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@IT > Linux 64bitとOracle RAC 10gによる基幹システム構築のベストプラクティス(1) |
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2004年以降OracleデータベースにおけるLinux プラットフォームの採用が急速に増加しているという。その大きな要因の1つは「Oracle Real Application Clusters(以下、Oracle RAC)」の存在が挙げられる。Oracle RACはOracle9iで導入されたクラスタ・アーキテクチャで、低価格のハードウェアによるスケールアウトを指向するユーザーが、LinuxとOracle RACでもたらされるメリットに気付き始めたのだ。
データベースのクラスタ・システムには「共有ディスク方式」と「シェアードナッシング方式」がある(図1参照)。共有ディスク方式は複数のノードがディスクを共有するため、ノードの1つに障害が発生しても単一障害点とならず、またノード追加によるスケールアップも容易である。しかし、ノード間のデータを同期させるために多くのディスクI/Oが発生し性能面では不利となる。 これに対してシェアードナッシング方式では、ノードごとにデータを分割するため高いパフォーマンスを得られるが、1つのノードの障害がシステム全体に影響し、さらにノードの追加や削除の管理コストも増大するデメリットがある。
Oracle RACは共有ディスク方式をベースとしたアーキテクチャであるが、データ同期のためのディスクI/Oを低減するために、クラスタ内の全ノードでバッファ・キャッシュを共有し、高速クラスタ間相互接続によりデータを同期する「キャッシュ・フュージョン」というテクノロジを搭載している(シェアード・キャッシュ・データベース方式)。これにより、高可用性とパフォーマンスを同時に実現するクラスタ・システムが可能になった。
高可用性と高いパフォーマンスを兼ね備えるOracle RACは、データベースサーバへのLinux導入を加速させている。現在のLinuxにはメインフレームやハイエンドUNIXマシンのような大型SMPに匹敵する拡張性はないが、1〜4基のCPUを搭載したサーバでの稼働実績は高く評価されている。Linuxサーバは大型SMPより低価格であるため、Oracle RACによるクラスタ・システムに安価なハードウェアを採用し、高いパフォーマンスと高可用性を得るスケールアウトは、非常に高いコストパフォーマンスを生み出す。 Oracle RAC+Linuxサーバの導入実績では、当初はLinux 32bitサーバの可用性を求めたお客様の選択が多かった。データベース・システムの可用性向上を求めてOracle RAC+Linuxへの移行を進めたユーザーは、Oracle RACによってLinuxの信頼性を向上できることに自信を深め、次々と採用を進めているのが現状だ。日本オラクルの代表取締役社長 新宅正明氏も「Linuxが伸びている」と発言し、Oracle RACのプラットフォームシェアはLinuxが最も高いとも述べている。
メインフレームやUNIXマシンからLinuxへの移行が進むにつれて、ハードウェア・ベンダのLinuxマシン開発にも力が入ってきた。特に現在注目されているのは64bit版のLinuxマシンだ。インテル® Itanium® 2 プロセッサを搭載したHP Integrityサーバなど、Linux 64bitマシンはハイエンドのSMPサーバに匹敵する性能を持つようになった*。
このようなハードウェアの進化に後押しされ、先進的なユーザーでは基幹系システムのデータベースサーバをLinux 64bitサーバへリプレイスする動きが現実のものとなっている。Oracle RAC on Linuxによるクラスタ・システムは、基幹系システムのような大規模システムの構成にも採用され出した。HP Integrityサーバといった信頼できるハードウェアとLinuxを組み合わせることによって、Oracle RAC on Linuxはますます基幹系システムへの導入が進むだろう。 Linux 64bitマシンを採用することは、Oracle RACにとっても大きなメリットとなる。例えばLinux 32bitマシンでもOracleのSGAを2Gbytes以上に拡張することは可能だったが、管理者が2Gbytes以上でデータベース・バッファを使用できるよう明示的に設定する必要があった。しかし、64bitであればメモリ管理はOracleの自動化機能に任せてしまえばよく、32bit時代のようなSGAのチューニングは不要になる。これ以外にもOracle 10gは64bit環境を前提とした機能拡張を数多く行っているので、Linuxで64bit環境が実現できる以上、それを採用しない手はない。
さて、Linux 64bitとOracle RACで基幹系システムを構築するメリットを述べてきた。基幹系システムのリプレイスが起これば、エンジニアにとってまたとないビジネスチャンスが訪れる。いまからOracle RACによるクラスタ・システムのノウハウを身に付けておくに越したことはないだろう。しかし、一般のエンジニアが実機によるテスト環境を作って性能を評価するのはかなり困難だ。
そこで日本オラクルは「Oracle RAC 10g for Linux 64bit 構築+実践ワークショプ」と題し、ミッションクリティカルなLinux環境を体験できるプログラムを期間限定で実施している(2005年1〜5月)。通常のOracle RACセミナー・研修ならば講師の用意したデモ環境を見せられるか、実システムでは使用できない擬似的なPC環境での構築を体験するだけだが、このワークショップでは何とHP Integrityサーバを20ノード用意し、本番システム以上にぜいたくな環境で、Oracle RAC 10gのクラスタ・システム構築を実践できるトレーニング・コースとなっているのだ。 コースは2日間の「構築コース」と4日間の「構築・実践コース」があり、どちらも定員15名。構築コースでは2人1チームで2ノードOracle RACを構築し、その後グループ単位で、さまざまな管理操作を選択・実行する内容だ。構築・実践コースでは、3人1グループで、3ノードOracle RACと1クライアントのセットを使用して、パフォーマンス改善に取り組む。 このように「Oracle RAC 10g for Linux 64bit 構築+実践ワークショプ」は、非常に恵まれた実機環境でエンタープライズ向けのシステム構築実習を体験できる内容となっている。期間限定のプログラムなので、システム提案中のエンジニアはもとより、Oracle RACによるシステム構築に興味のある方も、ぜひ下記の案内ページで詳細を確認していただきたい。
提供:日本オラクル株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集局 掲載内容有効期限:2005年5月2日 |
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