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 @IT > Windows Server 2003導入事例:住友ゴム工業株式会社
 
@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局

掲載内容有効期限:2003年11月30日

 

新製品開発支援システムの
Windows Server 2003への迅速な移行に成功
将来の全面的な移行による効果に大きな期待

“ダンロップ”ブランドで知られる住友ゴム工業株式会社は、2003年7月のグループ事業再編を機にSRIグループとして新たなスタートを切った。SRIグループの中核事業の1つであるタイヤ事業において、技術開発を担うタイヤ技術本部では、それまでWindows 2000 Server上で構築されていたアプリケーションをWindows Server 2003上に移行することに成功した。同時に、Windows Server 2003のハードウェアプラットフォームとして採用されたのはNECのIAサーバ「Express5800シリーズ」だ。今後、同社のタイヤ技術本部のサーバは一斉にリプレース時期を迎えるが、順次Expressサーバの新機種を導入すると同時にWindows Server 2003への移行も進めていく予定だ。

 
新製品開発を支えるシステムをWindows Server 2003上に移行

 住友ゴム工業株式会社(以下住友ゴム)タイヤ技術本部では、タイヤの新商品、新技術の研究開発という業務を担当している。その内容は、試作品の図面作成、タイヤ構造設計、新材料の開発、外観デザインの製作、性能試験の実施、解析などと多岐に渡る。そして、これらの業務を支援するためのITインフラとして、現在26台のExpressサーバが設置され、その上で20以上のさまざまな支援システムが稼働する。タイヤ技術本部の業務は、これらの支援システムがなければ成立しないといっても過言ではない。

 ところで、同部では1999年から2000年にかけて導入したExpressサーバが2003年から2004年にかけてリースアップの時期を迎えようとしていた。しかも、2003年6月にはWindows Server 2003のリリースが控えていたため、既存のWindows 2000 Serverのままマシンをリプレースするか、それともWindows Server 2003に移行するかが問われている状況だった。

住友ゴム工業株式会社
タイヤ技術本部 技術企画部
課長 大森武夫氏
「サーバの選定基準は品質だと考えています。Expressサーバは、NECのサポート内容も含め、導入前のインフラと比較して非常に満足しています。今後リプレースが予定されるサーバについても順次Expressサーバの新機種を導入する予定ですが、Windows Server 2003への移行とあいまってさらならる作業効率の向上やコスト圧縮という点で期待をしています」

 タイヤ技術本部のITインフラの整備に対する基本スタンスは、緻密な計画で事を進め、大きな冒険はしないことだという。従って、当初はWindows Server 2003への移行には積極的ではなかった。住友ゴム工業株式会社 タイヤ技術本部 技術企画部 課長 大森武夫氏は当時をこう語る。「技術本部が求めているアプリケーション機能を満たすには順次Windows Server 2003へ移行するのが当然だろうと考えていました。しかし、システムの安定稼働も求められており、製品の安定を待つことを考えると、7月から8月にかけての最初のリプレースではWindows 2000 Serverのまま行くべきだと考えていました」。

 このような基本スタンスをとりつつ、一方で、将来的には導入することになるであろうWindows Server 2003の評価を2003年2月という非常に早期の段階から開始していた。ここに、事前調査と将来の計画に余念がないという姿勢が現れている。検証作業を行ったのはSRIグループの株式会社エス・アール・アイシステムズ 第五システム部 兼 技術開発室 主査 沢茂樹氏だ。「さまざまなセミナーや情報誌、ホワイトペーパーから情報を集めると同時に、Windows Server 2003 RC2版を入手して検証を行いました。その内容は従来からのアプリケーションがWindows Server 2003上で問題なく動作するかどうか。従来までサイベースで運用していたデータベースをマイクロソフトのSQL Server 2000に移行した際の整合性でした」(沢氏)。

 検証作業は、さまざまなアプリケーションに対して約半年の期間をかけて行った。その結果、検証したアプリケーションの多くは、そのまままったく問題なく移行できることが確認されたという。その他のアプリケーションは引き続き検証作業を継続することとした。また、バックアップツールなどの周辺のユーティリティ類についても、問題なく使用できることが分かったという。「バックアップや無停電電源に関わるソフトウェアの互換性はNECの協力を得て情報を入手しました。NECからは、Expressサーバ本体のみならずその周辺におよぶトータルなサポートが得られたからこそ、Windows Server 2003での互換性の検証作業がスピーディーに行えました」と、NECの手厚いサポートが円滑な検証作業の遂行につながったことを沢氏は強調する。

株式会社エス・アール・アイシステムズ
第五システム部 兼 技術開発室
主査 沢茂樹氏
「Windows Server 2003の検証作業では、非常に安定したOSだという印象を受けました。正直、操作面での仕様変更でとまどう点もありましたが、技術者の慣れで解決できると考えています。残りの多くのシステムを移行するために行わなければならない作業は多くありますが、Windows Server 2003の新機能には管理側におけるコスト削減効果を大きく期待しています」

 こうして、Expressサーバのリプレースを迎える前に、移行対象のアプリケーションと周辺のソフトウェアやハードウェアに関しての検証作業を終了していた。この実証結果が、大森氏の当初の考えを覆すことになり、「はじめからWindows Server 2003で行くことを決意しました」(大森氏)という結果を導いた。

 移行することになったアプリケーションは全部で7本だ。Webアプリケーションとクライアント・サーバアプリケーションの2種類に分かれ、2台の新しいExpressサーバで稼働することになった。クライアント・サーバアプリケーションで主要なものは「室内性能依頼書システム」だ。これはタイヤ性能の検証を実験部署に依頼するための依頼書作成支援システムだ。10数種類のタイヤについて100を越える試験項目より必要試験を複数選択し、同時に個々の試験条件を入力するもので、その後の測定、報告、データベースへの登録とデータ連携が計られている。この室内性能依頼書システムは、技術本部の業務を支えるシステムとして最も重要なものであり、このアプリケーションがいち早くWindows Server 2003上にマイグレーションされたというわけだ。

  Webアプリケーションで主要なものは「図面管理システム」だ。これは、金型の採番、依頼情報、金型の仕様情報を管理し、CADデータファイリングのパッケージソフト「EMDMICS」とデータ連携を図るものだ。

 
移行メリットは管理コストの削減とパフォーマンスの向上

 Windows Server 2003への移行に伴い、導入されたサーバはNECの「Express5800/120Rf-2」だ。2台導入された同サーバはCPUにXeon 2.80MHzを採用する2Uタイプのミッドレンジクラスのサーバである。CPUを2基搭載しディスク装置はRAID5で構成、パフォーマンスを確保した。

 1台はIIS 6.0を採用したイントラネットシステムだ。このExpressサーバにWebアプリケーションが配置されている。もう1台はデータベースにSQL Server 2000を採用する。両者とも8月末日から稼働を開始し、今日までにシステムトラブルに見舞われたことはないという。「2月からのRC2を使った検証作業と合わせ、使用には非常に安心感があり満足しています」と沢氏は語る。実際、IIS 6.0は従来からアーキテクチャが大きく変更されており、IISで発生したエラーの影響をシステムが受けにくくなっている。また、パフォーマンス面でもよい成果を得られている。「Webアクセスの性能が向上しました。初回起動は変わりませんが、2回目以降の起動速度は2割以上向上しています」(沢氏)。

ExpressサーバとWindows Server 2003で構成されるシステム構成

 さらに「管理コスト削減やユーザーの利便性の面でのメリットも非常に大きい」と沢氏は語る「“共有フォルダのシャドウ・コピー”機能によって、共有フォルダのファイルが誤って消されてしまった場合の復旧が可能になりました。過去に重要なファイルを消してしまうというトラブルが実際に数件ありましたが、これが解消されます」(沢氏)。また、Expressサーバは管理者とは別棟のサーバルームに格納されている。しかし、ターミナルサーバを活用することで、リモートからの管理が容易になったことも評価している。

 
2005年までの移行計画をすでに策定

 今後リプレースが予定されている24台のサーバ移行計画については、すでに緻密な移行計画案が練られている。その中にはWindows NT 4.0が稼働するExpressサーバも含まれており、NT4.0からWindows Server 2003へのアプリケーションの移行検証も開始されている。

 アプリケーションをWindows Server 2003に移行する場合には、バイナリによる移行ではなく、Visual Studio .NETでソースコードを再コンパイル、もしくは移行ツールを使って移行する方向も検討しているという。「Visual Basic 6.0で開発しているアプリケーションが非常に多くあります。これらのシステムについて、Windows Server 2003やVisual Studio .NETで強化された機能を利用して技術本部が要求しているアプリケーション機能をいかに実現できるかが今後のポイントとなります」(大森氏)。

 また、タイヤ技術本部では、これから移行を控えるすべてのExpressサーバも、NECのExpressシリーズを採用していく方向だ。「1999年以降、順次NECのサーバへ切替を実施してきました。サーバから周辺機器にいたるまで、安心感のあるサポートを提供していただける点に非常に満足しています」と大森氏は語る。

 将来のWindows Server 2003への全面的な移行に備え、住友ゴム タイヤ技術本部は着々と準備を進めている。Expressサーバのパフォーマンスと信頼性、Windows Server 2003がもたらす管理コストの削減、利便性の向上に大きな期待が寄せられている。

 
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