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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局

掲載内容有効期限:2003年7月31日

 
  Webアプリサーバ市場に活性化の起爆剤、
オラクルからOracle9iAS Java Edition


〜低コスト・高機能の新版でオラクルが猛攻撃〜

5月19日、日本オラクルからWebアプリケーション・サーバ市場を活性化させる起爆剤「Oracle9i Application Server Java Edition」が投入された。競合製品に比べ半値の価格設定や、パートナー企業とユーザーへの無償サービスが提供される。始動したばかりの日本オラクルのアプリケーション・サーバの本格的な販売の強化戦略について詳細を紹介する。

  情報技術の製品世界には、それぞれ“形勢”というものがある。生まれたての揺籃期(ようらんき)が支配しているのは混沌だ。見る者によって推す製品が異なり、優劣つけがたい状況が続く。やがてその中からいずれかが抜け出し、徐々に順列がつき始める。かつてリレーショナル・データベースがそうだった。

 そのバトルが現在、Webアプリケーション・サーバの世界で繰り広げられている。いまはようやく揺籃期を過ぎようというところだろうか。それは後から今日を振り返ってみないことには、本当のところは分からない。しかし、一度形勢が決まってしまえば、そこからの巻き返しが容易でなくなるのは誰もが分かっている。このジャンルではしばらく熾烈な競争が続くだろう。そうした中で、日本オラクルが動き出した。

オラクル新戦略の概要

オラクルのアプリケーション・サーバ強化戦略の3つのキー・アクション・プラン
  1. 新たに低コストで最高のアプリケーション・サーバを投入
  2. アプリケーション・サーバをすべてのユーザーへ提供
  3. Java技術者の育成 〜最小のコストでスキルアップ〜

 5月19日、オラクルは、「アプリケーション・サーバ強化戦略」を打ち出した。右の3つのキー・アクション・プランが柱となる。

 簡単に説明するなら、1つ目は、「Oracle 9i Application Server(以下、Oracle9iAS)Java Edition」の投入だ。2つ目は、ハードウェアやOSにOracle9iAS Java Editionを無償バンドルしたり、他社製品からの乗り換えユーザーに対する製品の無償提供など。3つ目は、2日間のトレーニングを3000名に無償で提供し、また認定技術者を5000名育成しようとするプランである。

 以下に、具体的に3つのキー・アクション・プラン内容を掘り下げていく。

J2EE準拠の新Webアプリケーション・サーバ、Oracle9iAS

写真1 5月19日のOracle9i Application Server Java Edition出荷を発表する記者会見にて。 左が代表取締役社長 新宅正明氏、右が取締役専務執行役員 山元賢治氏。この日、オラクルのアプリケーション・サーバの本格的強化戦略が始動した

 まず、製品について見ていこう。新しいWebアプリケ−ション・サーバ、Oracle9iAS Java Editionの発表だ(写真1)。

  これは、Enterprise Edition、Standard Editionに続くOracle9iASの3番目のファミリ製品。JSP/Servlet だけでなく、EJB/JMSなどのJ2EEをフルサポートしている。全層のクラスタ化が可能で、JE/SE/EEでも、J2EEと同等の統合開発環境を備えた意欲的な新バージョンだ。

 性能だけでなく、ユーザーにとってOracle9iAS Java Editionの大きな魅力となるのは価格だろう。1CPUライセンスが5ユーザー分の開発環境つきで、62万5000円。

 日本オラクル代表取締役社長 新宅正明氏は、この新バージョンのリリースの背景を次のように語る。

「インターネットをベースとしたシステム開発の中で、Webアプリケーション・サーバの重要性が高まっている。オラクルのエンタープライズ・システムソリューションの枠を広げるためにも、Java Editionの提供が不可欠だった」

 これはまた、同社のJavaへの深いコミットをあらためてメッセージする製品でもある。1996年、オラクルはその製品のすべてをJavaに対応させることを発表。その後、Java開発ツールOracle9i JDeveloperをリリースしたり、Oracle E-Business Suite、Oracle Collaboration SuiteのJava化、Oracle9iASのJ2EE準拠など、積極的にJava/J2EEへの取り組みを展開してきた。高い開発生産性や移植性、ネットワーク通信との相性のよさなどが評価され、システム開発市場でもJavaシフトは進み、オラクルのパートナー企業の多くも、すでにJava言語での開発体制をしっかりと整えているという。

 しかしながら、オラクルはその広がりはまだまだ十分でないと感じている。Javaの浸透をいっそう推し進めるためにも、Oracle9i Application Server Java Editionの投入が必要と判断した。

ライバル製品のほぼ半分の価格で導入の敷居を下げる

 アプリケーション・サーバ市場には、すでに複数の先行製品が存在することから、Oracle9iAS Java Editionの登場を強調するためには少々挑戦的でなければならない。その方策の1つが低価格戦略だ。同社によると62万5000円という数字は、Oracle9iASと同等のエンタープライズクラス製品の通常価格における比較で、A社製品やB社製品の約3分の1だという。エントリーレベルの製品との比較では、他社製品のほぼ半額になる価格設定だ(図1)。

図1 Oracle9i Application Server Java Editionと競合の価格製品と比較

 導入の敷居を下げることで、日本オラクルはOracle9iASのマーケットシェア向上を目指す。具体的な目標は、2003年6月から始まる同社の新しい会計年度中のトップシェア奪取。これを実現することで、Oracle9iAS製品グループのライセンス売り上げを50%増加したい考えだ。もちろん、自ら高いバーを掲げるからには、実現のためのアクションプランは価格だけではない。

PCショップやパートナー企業のECサイトでも販売

 まずはチャネルの拡大だ。従来は同社のパートナー企業から直接購入するしかなかったが、Windows版、Linux版のOracle9iAS Java Editionは2003年5月26日から全国のパソコンショップでも入手することができる。またパートナー企業がオンラインショップを開設している場合は、そこから購入することも可能だ。具体的なOS別価格については、表1をご参照いただきたい。

Oracle9iAS Java Edition for Windows(10指名ユーザー)
13万2000円
Oracle9iAS Java Edition for Windows(追加1指名ユーザー)
1万2500円
Oracle9iAS Java Edition for Windows(追加10指名ユーザー)
12万5000円
Oracle9iAS Java Edition for Linux(10指名ユーザー)
13万2000円
Oracle9iAS Java Edition for Linux(追加1指名ユーザー)
1万2500円
Oracle9iAS Java Edition for Linux(追加10指名ユーザー)
12万5000円
表1 量販店やECサイトで入手可能なOracle9iASパッケージの価格

パートナー企業へはOracle9iAS Java Edition無償提供

 Oracle9iAS Java Editionを組み込んでパッケージ・アプリケーション開発を行うパートナー企業に対しては、Oracle9iAS Java Editionが無償で提供される。これは「Free Embedded License」と呼ばれるプログラム。パートナー企業の持つパッケージ・アプリケーション製品の価格競争力の強化とともに、リレーショナル・データベースとWebアプリケーション・サーバの親和性向上による製品品質の向上が大きな目的だ。条件として、同社のパートナープログラム「Oracle Partner Network」のメンバーとなることが必要だ。

 ハードウェアやソフトウェアとのバンドルプログラムも進行中。現在、ヒューレット・パッカードと「Oracle9iAS HP-UX 11i bundling program」の中でOracle9iAS Java Editionの機能限定版を提供、伊藤忠テクノサイエンスもSolaris系マシン、Proliant系マシンに試用版を添付する協業を展開している。また、ミラクル・リナックスから出荷されるLinux OS製品にも試用版が同梱されている。今後も、バンドル対象のハードウェアやソフトウェアは増やしていく予定だという。

競合製品からの乗り換えは無償提供

 一方、「Switch&Saveプログラム」は競合製品を直接ターゲットとする刺激的な内容だ。具体的には、競合製品であるBEA Weblogic Serverからの移行ユーザーには、現在使用している同数のCPUライセンスのOracle9iAS Java Editionを無償で提供する。それと同時に、先着順となるが20日間の移行コンサルティングも無償だ。必要な技術資料もOracle Technology Network(以下、OTN)ですべて提供される。いまのところ8月末日までの限定プログラムとなっているが、反響が大きければ期間延長や適用対象の拡大もあり得るようだ。担当するのは戦略的テレマーケティング組織であるオラクルダイレクトおよびTIS、CSK、アシスト、新日鉄ソリューションズなど、同社の主力パートナー企業である。

Oracle9i TOPGun、Oracle9iASトレーニングコースも無料

 マーケットシェアを上げるためには、エンジニアのマインドシェア向上が不可欠と、日本オラクルはOracle9iAS技術者の育成も重要視している。名づけて「Oracle9i TOPGun」。OTNなどのチャネルを通じてOracle9iASのトレーニングコースの無償提供を告知、5月時点ですでに1000名を越える技術者が受講を終えているという。通常は2日間かけて行われるトレーニングだが、時間のない受講者にはハンズオントレーニングなしの1日コースも用意されている。

 5月24日からは、新設された資格トラック「ORACLE MASTER Gold Oracle9iAS」の試験もスタートした。“日本での技術資格制度成功の実績を生かして、8月末日までには3000名を越えるOracle9iAS技術者を得たい”と意気込んでいる。

 日本オラクル取締役専務執行役員山元賢治氏は強調する。

「昨年1年の成長率という観点からみれば、Oracle9iASがすでにナンバーワンの地位を獲得している。低コストで高い機能を持つアプリケーション・サーバを新たに投入するとともに、アカウントセールス、パートナーセールス、中堅中小企業向けのクロスインダストリーセールス、オラクルダイレクトとあらゆるチャネルでOracle9iASの販売を強化することで、Oracle9iASの市場での位置付けを一気に引き上げたい」

 こうなると気になるのはOracle9iAS Java Editionが持つ機能やその技術教育の詳細だが、それは次回の原稿で解説することにしよう。

Index
FYI:Oracle9iAS Java Edition
第1部 ■Webアプリサーバ市場活性化の起爆剤、Oracle 9iAS Java Edition
  第2部 Oracle9i Application Server Java Edition、その中身と役割を知る
  第3部 ■ハンズオントレーニングと新資格でめざすはOracle9iASエンジニア
   
 
関連リンク集

Oracle9i

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Oracle9i Application Server


Oracle9i Application Server パッケージング

Oracle9i Application Server Java Edition


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