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Linuxへの積極的な取組みで知られるNECソフト。同社は、UNIXによって培われた技術力をベースに、Linuxを企業インフラへの活用からアプリケーションレイヤまで引き上げる実績を積み重ねてきた。企業におけるこれからのLinuxの活用はどうなるのか? NECソフトの今後の取組みは? 同社でLinuxソリューションを手がけるキーマンに聞いた。
NECソフト株式会社
サーバソリューション事業部
Linuxソリューション
鈴木敦夫氏

 なぜ我々はLinuxにコミットするのか

―― 技術とサービスがNECソフトのコアコンピタンス
 NECソフトがLinuxに本格的に取り組みはじめてから約3年になります。当初はインターネットインフラの構築、サポート、Linux対応アプリケーションの販売からスタートしました。当社はLinuxを、お客様にとって最も有効な領域に適用するという姿勢を貫いてきました。すでに、100件以上のお客様の案件への対応実績があり、現在その経験を生かした5つのLinuxソリューションメニューを取り揃えています。多くのシステムインテグレータ(SIer)がLinuxのサポートを中心にビジネスを展開している中で、我々は特徴ある存在と言えるのではと自負しています。

 我々がシステムインテグレーション(SI)に積極的にLinuxを取り入れていきたい理由は、「技術力とサービス提供力に対してお客様からお金をいただく」のがNECソフトのコアコンピタンスだからです。

 オープンソースの登場とともに、ソリューションの世界は大きく変わってきました。従来のようなデファクト・スタンダード製品による囲い込みや、セールス技術でのビジネスではなく、お客様にとって最適な技術やサービスをご満足いただけるかたちで提供できることが、ビジネスにおいて勝者となれる時代がやってきたと言えるでしょう。オープンソースという同じテクノロジ(=道具)を持ち、同じスタート位置に並んだ後は、技術力やサービス提供力が差別化となります。そのため我々は、いち早く技術優位で勝負する世界に飛び込み、真の技術力とサービス提供力を確立することが大事と考えています。それがLinuxにコミットする最大の理由です。

いち早く技術優位で勝負する世界に飛び込み、真の技術力とサービス提供力を確立することが大事と考えています。それがLinuxにコミットする最大の理由です

 また、オープンソースを使ったSIでは、これまでのSIとは費用構造が変わってきます。お客様の意識として、これまでのSIではハードウェアとソフトウェアがそれぞれ1とすると、サービスも1くらいが妥当だろうという感覚をお持ちだったのではと思います。しかし、オープンソースではハードウェアやソフトウェアの価格が圧倒的に下がる一方で、ソフトウェアの作りこみが増える傾向にあります。そうするとサービスの比率が1から5や10に上がるわけです。お客様にはサービスに対して5や10を支払う習慣がないわけですから、当然ながら抵抗感があるでしょう。しかし、そこで本当に満足いただけるサービスを提供できるなら、お客様に納得いただけるはずなのです。そして、結果的にはお客様にとってリーズナブルで、我々にとっても利益があるビジネスが成立するのです。本当に満足いただけるサービスを提供するには、お客様の要求にあったサービスを迅速に構築できる優れた技術力がなければ実現しません。我々は早くそこへ到達するために、積極的にLinuxに取り組んでいます。

―― コミュニティも積極的に支援したい
 一方で、Linuxのコミュニティも積極的に支援していきたいと考えています。コミュニティ活動を社会的、経済的、戦略的に支援して、日本の技術者の技術力向上や活躍機会の創出に貢献していきたいのです。例えば、技術者のコミュニティを支援しているOSDNや、技術者育成を推進しているLPI-Jなどの活動に協力しています。

 Linuxの未来とNECソフトの取組み

―― Linuxの良さをSIに活かす
 Linuxでシステム構築する際に最も重要となるのは、何か問題や課題が生じた際に、それを解決する術を自ら持っているか否かということです。つまり、インターネットなどを通して情報を調べたり、ソースコードを見て対応できる技術力が必要です。Linuxやオープンソースにはメーカーの品質保証がありませんが、技術力さえあればメーカー製品を使った場合よりもきめの細かい対応ができる可能性があるのです。とくに、特定の用途向けにチューニングしたり、作り込みを行う場合には大きなメリットがあるといえるでしょう。

 Linuxはエンタープライズに適用できるかという議論がありますが、我々は可能と思っています。ただ、ミッションクリティカルな部分では、適していると断言できない部分があり、使い分けていくことも大事です。一方、Linuxはコミュニティがその成長を支えていますが、主要ベンダーはエンタープライズ向けの機能強化や、ミッションクリティカル向けの機能強化を積極的に推進しており、その改善のスピードには目を見張るものがあります。今後、これまでミッションクリティカルが占めてきた業務サーバ分野への適用の不安は、加速度的に減少することでしょう。

 実際、NECソフトのLinuxを使ったソリューションでの実績は、Webサーバやデータベース、メールサーバといったインフラの部分ではすでに一般的になってきており、そこから1つ上のアプリケーション・サーバ(以下APサーバ)やセキュリティ・サーバといった、インフラの上に付加価値を乗せるところまでステップアップしてきました。業務システムでの実績も増えつつあり、これは、Linuxが業務システムを構築できる環境に成長してきた証だと考えています。

 また、Linuxが圧倒的に優位な分野があります。それは大容量の処理や高速処理の世界です。オープンソースを使うと、大幅にシステムトータルの価格が下がります。例えば、商用UNIXマシンに比べてインテルアーキテクチャのマシンは圧倒的に安価です。しかし、安いからといってパフォーマンスが悪いわけではありません。かえって、インテルマシンのほうが速い場合があります。Linuxとインテルアーキテクチャが相まって、優れたコストパフォーマンスを得られるケースが多くあります。

 また、低コストで量産したい場合、例えば組み込みの世界にも適しているでしょう。小さなハードを大量に作る場合は1個の生産コストが大きく影響しますので、OSのライセンスが不要であるメリットは大きいのです。このメリットはオープンソースのアプリケーションの活用によってさらに高まります。もちろん特殊なハードウェアの実装や、特定のアプリケーションなど個々のニーズに応じて改造が行えるメリットが重要であることは言うまでもありません。具体的には、専用用途端末、ハンディーターミナルなどのクライアント数が多いものに有効でしょう。NECソフトでは、医療事務端末の開発や、販売/流通系のEOBシステムの構築ですでに実績があります。

―― 特殊分野でのLinux
 すでに高速処理の世界に触れましたが、これはHPC(High Performance Computing)と呼ばれる分野のことです。いま、バイオテクノロジーや科学技術計算等の高速計算が必要とされる分野にLinuxの適用が期待されています。当社は、この分野でもすでにいくつものシステムを稼動させています。例えば、NECとともに1024CPUものノードを並列に接続して高速処理を行うPCクラスタシステムの構築をした例があります。このような、よりハイエンドな領域では、カーネルを自分で解析できる技術力が必要です。そうでないと、トラブル発生時の原因特定はほぼ困難となるからです。当社にはNECとともにUNIXのカーネルに取り組んできた技術力があります。また、並列処理のアルゴリズムに精通したエンジニアもいます。

 さらには、VALWAYテクノロジーセンターという研究開発部門を設置し、ここではHPCクラスタを使ったバイオの研究開発を行っています。バイオ技術者とSEが一緒になって、バイオ系のアプリケーションを開発し、お客様に提供することも可能になっています。

―― 新しい技術のリサーチも怠らない
 新しい技術の発掘にも積極的です。Linuxプラットフォームを積極的にサポートするJavaアプリケーション・サーバとして、最近大きな注目を集めているオープンソースベースの「Enhydra」は、NECソフトがいち早く国内のリセラーとなり、日本語版の開発やプロフェッショナルサポートなどを行っています。この成果は、NECソフトが米国サンノゼの拠点で常時行っているリサーチ活動によるものです。Enhydraには、JSPを用いることなく、開発者とデザイナの作業を見事に分離するXMLCという優れたテクノロジが採用されています。増加するJava開発での分業の課題に解答を与えるAPサーバとして、大きな期待を集めるものと期待しています。

 NECソフトが提供する
 5つのソリューションメニュー

 NECソフトが提供する5つのソリューションメニューは、先にも述べた通り、多くの案件を経験した上で蓄積された技術やノウハウを、お客様にサービスとして提供するものです。これらは、「APサーバソリューション」、「高速メール配信ソリューション」、「コンテンツセキュリティソリューション」、「高可用性サーバソリューション」、「HPCソリューション」の5つです。

 これらの基本となるソリューションメニューをベースに、お客様に最適なソリューションの立案を行っていきます。また、今後とも実績に基づいたソリューションをさらに増やしていく予定です。

<NECソフトの5つのソリューション・メニュー>

●APサーバソリューション
Javaアプリケーション・サーバ「Enhydra」を用い、短期間でリーズナブルなWebシステムを構築します。たとえばECサイトにおいて、顧客の趣向に合わせて情報を配信するOne-To-One情報配信システムなどに実績があります。

●高速メール配信ソリューション
大量処理に適したLinuxの特徴を生かしたソリューション。例えば携帯電話へのメール配信では、1時間あたり数十万通という規模のメール送信が可能です。高い配信能力を発揮し、タイムリーな顧客マーケティングの実現に貢献します。

●コンテンツセキュリティソリューション
電子メール、Webの利用状況の分析、把握、濫用防止やウイルス侵入の防止から機密情報漏洩防止までをLinuxサーバで行います。インターネット基盤としての優れた安定性には定評があり、柔軟にカスタマイズやチューニングが可能なLinuxの特徴を生かし、お客様のセキュリティ・ポリシーに最適なソリューションが提供できます。

●高可用性サーバソリューション
すべてのソリューション・ケースにおいて、より堅牢でパフォーマンスの高いシステムを提供するためのソリューションとして、高可用性サーバソリューションがあります。クラスタによるファイアウォール、メールサーバ、データベースサーバの2重化は非常に有効なソリューションです。NECソフトでは、実績あるクラスタ製品「CLUSTERPRO」を用い、サーバのダウンタイムを最小限に抑えたシステムを実現可能としています。

●HPC(High Performance Computing)ソリューション
SCoreやBeowulfなどのHPC用クラスタリングソフトウェアを用いてPCクラスタリングを構成し、スーパーコンピュータよりも低コストで大規模演算システムを構築するソリューションです。バイオテクノロジーや構造解析、流体解析といった科学技術計算がターゲットとなります。これまでに、SCoreを用いて1024CPU/512ノードのクラスタを構成し、膨大なデータ量の処理が必要なタンパク質検索、分析、シミュレーション、ビジュアライゼーションなどに活用するなど、多くの実績があります。


 Linuxに向けた社内の体制づくりを急ぐ

 弊社では、今後Linuxのエンジニアを大幅に増強していくことを計画していますが、「Linuxですべてをやります」ということではありません。システム構築において、何が何でもLinuxが良いということは当然ありません。お客様の要件に合わせて、OSの適材適所を考えることが重要なのです。

システム構築において、何が何でもLinuxが良いということは当然ありません。お客様の要件に合わせて、OSの適材適所を考えることが重要なのです

 それぞれの業種、業務に精通したSE部隊にもLinuxが分かる人材を置いていきたいと考えています。それは、お客様にとってより良いシステム、より高いコストパフォーマンス、より良いサービスを提供することを主眼に、Linuxの採用を検討可能にするためです。そして、より深い技術については、Linuxソリューションセンターが徹底的にサポートします。豊富な業務、業種に精通したエンジニアと、コアなテクノロジに精通したエンジニアのコラボレーションでLinuxソリューションを成功に導くというスキームであるわけです。

 また、社内教育への取組みも熱心に行っています。我々は昨年、中立的立場からLinux技術者の認定試験を実施している特定非営利活動法人である「LPI-J(The Linux Professional Institute Japan)」のスポンサーになりましたが、社内では以前よりLPIの受験を可能にしています。教育コースとしては、自社開発のコースのほかにTurbo Linux認定のTurbo-CE教育コースも実施しており、来年度に向けて教育コースの拡充を図っていく予定です。

NECソフトはマトリックス型のシステムインテグレーションの体制を確立している。堅実な技術力をベースに、業種・業務に精通したSEがお客様の要件に合わせたソリューションを構築する画像をクリックすると拡大表示します)

 ただ、もちろんLinux OSの教育だけでは不十分です。周辺の技術、例えばほかのオープンソースソフトウェアやJava、通信系などさまざまな知識が必要です。これらについても自社開発の教育コースや、他社の教育コースなどを活用したプログラムで補うようにしています。

 差別化のポイントは提案力

 当社には、すでに多くのUNIX系技術者がいます。Linux系技術者はまだ多くはないですが、Linuxの案件にはUNIX系の人材をすぐに転換できる状況にあります。

 UNIXに造詣が深いエンジニアの中には、アプリケーション開発の技術者もいれば、エンタープライズ系のSIの経験が深い技術者もいます。一方では、UNIXのカーネルを読んだり、ドライバやハードウェアまわりのコードを書くエンジニアもいます。できないレンジがないと言えるくらい、UNIX系OSに関しては総合的な技術力をもっています。なぜなら、NECがUNIXへの取組みをスタートしたときから、NECソフトは中心的な役割を担いながら、これまで一緒に取り組んできたからです。

 一方で、当社には業種や業務に精通したSEがいます。プロジェクト管理の能力、商用アプリの適用の仕方、大規模案件の経験、これをもっている会社は多くないでしょう。さまざまなOS基盤と業種、業務を理解したSIチームが、顧客のニーズに合わせ、どうLinuxを適用して、そのメリットを最大限に出すかという部分で力を発揮できます。言うなれば「お客様メリット・ドリブン」のシステム構築ができるといえるでしょう。

 今年は、内部技術力の更なる強化に努める一方で、これまで蓄積したLinuxに関する技術力とノウハウを、業種、業務分野へと横展開します。より良い技術とサービスをお客様にご提供することを主眼に、今後も積極的なチャレンジを行っていきます。

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