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仮想化から手軽に始めるプライベートクラウドとは?
2011/10/25
プライベートクラウド構築には高価なソフトウェアが必要で、ハードルが高い。そう感じている人はいないだろうか? そうではなく、仮想化の延長として捉え、現在の取り組みから自然にステップアップしていけるマイクロソフトの製品群を紹介しよう。
仮想化技術はプライベートクラウドへ向けての第一歩
ここ数年の間で、企業ITの世界では「プライベートクラウド」という言葉がさかんに取り上げられるようになってきた。プライベートクラウドとは一言で言えば、「社内に構築したクラウド・コンピューティング環境」のことだ。こう聞いてもピンと来ない方も多いかもしれないが、例えばGoogleやAmazon.comのクラウドサービスをイメージしてもらえれば分かりやすいだろう。これらのいわゆる「パブリッククラウド」のサービスをインターネット経由で利用するのと同じような感覚で、社内システムのITリソースをサービスとして利用できるようにするというのが、プライベートクラウドの基本的な考え方だ。
社内のITリソースをサービスとして利用できるようになれば、ユーザー、IT部門双方に大きなメリットがもたらされる。少し前までは、業務でITが必要になった際、機器の調達やそのセットアップに多くの手間や時間を要した。しかしプライベートクラウド環境では、ITのリソース利用の申請を出せば、すぐに必要なIT環境を手に入れることができる。業務にITが必要になった時点ですぐに環境を構築できるため、ビジネスの変化に迅速に追随できるITが実現されるというわけだ。
しかし一般的に、こうした仕組みを構築するためには技術的なハードルや多大な投資が付き物だと思われがちだ。そのため、プライベートクラウドに対して懐疑的なユーザーも少なくないようだ。しかしプライベートクラウドは、必ずしも高価な製品やソリューションを大々的に導入して一気に構築するものではない。むしろ、コスト削減を目指して幾つかの段階を経て徐々に仕組みを作り上げていくやり方の方が現実的である。
ちなみにその第一歩は、実は既に多くの企業が知らぬ間に踏み出している。それが、仮想化技術である。プライベートクラウド環境下では、コスト削減に向けてリソースの管理を自動化する必要があるため、物理環境への依存度を下げ、管理機能の多くが自動化を意識して作られている仮想化技術の導入は、プライベートクラウドに向けての最初の一歩に最適というわけだ。仮想化技術によって、ITリソースが「仮想サーバ」や「仮想ストレージ」などのサービスという形で提供される。
サーバOSの標準機能として搭載された仮想化基盤「Hyper-V」
仮想化技術、特にサーバ仮想化は、今やごく当たり前のテクノロジーとして多くの企業で導入され、着実に成果を上げつつある。特に、物理サーバを仮想化し、集約することによるサーバ台数の削減効果は、確実に大きなコストメリットを生むことができる。サーバのハードウェアコストを削減できるのはもちろんのこと、データセンターのスペースの縮小や消費電力の削減など、多くの面でITコストの削減効果をもたらす。
また、運用を少し工夫すれば、さらにITリソースの利用を効率化できる。仮想化されたサーバは、ハードウェアから分離した形で管理されるため、例えば物理サーバの負荷が高まってきた際に別のサーバ上へ仮想サーバ環境を移動させたり、あるいは仮想サーバの環境を丸ごと別の場所にコピーして、万が一の災害に備えるといったことが容易に実現できる。このようにサーバ仮想化は、システム運用管理の柔軟性という面でも企業のIT部門に大きなメリットをもたらす。
しかし、プライベートクラウドどころか、サーバ仮想化に対して「敷居が高い」と感じる人がいまだに多いことも事実だ。特に、仮想化環境を構築するために専用のソフトウェアを購入し、それを運用していくことは、企業のIT部門にコストの面でも人的スキルの面でも少なからぬ負担を強いることになる。
その点、サーバ仮想化に対して独自のスタンスでソリューションを提供しているのがマイクロソフトだ。同社は、仮想化ハイパーバイザーソフトウェア「Hyper-V」を提供しているが、その提供形態は他社のそれとは大きく異なる。日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部エバンジェリスト 高添修氏は、次のように説明する。
「Hyper-Vは、サーバOS『Windows Server 2008 R2』の一機能として提供される。従って、仮想化専用ソフトウェアを別途購入する必要はなく、サーバOSさえあればすぐにサーバ仮想化を始めることができる。つまり、プライベートクラウドへの第一歩を、今すぐ踏み出せるということだ」
OSの標準機能として仮想化ソフトウェアが実装されていることは、技術者のスキル管理の面でもメリットがあるという。仮想化専用製品を導入した場合には、仮想化以外の他のシステムとは別に、その製品に特有のスキルを習得しなければならず、特定ベンダーの枠組みの中に身を置くことになりがちだ。しかし、Hyper-VはあくまでWindows Serverの一機能という位置付けなので、Windowsプラットフォーム上のさまざまな製品や技術との親和性が高い。仮想化をベースに将来的なプライベートクラウド(サービス化)への移行を考える上では、仮想化のテクノロジーと、仮想化以外のテクノロジーとの間の親和性が重要なポイントになるが、Hyper-Vはこの点においても有利なソリューションだといえるだろう。
ちなみに、Hyper-Vが組み込まれたWindows Server 2008 R2には、180日間無償で利用できる試用版が用意されている。またHyper-Vには、そのハイパーバイザーとしての機能を単独で利用できる「Hyper-V Server 2008」というバージョンも用意されており、こちらはもともと無償でダウンロード・利用できるようになっている。プライベートクラウドへの第一歩としてサーバ仮想化を気軽に試してみるには、まさに打って付けだといえよう。
仮想化環境の管理基盤と簡易プライベートクラウドを実現する「SCVMM」
ちなみに、サーバ仮想化の導入を進めていくと、次第に「仮想化環境の運用管理」という新たな課題が持ち上がってくる。旧来の物理環境では、主に物理サーバに主眼を置いてシステムを管理していれば事足りていたのが、仮想化環境では仮想サーバという新たな管理対象が登場することになる。仮想サーバは物理サーバと比べはるかに手軽に生成でき、かつ柔軟に展開できるメリットがある半面、その手軽さや柔軟性故に管理の煩雑さが増してしまうのだ。
この点においても、マイクロソフトは独自のソリューションを打ち出している。同社が提供する仮想化環境管理ツール「System Center Virtual Machine Manager 2008 R2」(以下、SCVMM)は、仮想化環境を管理するための基本的な機能を過不足なく実装した、シンプルで使いやすい製品だ。
「Hyper-V自体にもWindows Serverの基本機能として、必要最低限の仮想マシン管理機能が付属しているが、SCVMMはそれを1ステップ押し上げて、仮想化環境全体の本格的な管理基盤を構築できる製品になっている」(高添氏)
SCVMMの具体的な機能の例を1つ挙げてみよう。SCVMMが備える数々の機能の中の1つに、仮想サーバを効率的に生成するための「ライブラリ機能」というものがある。この機能を使うと、仮想マシンのOSの種類や仮想ハードウェアのスペック、OSの設定情報などをすべてまとめた上でテンプレート化し、それを基に仮想マシンを自動生成できるようになる。こうした仕組みがない環境では、管理者が1つ1つの仮想マシンの設定を、一から手作業で行う必要があるが、SCVMMのライブラリ機能を使えばこうした作業の大部分が不要になり、仮想マシンの運用効率の大幅な向上が期待できる。
余分な機能を持たず、基本的な機能に特化した製品である点も、SCVMMの大きな特徴の1つだ。仮想化環境の管理機能を謳った運用管理ツール製品の中には、例えば本格的なプライベートクラウドを実現するためのワークフロー機能など、とにかく豊富なスペックを誇るものが少なくない。しかしこうした機能は、ニーズや予算に合わせて段階的に仮想化環境やプライベートクラウドを構築していきたいと考える企業にとっては、必ずしも必須ではない。その点SCVMMは、「Hyper-V が複数台になった際に、それらを1つの仮想化基盤として管理したい」というニーズに応えてくれる。運用管理ツールといえども、誰でも使いやすいものを提供するというマイクロソフトらしい製品といえよう。
かといって、SCVMMがプライベートクラウドとまったく無縁な製品というわけではない。それどころか、プライベートクラウドでは必須といわれている「セルフサービス・ポータル機能」を標準で備えており、ごくシンプルなプライベートクラウド環境を構築することも可能になっているのだ。
仮想化やプライベートクラウドと聞くと、高価な専用ソフトウェアを何種類も新たに導入しなくてはいけないというイメージを抱く人が多いかもしれないが、実はここまで見てきたように、Hyper-V、すなわちWindows Server 2008 R2と、SCVMMを組み合わせて運用するだけで、プライベートクラウドの原型は簡単に出来上がってしまうのである。ちなみに、SCVMMもHyper-Vと同様、評価版を無償でダウンロード・試用することが可能になっている。
本格的なプライベートクラウドの運用を支援する無償ツール「VMMSSP」
では、さらに本格的なプライベートクラウド環境を構築したいと考えているユーザーは、一体どうすればいいのだろうか? やはり、大手のベンダーが提供する、重くて高価な製品を導入する必要があるのだろうか?
実はマイクロソフトは、そうしたニーズに対しても既にソリューションを提供している。しかも、無償でだ。それが、「Virtual Machine Manager Self Service Portal 2.0 SP1」(以下、VMMSSP)というツールである。同ツールは、SCVMMと組み合わせて運用することで、本格的なプライベートクラウドを実現するための数々の機能をIT管理者とユーザーに提供するものだ。
その主たる機能は次の2つ。
1つは、プール化された仮想ITリソースをユーザー自ら申請できるようにするための「プライベートクラウド・ポータル機能」。もう1つは、ITリソースの申請から承認、提供までの一連の業務フローを制御する「ワークフロー機能」だ。
プライベートクラウド・ポータルとは、ITリソースの取得と管理をユーザー自身が行えるよう、セルフサービスのインタフェースをポータルサイトとして提供する機能である。先ほど、SCVMMにもこの機能が実装されていると説明した。しかし、SCVMMが標準で用意しているのは、IT管理者が事前に割り当て作業を行った仮想マシンをユーザーが管理したり、許されている範囲内で仮想マシンを自動的に作成・削除するためのポータルである。ここにはサービスという概念はあまりない。しかし、本格的なプライベートクラウド環境の運用においては、ITはサービス化されるため、ユーザーがほしい時に申請をし、管理者が申請を承認し、仮想マシンが作成され、ユーザーへ提供されるといった一連の業務フローが流れることになる。VMMSSPでは、この一連の業務フローを制御・管理するためのワークフローツールとしての機能も実装しており、これを標準のセルフサービス・ポータル機能とともに運用することで、本格的なプライベートクラウドの運用基盤を実現するのである。
また先述した通り、VMMSSPは無償で提供される。マイクロソフトのサイトから同ツールをダウンロードし、SCVMMが導入されている環境にインストールすれば、すぐに本格的なプライベートクラウド環境を構築することができる。先に挙げたHyper-VとSCVMMの試用版と組み合わせれば、コストゼロでプライベートクラウドの評価環境を一通り構築することも可能だ。検証の際、多種多様なハードウェアで動作するHyper-Vの良さが更に活きることだろう。
System Centerの次期バージョンが実現する世界とは
ここまで紹介してきたように、マイクロソフトが提唱する仮想化やプライベートクラウドのソリューションは、一足飛びに未来の世界に到達するというものではない。むしろ、ユーザーのさまざまなニーズや事情に応えられるよう、段階的なソリューション導入が可能な形をとっている。
「Hyper-Vによる仮想化、SCVMMによる仮想化環境の管理基盤と簡易プライベートクラウドの実現、そしてVMMSSPによる本格的なプライベート環境の構築。これら3段階の中から、顧客のニーズに応じて使いたいものを使っていただく。これが、マイクロソフトのプライベートクラウドに対するスタンスだ。他社のプライベートクラウドソリューションと比べ、幅広いお客さまの現場ニーズに応えられるアプローチであると自負している」(高添氏)
さらに同社では近い将来、さらに進化したプライベートクラウド関連ソリューションの提供を予定している。2012年中のリリースが予定されているSystem Centerの次期バージョン「System Center 2012」では、仮想化環境の管理機能が大幅に拡張されるのに加え、ITILベースのインシデント管理やランブックオートメーションといった、システム全体の運用管理基盤と完全に一体化されて提供されるという。本稿では紙幅の関係上、その詳しい内容に触れることはできないが、同製品のβ版は既にマイクロソフトから公開されているので、気になる方はぜひ試してみてはいかがだろうか。
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評価版ダウンロードリンク
- Windows Server 2008 R2 SP1 180日評価版
- Hyper-V Server 2008 R2 (無償)
- System Center Virtual Machine Manager 2008 R2 SP1 180日評価版
- System Center Virtual Machine Manager Self-Service Portal 2.0 SP1 (無償)
- Microsoft System Center 2012 ベータ 180日評価版
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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2011年11月24日