推進する「テンプレート機能」

 常に一定した精度の高い見積もり計画を作成するには、全社で業務プロセスを標準化することが求められる。見積もりにおける属人的な要素をできるだけ標準化してテンプート化することが重要になる。さらに工事進行基準に対応するためにフェイズごとに必要になる顧客の承認や、社内手続き、上司による計画のレビューといったさまざまな業務も標準化してテンプレートに規定することが必要となる。「Microsoft Office Project 2007」のテンプレートにはさまざまな「作業指示」を規定することができる。詳しくは、TEKI-PAKIサイトの記事を参考にしてほしい。

 詳細にテンプレートを作成すれば、プロジェクトマネージャ個々人の属人的な作業要素のブレを最小化し、開発業務の標準が完成する。さらに「Microsoft Office Project 2007」では、終結したプロジェクトをテンプレートとして保存できる。財務ソフト開発用、人事管理ソフト開発用、販売管理ソフト開発用……など、案件の種類ごとに開発の標準的な流れをテンプレート化し再利用すれば、計画精度の向上と均一化に貢献する。新米プロジェクトマネージャであっても、ベテランと同じ計画精度でプロジェクト管理に臨むことが可能になるのだ。

 テンプレート化に当たっては、保存する属性を選択できるので、リソースの情報をカットしてタスクと期間をテンプレート化するなどの応用も可能だ。プロジェクトの開始日を指定すれば自動的にすべてのタスクに開始日と終了日が設定されるため、再利用に伴う煩雑な操作も必要ない。

  リソース管理もラクラク自動計算

 「Microsoft Office Project 2007」を使用する最大のメリットは、リソースの管理にある。タスクに割り当てられたリソースの累積作業時間、作業負荷予定などをリソースのデータベースとして保持している。WBSやガントチャートの作成だけならば「Excel」などの表計算ソフトで代用することも可能だが、このデータベースを利用した多彩なリソース管理機能は、プロジェクト管理ツールならではのものだ。

 各担当者は多くの場合、ドキュメント作成、開発、テストなどの複数タスクを兼務するため、リソースの競合が起きることが多い。そこで「Microsoft Office Project 2007」の[リソース配分状況]ビューを使用すれば、例えば1日8時間以上の作業を割り当てられている負荷の高いメンバーは赤字で表示させることができる。それを一覧表示にすると各タスクに何時間ずつリソースを割かれているのか一目で分かる。そのため、人的に管理しているときは把握しづらいリソースの偏重を可視化できるのだ。

 リソース管理の重要な点は、全員にできるだけ均一に仕事を割り振って残業をさせないことだ。過重負荷は必ずクオリティの低下につながり、クオリティの低下はミスによる手戻りに、ひいてはスケジュールの遅延へとつながっていく。しかし、リソースに偏重が生じた際に、スケジュールを鑑みながら人の手でリソースを均一に分配し直すことは非常に難しいことだ。

画面2 「Microsoft Office Project 2007」の[リソース配分状況]ビューを使用すると、誰がどの工数で忙しいのか、一目瞭然となる(画面をクリックすると拡大して表示されます)

 「Microsoft Office Project 2007」の[リソースの平準化]を利用すると競合の起きているリソースを自動調整し、なるべく全体のスケジュールに響かないよう考慮しながら修正案を提示できる。割り当て超過を解消し、理想的なリソース配分を実現することができる便利な機能だ。

画面3 「Microsoft Office Project 2007」の[リソースの平準化]で、リソースの平準化が簡単に行える

 以上までの全機能は、スタンドアロン型のデスクトップ版である「Microsoft Office Project Standard 2007」で提供されている。工事進行基準への対応は、まずはデスクトップ版の導入による詳細なWBSに基づく見積もりと、質の高いプロジェクト管理への大きな一歩となるだろう。

  サーバ版で進ちょくトラッキング

 次に重要なのは、プロジェクトの進行に応じて進ちょくをトラッキングすることだ。工事進行基準では、進ちょくに応じて収益を計上するため、進ちょくの把握が肝要である。進ちょく率を原価比例法によって算出するには、開発コストとほぼイコールであるプロジェクトごとの各担当者の実作業時間コストを収集することが不可欠となる。

 「Microsoft Office Project Server 2007」を導入することで、この進ちょくのトラッキングを容易に行えるようになる。同製品は、タイムシートという時間管理機能を持っている。これは、どのプロジェクトに、どの担当者が、どれだけの時間を費やしたかをトラッキングするための機能である。各担当者は日次や週次などでリアルタイムにタスクごとの実働時間をタイムシートに入力し、承認を受けることで進ちょくがリアルタイムに更新され、プロジェクトの達成率、作業時間、残存時間まで自動計算される。実績と計画との差異が明確になるため、プロジェクトマネージャは問題の生じたプロジェクトへの早めの処置が可能となる。

画面4 タイムシートがあると、どのプロジェクトにどれだけの時間を費やしたかをトラッキングできる

 そのためには、各担当者に対して進ちょくの入力を徹底させなければならないが、専用のアプリケーションなどでは、その画面を開く手間がネックになってなかなか現場に徹底できないことが多い。そこで「Microsoft Office Project Server 2007」に用意されているのが、「Microsoft Outlook」との連携機能だ。普段メーラーやスケジューラとして使用されるOutlookの予定表から稼働時間の入力・更新を直接アップロードできることで入力負荷を軽減し、こまめな入力をサポートする。

画面5 「Microsoft Outlook」との連係。Outlook情からタスクをクリックすると、次の画面6のように進ちょくを入力できるよになり、そのままサーバに対してアップロードできる(画面をクリックすると拡大して表示されます)
画面6 この画面で稼働時間の入力、変更などができ、サーバに対して直接更新できる。このような連係機能によって、工事進行基準に対応するために必要な進ちょく管理も、メンバーの負荷を最低限に抑えながら実現できる

 また、「Microsoft Office Project Server 2007」に装備された[プロジェクト センタ]を用いれば、サーバで管理する全プロジェクトの状況を一覧表示できる。こうすると当初の計画とズレの生じたプロジェクトや、赤字状況のプロジェクトを横断的に把握できるため、各プロジェクトのリスケジュールを行う際にも、統一したルールに則った処置を取りやすくなる。工事進行基準においては、会計期間において赤字が発生した場合、その期において工事損失引当金を計上して、プロジェクトの再計画を行い、見積総原価を修正する必要がある。プロジェクトの計画と実際のギャップをリアルタイムで把握して、必要に応じて再計画を行うには、このような全社横断的なプロジェクトの進ちょくの把握が重要になる。

画面7 「Microsoft Office Project Server 2007」の[プロジェクト センタ]で、サーバで管理するすべてのプロジェクトの状況を一覧で表示できるので、計画とズレの生じたプロジェクトや、赤字状況のプロジェクトをすぐに把握できるようになる

  TFSや会計ソフトとの連携機能も

 さらに「Microsoft Office Project 2007」を「Visual Studio Team Foundation Server」(TFS)と連携させれば、進ちょく時間だけではなく、作業項目の詳細やコードの改変内容など成果物のトラッキングも可能となり、より厳密なプロジェクト管理を行える。

 工事進行基準への対応で重要となる会計ソフトとの連携については、市販の会計ソフトに「Microsoft Office Project Server 2007」に蓄積されたデータを送り込んだり、外部システムとの連携モジュールをユーザーが作り込むためのPSI(Project Server Interface)を含むSDK(Software Development Kit)が提供されている。

 特に四半期会計では、原則として決算日から45日以内に財務諸表を提示しなければならないため、迅速な対応が求められており、会計ソフトとの自動連携の道筋が提供されているメリットは大きい。

 工事進行基準には不可欠のプロジェクト管理ツールといえる「Microsoft Office Project 2007」。プロジェクトマネジメントを抜本から改善することが、新しい会計基準対応への近道なのだ。

セミナー情報
工事進行基準に向けた プロジェクト マネージメント実践セミナー

2009 年 4 月から会計基準が変更され、作業の進捗度に応じた収益と原価を、四半期決算のたびに計上していく「工事進行基準」が、IT 企業の SI 業務 (プロジェクト) にも適用されます。企業はシステム開発業務の開発プロセスの標準化、個々のプロジェクトの精緻な見積もり、リアルタイムな進捗の把握を実現する事が求められて来ます。
このセミナーでは、より具体的に開発現場において工事進行基準に向けたどのような準備が必要になるのかを、ご紹介してまいります。

日程:9月19日(金) 参加費:無料
会場:ベルサール神田 主催 : マイクロソフト株式会社

提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT情報マネジメント 編集部
掲載内容有効期限:2008年9月25日