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 @IT編集部は3月3日、「@ITリッチクライアント カンファレンスIII」を都内で開催した。3回目を迎える今回の主なテーマは、「ユーザーエクスペリエンス」と「SOA」。会場には約400人のエンジニアが参加した。

 基調講演には「サービス指向時代におけるリッチクライアントの将来像」と題し、野村総合研究所 主任研究員の田中達雄氏が登壇した。Webアプリケーションの操作性の問題解決から端を発したリッチクライアント市場は、2006年に入って二次成長期に突入したと切り出した。

 田中氏は今後の傾向として、Webが顧客とコンタクトを行う最大のチャネルとなると話す。顧客への「おもてなし」を向上させるためには、よりよい「ユーザー体験」を提供することが必要で、そのことが企業の経営戦略を考える上でも重要になると指摘した。

 また、エンタープライズ市場で進んでいるITシステム構造のSOA化では、ユーザーインターフェイスがアプリケーションから分離され、利用者が求める体験に適合したクライアントを用意する必要性に迫られるだろうとの予測を示した。

 基調講演のあとは、テーマごとに分かれたセッションが行われた。詳細は以下の通りである。


イベントレポート インデックス
業務用リッチクライアントの原点『Biz/Browser』」―日立製作所
Adobe PDF+Flashで革新するリッチクライアントソリューション」―アドビ システムズ
『その壁を乗り越える』新製品IdbA R2.0のリッチクライアント/クライアント型SOAソリューション」―サイオ
サービスエージェントとしてのCurl」―カール
Webクライアントの潮流―プラグイン無しで入力フォームの高機能化を実現する『リッチWebフォーム』の実力」―ウイングアーク テクノロジーズ
ユーザビリティを向上させるAjaxとは?」―HOWS

「業務用リッチクライアントの原点『Biz/Browser』」―日立製作所
ユーザー指向システム実現の鍵はツールの生産性
日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ ソリューション統括本部 部長代理の五十嵐肇氏


 
日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ ソリューション統括本部 部長代理の五十嵐肇氏は、現在のリッチクライアントへの流れを「これまでユーザーの利便性や生産性を後回しにしてきた反省から」と分析。ユーザー指向のシステムを実現するツールとしてBiz/Browserを紹介した。

 続いてアクシスソフト Biz/Browser開発者・フェローの田中康興氏がBiz/Browserの特徴を解説。同氏によれば、現在のリッチクライアントツールの「表現力」はどれも一定の水準を超えているという。しかし現実には、限られたコストと開発期間が最大の制約条件になるので、実際に利用可能な表現力はそのツールの開発生産性に依存する。GUIによる画面遷移図の作成や、他人が開発した画面を容易に確認できるプレビュー、HTML形式のドキュメント作成などの新機能を搭載した次期Biz/Designerは、生産性を大幅に向上できるとした。

 そして、いくら表現力を高めても、すべての利用者に最適なユーザーインターフェイスの設計は不可能であると語った。業務担当者のパフォーマンスを最大化するには、担当者それぞれの利用形態に合わせて各業務機能画面を複数取りそろえるしかない。そのためには、多くの画面を短期間・低コストで開発できるように「生産性」をさらに高める必要がある。また、将来的には利用者自身がユーザーインタフェースをカスタマイズでき、その効果をほかの利用者と共有できるような、「成長するユーザーインタフェース」を目指している。
お問い合わせ先:info-biz@ebina.hitachi.co.jp

「Adobe PDF+Flashで革新するリッチクライアントソリューション」―アドビ システムズ
アドビシステムズ マーケティング本部 公共・法人市場部部長 小島英揮氏
新生アドビが示す次世代リッチクライアント

 昨年マクロメディア社の買収を完了し、リッチクライアント市場のさらなる拡大を狙う新生アドビシステムズ。コア技術を「Adobe PDF」と「Flash」とし、この2つで実現される世界を「エンゲージメントプラットフォーム」と呼ぶ。これで実現されるリッチクライアントの世界とは、どのようなものなのか。

PDFとFlashの融合「エンゲージメントプラットフォーム」

 2005年、大型ソフトウェアベンダの買収劇として最も注目されたのは、アドビシステムズによるマクロメディア社の買収だろう。一方はドキュメントという静的コンテンツの生成・流通を担う「Adobe PDF」を提供し、もう一方は豊かな表現力と操作性に富むWeb UIを実現する「Macromedia Flash」の提供元だ。静と動、相反するこの2極を新生アドビシステムズはどのように融合させるのか。

 同社マーケティング本部 公共・法人市場部部長の小島英揮氏は「もともとアドビの中には『人と情報の関わりをより豊かに』するというDNAがある。新生アドビでは、コア製品をPDFとFlashテクノロジと位置付け、これらの技術をもって『人とアイディアの関わり、人と情報の関わりをより豊かにするプラットフォーム』を提供する」と説明した。このプラットフォームのことをアドビでは「エンゲージメントプラットフォーム」と呼んでいる。

デザイナーとデベロッパの両方を支援


 「人と情報の関わり」とは、情報の質を高め、その流通をセキュアかつ高速に流通させる仕組みを提供すること。「人とアイディア」とは、豊かな表現力によってアイディアを形にすることを指す。前者は、PDFが実現しているドキュメントワークフローやセキュリティ技術を活かし、後者ではFlashテクノロジが可能にする豊かなWebの表現力が活きてくるわけだ。そして小島氏は「人と情報の関わりを設計するのは、SI企業やアプリケーション開発を担当するデベロッパの方々。そしてアイディアを形にするのは主にデザイナーの方々というように、役割が分かれていた。アドビはエンゲージメントプラットフォームにより、その両者を支援していく」と述べる。

 では実際にエンゲージメントプラットフォームを構成するソリューションとは何か。それが「Adobe LiveCycle」と、今夏リリース予定の「Flash8.5」テクノロジ、そして「Flex2.0だ。


UIだけでなく機能もリッチなWebアプリケーション

 Adobe LiveCycleとは、PDFを情報コンテナとし、ドキュメントプロセスを自動化するPDF製品群。ワークフローやセキュリティ機能を実現するサーバソフトはJ2EEサーバ上で稼働し、Adobe Readerをリッチクライアントのインターフェイスとして活用する。実際同社は2006年1月に「Adobe Acrobat 3D」という動的3Dモデルを包含するPDF製品を提供しており、PDFが一般に思われているような静的コンテンツのコンテナではないことをデモで示した。これに今夏より予定されているFlash8.5テクノロジ、Flex2.0が融合されることで、より豊かなWebアプリケーション開発が進むという。

 Flashテクノロジの特長は、プッシュ型によるリアルタイムなコンテンツ生成を可能にすることだ。例えばFlashを使った「Yahoo!マップ」では、交通状況に従って渋滞道路は赤く表示される。サーバ側から情報をプッシュすることで、Web上の表示がリアルタイムに変化するわけだ。

 さらにFlash8.5ではActionScript3.0の実行エンジンを搭載し、高速表示を実現。「高速性を求めるには、Flex2.0を使うことを勧める」と小島氏はいう。FlexはActionScriptやタグコーディングを通じ、Flashアプリケーションを開発する総合ベースなので、Javaデベロッパなどのエンジニアでも利用しやすい。Flex2.0では、画面設計用の「Flex Builder」と、データサービスなどバックエンド連携を実現するサーバ環境とに分け、「インターフェイス部分のリッチさだけではなく、バックエンドとの連携による機能的にもリッチなWebアプリケーション開発を実現する」(小島氏)という。
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「『その壁を乗り越える』新製品IdbA R2.0のリッチクライアント/クライアント型SOAソリューション」―サイオ
新製品IdbA R2.0を活用したクライアント型SOAのすすめ
サイオ 取締役営業・マーケティング担当副社長の吉政忠志氏


  現在のSOAへの取り組みは、主にサーバサイドで行われている。これに対し、クライアントからのアプローチでSOAを実現しようと考えているのがサイオである。

 同社 取締役営業・マーケティング担当副社長の吉政忠志氏は、まずSOAの定義を再確認。「再利用」を目的に「利用者のニーズに合わせた複数のサービス」を「柔軟に組み合わせる」ためのシステムアーキテクチャとした。その上でSOAが注目されている理由を(1)既存システムの活用、(2)混沌としたシステム環境・機能の利用者視点での整理、(3)ユーザーニーズへの柔軟な対応の3つができる点と分析した。

 だが実際の取り組みを見ていると、いくつか問題があると指摘する。「多くの企業は既存システムを活かし、ユーザーニーズに柔軟なシステムを構築するため、大型のミドルウェアサーバの導入や、サーバ型のSOAを検討しています。しかしながら、複雑な業務プロセスが凝縮されている個々の基幹システム同士をサーバ側で連携すれば、その複雑さはさらに増加します。サーバは増設すればするほど複雑さを招き、柔軟性の逸失、追加投資の肥大化につながるのではないでしょうか?」と問題提起する。

  サイオが提唱するIdbAをベースにしたクライアント型SOAでは、既存サーバの改変や、大型サーバの新設を行わず、個々のクライアント上でSOAを実現するため、プロセスもシンプルになり、かつその開発プロジェクトはクライアントを管轄している部門のみで行える。そのため、サーバ型のSOAと比較して、クイック&スモールスタートと柔軟性の確保を実現できると語った。

ソリューションが続々と登場

 
クライアント型SOAでは、原則として既存のサーバには手を加えない。クライアント側のみでSOAを実現する。ユーザーマシンにインストールされた「サイオIdbA」が、ユーザの求める機能に応じてサーバを選択しアクセスを制御するのだ。もちろんプロセスコントロール機能も装備している。SOAの背骨となるESB(Enterprise Service Bus)をクライアント側に持って来るイメージである。

 現実の例として、アカウント・アグリゲーションが挙げられる。これは銀行や証券などの複数の口座を一元管理、一括処理を可能とするものだ。従来から提供されている同様のサービスは、個人情報を専用のサーバで管理していた。そのため負荷とリスクの集中を招いていた。

 その点IdbAの同サービスは、個人情報を各利用者の端末で管理するため、危険を回避できると同時に、メンテナンス工数も軽減できるという。

  一括!コマース『速販』は、ECモールへの出店者に向けたもの。複数のモールに出店している場合、商品登録のたびに煩雑な作業が必要になる。だが一括!コマース『速販』を利用すれば、仕入元への発注と実際の仕入れ、モールへの登録が一度で完了するのだ。

  ほかにも官公庁電子申請ソリューションなど、さまざまな局面で利用が広がっている。

新製品「IdbA R2.0」により開発生産性も大幅に向上

 
吉政氏のコンセプト紹介を受けて、ライセンシング事業担当マネージャーの柏貴光氏が、IdbAの概要と特徴を紹介した。

 IdbAを一言で表すと、「クライアントPCにインストールされるアプリケーション実行環境」となる。特定の機能や情報を持つコンポーネントがIdbA上で協調動作することにより、アプリケーションの形を成す。各コンポーネントは、アプリケーションの実行中に動的に結合されるため、ユーザは用途に応じて自身でカスタマイズが可能。コンポーネントはドラッグ&ドロップなどで取得できるため、サービスの追加・変更も容易である。これまでアプリケーションの機能は開発者が決定して配布していたが、IdbAを利用すればユーザが自由に機能を選択できるようになる。


  もちろん、各コンポーネントはJavaの署名機能や公的機関の発行する証明書による取込制限など、セキュリティ面でも万全である。最新版のR2.0では、開発環境を大幅に強化した。Swing開発環境との連携により、GUIによる画面開発が可能となった。またスクリーンスクレーピング機能の強化により、Webアプリケーションとの接続容易性が向上し、同時にコーディング量の低減を図っている。もちろんSOAPスタブコードもGUIで自動生成可能。外部サービスとの連携を容易にする。さらに、コンポーネントモデリングツールによりGUIでコンポーネントの設計、作成、配布ができる環境を整えた。これにより開発生産性は飛躍的に向上するという。

  今後もアプリケーションやベンダの影響を受けず、ユーザーが用途に合わせて自身でカスタマイズできる環境の提供を目指す。ロードマップにおける次の目標は「C=S」に定めている。C/Sはクライアントとサーバを明確に分離していた。この差をユーザに意識させない環境を目標にさらなる製品強化を行い、最終的にRimless Computingの実現を目指す。
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「サービスエージェントとしてのCurl」―カール
SOA 時代のリッチクライアントとは

 
Webブラウザの表現や機能をより豊かにするリッチクライアント。その真髄を考えるには、「今日のIT潮流からリッチクライアントの意義を見出すべき」という姿勢を貫くのがカールだ。同社はSOAという潮流の中で、 Curlが果たすべき役割を「エージェント」と位置付け、その機能と特長からリッチクライアントの価値を探っている。

リッチクライアントの価値とは何か
カール セールスサポート・コンサルティング グループ 梅村知正氏


 今日のITに対し、リッチクライアントがもたらす価値とは何か。この問いを考えるため、ネットワーク革新の流れからリッチクライアントをとらえているのがカールだ。同社セールスサポート・コンサルティング グループの梅村知正氏は「FTPから始まり、電子メール、Telnet、C/Sシステム、そしてWebへと変化してきている。この流れは大体10年単位で中央集中型、分散処理型と繰り返しており、現在はSOA(Service Oriented Architecture)という分散処理型のトレンドにいる。そこでSOAの課題に目を向けると、この課題を解決するのがリッチクライアントであることが分かる」と語る。

 SOAとは、ソフトウェアをサービス単位に分けて開発するアーキテクチャのこと。梅村氏は「サービスとは具体的に、ビジネスコンセプトを隠ぺいし、明確なインターフェイスを持つコンポーネントのこと」と定義している。インターフェイスとはWSDLやSOAP、XMLに代表されるような標準技術のことだ。これらのサービスを組み合わせることで、迅速なシステム開発が実現し、さらには「開発単位が明確になることで、正確な見積もりやマネジメントの簡素化が実現するというおまけも付いてくる」と梅村氏は説明する。

 だが、その分散したサービスを、ユーザーが自由に利用するためには、その間の「ステート」の管理や、画面や情報をカスタマイズするといった仲介役が必要になる。それこそが「エージェント」という存在だ。

SOAのエージェント、Curlとは

 
SOAの課題をもう少し詳細に見ると次のようなことがいえる。「SOAによって提供される「迅速なサービス提供」のメリットを享受するには、エンドユーザーが必要とするサービスを自由に扱うエージェント機能がクライアント側に必要になる。エージェントは稼働環境や通信環境に対する依存度は低く、外部リソースに対するアクセスの自由度は高くなくてはいけない。また、高速に動作し、実行中のアプリケーションに「動的」に機能が追加される仕組みがあることなどが条件になる。」(梅村氏)。このエージェントとして機能するのに最適なのが、同社が提供するプログラミング言語「Curl」だという。

 Curlは米国のマサチューセッツ工科大学で生まれたプログラミング言語で、高度なWebユーザビリティと高速処理を実現するのが特長だ。また、DLLやActiveX、.NETやJavaアプリケーションなどをCurlオブジェクトとして取り込み、実行できるというメリットも持つ。

 Curlプログラムを実行するには、「Curl Surge RTE」というプラグインをダウンロードし、インストールすればよい。ソースコードとして配置されるCurlプログラムをダウンロードし、実行すると、プラグインの「JIT(Just In Time)コンパイラ」が動作し、クライアント側でリアルタイムにコンパイルされる。これより、通信負荷を軽減でき、また、実行中のアプリケーションに、動的に機能を追加するということもできるという。

どんなWebサービスでも実行するCurl

 
SOAのエージェントとしてCurlはどのように動作するのか。まず、サーバ側は.NETやJavaなど(場合によってはCOBOLなどもあるかもしれない)を用い、WSDLで定義されたWebサービスとして提供する。あとはクライアント側で、自分のマシン上にあるCurlクライアントから必要とするサービスを指定すれば、CurlプログラムがWSDLの内容を読み込み、必要なモジュールを自動的に生成し、そのサービスとすぐにつなぐことができる。「CurlはWeb上のあらゆるサービスに対するエージェントとして大きな役割を果たす。CurlはSOAのメリットを現実化する手段として最も適切な技術だ」と梅村氏は語った。
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「Webクライアントの潮流―プラグイン無しで入力フォームの高機能化を実現する『リッチWebフォーム』の実力」―ウイングアーク テクノロジーズ
帳票で得たノウハウを入力画面の設計・運用に活用
ウイングアーク テクノロジーズ プロフェッショナルサービス部の小池尚樹氏


 ウイングアーク テクノロジーズ(以下、ウイングアーク) プロフェッショナルサービス部の小池尚樹氏は、現在のリッチクライアントに対するニーズの高まりを、「ユーザーにとっては使いやすい画面、IT担当者にとっては高いメンテナンス性への要求から」と見る。

 
続いて小池氏は、同社の分析したリッチクライアントの適用分野と、そこでのウイングアークの狙いを解説した。

Webブラウザの標準技術だけでリッチに支援

 
現在のリッチクライアントの導入分野は、大きくデータエントリとレポート出力、3Dデータ表示の3つに分かれる。同社はこの中でデータエントリにターゲットを絞り、リッチWebフォーム「StraForm-X」を開発した。ちなみにレポート系では高速集計ツールの「Dr.Sum EA」や「Dr.Sum EA Visualizer」を用意している。

 エントリ系の画面は、ホストに代表される基幹系システムや部門システム、報告などの業務アプリケーション、見積もりや顧客管理、交通費の清算、技術情報などがある。これらはさらに、専門に特化したものと一般性の高い入力画面に分類され、StraForm-Xは後者、一般性の高い入力作業の効率化を目的にしている。

 ターゲットを限定することで、機能の絞り込みが可能になった。小池氏は「表現力では、クライアントにプログラムを配置するリッチクライアント製品やC/Sシステムにはかないません。けれども専門性の低い入力業務において『実用上必要な機能を満たし、Webブラウザのみの環境でここまでできれば十分だろう』というレベルは満たしています」という。例えばエンターキーによる項目間移動、入力位置のマーキング機能や、ドロップダウンリストによる項目フィールドの表示・非表示選択などだ。Webブラウザのみでの画面で「必要十分」な機能を装備させたわけだ。


 実行時にプラグインが不要な点もStraForm-Xの大きな特徴だ。ブラウザの標準機能だけで動作するため、コンポーネントの配布などの手間が不要。運用管理の手間が省ける。


PDFなど既存の入力フォームをそのまま活用


 ウイングアークは長年に渡り「帳票一筋」で事業を展開してきており、そこで蓄積したノウハウを、StraForm-Xに反映している。そのひとつが画面デザインである。

 小池氏は、「帳票のデザインは、業務プロセスのノウハウを反映させた形で運用されています。つまりフォームのデザインが業務プロセスであり帳票のデザインがシステムの使いやすさを左右するのです。入力画面も同じです」と語る。

 StraForm-Xでは、Microsoft-ExcelやWord、紙帳票やすでに作ってしまったHTML、PDF、さらにSVFの帳票フォーム(ウイングアーク帳票ツール)を取り込んで、元のイメージどおりのWebフォーム(HTMLファイル)を生成できる。あとは各入力フィールドの属性を定義し、配置を調整するだけである。

 画面のフォームと入力データを完全に分離させた「フォームオーバーレイ」も、帳票開発から得たものだ。入力された内容を、XMLの入力データとフォームデータに分けて格納する。データの二次利用が非常に容易で、項目の追加や削除、属性変更が楽になるというメリットもある。

 ほかにも、カレンダーチェックなどの機能を部品化し、開発工数を低減するとともにユーザビリティの高いフォームの作成など、同社の特徴を出している。

 今後の展開として、Ajaxにも注目している。複雑な採番や細かい入力チェックなど、一般的にブラウザベースの入力フォームでは不可能と思われていた処理を、Ajaxによる非同期通信で対応できれば、さらにStraForm-Xの適用範囲が広がると考えているのだ。

 入力画面と出力帳票、つまりデータの入り口と出口をきっちり押さえることで、データの確実なハンドリングが可能になる。現在問題となっている日本版SOX法など企業コンプライアンスへの対応のためにも、この2つは非常に重要だと、ウイングアークでは考えている。
お問い合わせ先:straform@wingarc.co.jp
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「ユーザビリティを向上させるAjaxとは?」―HOWS
エンタープライズ分野へ広がるAjax

 
リッチクライアントの実装技術として躍進するAjax。JavaScriptとXML、そしてDynamicHTMLといった枯れた技術によってWebアプリケーションの機能を向上させる実装手段だ。Google MapなどWeb上の一サービスとして普及が進んでいるが、Ajaxの第一人者であるHOWSによると、「Webブラウザベースの企業向けアプリケーションへの適用が始まっている」という。

既存技術の応用であるAjaxとは

HOWS 代表取締役副社長 庄司渉氏  
 リッチクライアント技術として、現在Falshと人気を二分しているのがAjaxだ。Ajaxは「Asynchronous JavaScript + XML」の略語で、その名の通りJavaScriptとXMLを利用して動的にWebページを生成する技術のこと。もう少し詳細にいえば、JavaScriptのHTTP通信とXML HttpRequestを利用して非同期でサーバと通信し、DynamicHTMLで必要なページだけを生成する技術だ。つまりAjaxとは、特に新しい技術ではなく、既存技術を組み合わせてWebアプリケーションの使い勝手を劇的に改善させる「実装手段」の総称といえるだろう。

 
Ajaxを一躍有名にしたサービスとしてGoogle SuggestやGoogle Mapがある。こうしたサービスにより、たとえ“Ajax”という用語を知らない一般ユーザーの間でも、Ajaxが実現する優れたインターフェイスは確実に浸透しつつある。クライアントマシンのWebブラウザにあるJavaScriptが実行エンジンとして動くためプラグインが不要というのも、普及の追い風となっている。

 Ajax開発の国内第一人者であるHOWSの代表取締役副社長 庄司渉氏は「Ajaxを使えば、これまでのWebアプリケーションのように、ページのリロードなどサーバとの通信を感じさせることなく、ネイティブアプリケーションのような操作が可能になる。Ajaxの世界は今後も急速に普及するだろうし、Webブラウザだけではなく、他分野への応用も進むと考えている」と語る。

適用範囲はグループウェア、携帯電話へ

 
HOWSは、現在同社の代表取締役社長 大塚裕章氏と、技術最高責任者でもある庄司氏が共同で設立した企業。「ソフトウェアの部品メーカー」として、ユニークな付加価値を持つソフトウェア部品の開発に取り組んでいる。その実装手段がAjaxであり、「Ajaxで企業システムも構築できる」(庄司氏)とのことだ。その実証として、講演ではいくつかのシステムデモを行った。

 
Ajaxを適用したアプリケーションとして思い付くのは、「非同期データ取得」を利用したチャットアプリケーションやグラフ表示などだ。XML HttpRequestを利用すれば、Webブラウザをリロードしなくても、サーバ側で変更されたデータを読み込んでページが生成される。例えば株価チャートのように、刻々と変化するチャート表示には最適だ。また、Webブラウザからサーバのデータを書き換えた場合、その結果は瞬時、かつ動的にWebブラウザに反映されるので、商品管理コードや部署名のように頻繁に変更が発生するイントラネットアプリケーションへの応用も可能であり、実際同社のグループウェアはAjaxで開発されているという。

 さらに同社では、携帯電話へのAjax適用や、Windowsネイティブアプリケーションの機能を向上させるAjaxコンポーネント開発などにも取り組んでいくそうだ。

初心者でもAjaxアプリを開発できるツール群


  そしてもう1つ、同社が取り組んでいるのはGUI環境でAjaxアプリケーションを開発できる「AjaxBuilder」の提供だ。AjaxBuilderは、SI企業などエンタープライズ向けの開発ツールで、ニーズに合わせてカスタマイズを施し出荷するユニークな製品。そして今春から出荷を予定しているのが、個人向けAjax開発ツール「AjaxBuilder Lite」だ。標準版がツリービューやテーブル作成など企業向け用途のコンポーネントが多くそろっているのに対し、Lite版はJavaScript初心者でも動的なWebページをマウス中心の操作で容易にデザインできるツール。現在、HOWSのサイトからベータ版をダウンロードできる。「まずはAjaxBuilder LiteでAjaxの世界に触れ、可能性を知ってほしい」と庄司氏は語った。
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提供:株式会社日立製作所
アドビ システムズ株式会社
株式会社サイオ
株式会社カール
ウイングアーク テクノロジーズ株式会社
株式会社HOWS
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2006年3月31日
 
イベントレポート インデックス
業務用リッチクライアントの原点「Biz/Browser」
日立製作所

Adobe PDF+Flashで革新するリッチクライアントソリューション
アドビ システムズ

その壁を乗り越える』新製品I dbA R2.0のリッチクライアント/クライアント型SOAソリューション
サイオ

サービスエージェントとしてのCurl
カール

Webクライアントの潮流―プラグイン無しで入力フォームの高機能化を実現する「リッチWebフォーム」の実力
ウイングアーク テクノロジーズ

ユーザビリティを向上させるAjaxとは?
HOWS

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