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業務の可視化と効率化を実現するビジネスプラットフォーム「Biz∫」

次世代ERPのIFRS対応への差別化ポイントと、対応後のプラスα効果とは?

業務プロセスのネックになっているのは人の作業だ。NTTデータ ビズインテグラルの提供する次世代ERP「Biz∫(インテグラル)」が持つ基盤は、業務の可視化によってそのボトルネックの解消と効率化を可能とする。Biz∫が提供するIFRS対応への差別化ポイントとは?

2010/5/31

[PR/IFRSフォーラム]

次世代ERPのIFRS差別化ポイント

 多くのパッケージベンダがIFRS対応として製品の機能強化を掲げている。しかし、NTTデータ ビズインテグラルの取締役 マーケティング・営業統括 営業本部長の田中秀明氏は、それだけでは不十分であり、「IFRS対応に対する各企業の不安は、かつてのJ-SOX対応と酷似している。未経験の作業に対する不安と、それをあおるさまざまな情報。不要な混乱による無駄な投資と複雑なIT化は避けるべき」との考えだ。そのために、NTTデータ ビズインテグラルでは以下の3つのIFRS対応支援を提供している。

1.機能による支援

  • パッケージによるIFRS機能提供
  • SaaS/クラウド環境提供

2. プロセスによる支援

  • BPMによる業務プロセス定義

3.サービスによる支援

  • 専門家による財務情報のIFRS変換
Biz∫の3つのIFRS対応支援

機能によるIFRS対応支援

 これは製品としてのIFRS対応機能強化であり、「Biz∫会計」と「Biz∫販売」がその対象になる。Biz∫はSCAWシリーズのノウハウを引き継ぎ、新たに開発されたパッケージであるため、無理なくIFRS対応の機能を組み込んでいる。また、本社はもちろんのこと、連結対象となる子会社の投資・運用コスト抑制のため、SaaS/クラウドへの対応も万全である。Biz∫は完全なマルチテナント対応型の業務パッケージであり、プライベートクラウドを含め、各クラウド事業者基盤への適用が容易である。

プロセスによるIFRS対応支援

 プロセスによる支援は、あまり聞きなれないIFRS対応支援であるが、Biz∫が持つBPM機能で実現するものである。田中氏は「この機能がほかのパッケージとの非常に大きな差別化ポイント」という。BPMは業務プロセスを定義することで業務の見える化を図り、業務の自動化、さらにはその効率化を実現する。IFRS対応のため、会計システムへ情報が渡るまでの業務処理を定義することにより、初期段階の業務処理の混乱回避やその後の定着化を図るといった効果が期待される。

 また、業務システムを改造するわけではないため、業務プロセスの変更に柔軟に対応できるというメリットも享受できる。さらに、IFRSでの資産評価に対する手順とその実績がログ化されることにより、自社の資産評価の手続きの可視化、属人化の排除、公平性、客観性、証跡の保持など、第三者への説明責任を果たす際に有効な手段となる。

サービスによるIFRS対応支援

 連結子会社におけるIFRS適用の判断は悩ましい問題であるが、非上場の子会社は親会社へIFRS適用のために必要な情報を提供すれば、当該連結子会社にIFRS適用を強制する必要はない。IFRS用の情報を作成するリソースがない場合、NTTデータ ビズインテグラルの会計クラウドサービスが有効な解決策となる。NTTデータ ビズインテグラルでは、会計士などとの協業によりサービスを提供するとともに、クラウド上にIFRS変換用の会計システムを構築する。つまり、既存の会計システムに影響を与えず、IFRS対応が可能となる。

Biz∫会計の提供形態。SaaSやクラウドでの利用にも対応する

 

IFRS対応プラスαの効果とは?

 IFRS対応だけの投資はROIの視点からも望ましいものではない。Biz∫を導入することにより得られるプラスαの効果を考えてみよう。

個別作業の効率化は限界に

 「個別作業の効率化はすでに限界を迎えている」。田中氏は、企業のIT投資の目的が変化していると指摘する。ERPが導入され始めて20年以上が過ぎ、ERPによる業務効率化はすでに限界を迎えているというのだ。

NTTデータ ビズインテグラルの取締役 マーケティング・営業統括 営業本部長の田中秀明氏

 田中氏は「今後は人とシステムを融合させた企業活動全体の効率化にシフトすべきだ」と強調する。ITシステムに置き換えることができる作業はすでに効率化されたが、人の作業は残っている。その人の作業を効率化することで業務プロセスのさらなる短縮を図ることができ、企業の全体最適を実現できるというのだ。そして「そのトリガーとなるのがIFRS対応」だ。

 前回の記事(「IFRS適用に向けた経営、業務、ITの課題とは」)でも説明したように、IFRS適用はITシステムに何かしらの影響を与える。ERPは対応のために改修が必要とされ、企業はその投資対効果を考え直す必要がある。

 しかし、単にERPを導入した、もしくはアップグレードしたからといってIFRS適用がOKというわけではない。その瞬間はIFRSに対応できたとしてもIFRSは「ムービング・ターゲット」といわれるように改訂が続いていく。その変化にITシステムは柔軟に対応しないといけないのだ。そのためにはフレキシブルなIT基盤、そしてさらなる効率化が必要である。

BPMで人の流れを可視化する

 それでは人の作業のどの部分が非効率なのだろうか。田中氏は以下の4つを指摘した。

  • 誰が何をしているか見えない
  • タスク間の待ちで業務が停滞する
  • 頻繁なルール変更にシステムが付いてこない
  • 事前の予測・計画が困難

 このような非効率を解消するポイントは「人の流れをどう可視化し、動きを見るか」(田中氏)だ。NTTデータ ビズインテグラルではそのために前述のようにBPM(ビジネスプロセス管理)を提案している。BPMとは業務プロセスを改善するための手法で、「分析」「設計」「実行」「モニタリング」「改善・再構築」というサイクルがあるとされている(用語解説)。田中氏が説明する「人の流れの可視化」はこのBPMによるプロセス可視化を指す。

 BPMを活用すれば、複数の部門、システムにまたがる業務プロセスのワークフローを記述し、そのうえで人とシステムが各プロセスをどう処理しているかを確認できる。伝票登録など1つの処理は、システムによる処理と人の作業による処理が組み合わさっていることが一般的だが、BPMでは人・システムを問わずにプロセスを可視化できるのだ。

 BPMを活用すればワークフローにおける任意のプロセスについて、そのパフォーマンスを測定することもできる。これによって特定の業務プロセスについての事前予測や計画が容易になるだろう。また、BPMの機能を使ってある業務プロセスと別の業務プロセスを柔軟に自動連携させることもできる。BPMは業務を可視化したうえで、そのパフォーマンスを測定、さらに連携と包括的な人とシステムの効率化ができるのだ。

現実的な改善を積み重ねる「AsIs改善」

 これらBPMの機能は一般的で、さまざまな企業のBPM製品が備えている。これに対してNTTデータ ビズインテグラルのBiz∫は「業務パッケージの導入だけでなく、業務改善からもアプローチするのが特徴だ」(田中氏)。そのアプローチを象徴する言葉が「AsIs改善」だろう。通常、BPMによる業務改善は、現状把握と課題分析のあとに業務のあるべき姿(ToBe)を定義し、そのToBeの実現を目標に改善を積み重ねていく。

 対して、Biz∫では、「あるがままで、まずはBPMを回してみる」(田中氏)。現状(AsIs)のプロセスルールやシステムをBPMの機能で測定・評価し、少しずつ改善を行っていく手法だ。理想的だが非現実的な目標を現場に押しつけるのではなく、現状プロセスやルール、システムのよさを生かしながら、現実的な改善を積み重ねていく。システムもいわゆるビッグバン導入ではなくて、部分的に導入・改修が可能であるため、田中氏はAsIs改善のメリットについて「期間・負荷の面で、現実的な効果が期待できる」と話す。

  AsIs改善では、Biz∫の導入時に既存システムをそのまま利用する。人手による手作業もそのままだ。そうしながらBiz∫のBPM基盤が持つBAM(ビジネス・アクティビティ・モニタリング)で各業務プロセスのパフォーマンス測定を行い、業務の実行状態を可視化する。この可視化によって人の作業、システム処理に関するボトルネックを発見し、次の改善を行う。これにより、既存の業務プロセスを大きく変更せずに最小限の投資で業務の効率化が可能となる。

 NTTデータ ビズインテグラルでは単にBiz∫を導入して終りではなく、パートナー企業とも協力してAsIs改善を生かして、顧客の企業変革を一貫して支援するのが特徴だ。

柔軟なワークフロー組み替えでIFRSに対応

 BPMを基盤として持つことで新しいITシステムを導入しなくても、ワークフローの組み替えだけでIFRSに業務プロセスを対応させることができるケースがある。代表的なのは収益認識への対応だ。出荷基準が認められない可能性が高いIFRSでは、会計システムや販売管理システムを検収基準、着荷基準に対応させる必要があるとされる。ただ、IFRS対応のために多額のコストを掛けてシステム改修を行うのは経営層などの納得を得られないケースが考えられる。BPMを基盤に持つBiz∫の会計モジュールでは、ワークフローを組み替えることで、出荷時点ではなく、着荷時に売上を認識するような業務プロセスを構築できる。

 また、Biz∫会計は複数の総勘定元帳に対応するため、1つの取り引きを日本基準とIFRSの2つの元帳に記帳することが可能だ。これによって単体財務諸表は日本基準、連結財務諸表はIFRSなどと複数の環境を併存させたままで、IFRS対応を進めることができる。これは新しく開発された会計モジュールだからこそのメリットといえるだろう。

現場、経営層の納得度を高める

 厳しい経済情勢が続き、企業がIT投資の効果を見定める姿勢はさらに強まりそうだ。IFRS対応に関連するIT投資についても同様だろう。理想的なToBeモデルを示して、多大なコストをかけてITシステムを導入・改修していく手法はなかなか経営層の理解を得られないのが現状だ。田中氏は「少しずつ投資をして、改善の結果を経営層にレポートしていく。そうしないと経営層は納得しない」と話し、NTTデータ ビズインテグラルが提案するAsIs改善の考え方、そしてそれを可能にするBiz∫の “納得度”を説明する。