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SPSS製品 導入事例探求シリーズ 第19回明治大学ビジネススクール編 ◆
「仮説検証型」から「仮説探索型」へ
〜 ネット活用が可能にする
新たなマーケティング調査のアプローチ〜

 「ビジネスの真髄がわかる」プロフェッショナル人材の育成という教育理念のもとに設立された「明治大学ビジネススクール」(明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究学科、以下MBS)では、2006年度より、修士論文用の調査データの収集から分析までを一元管理するWebブラウザベースの「調査プラットフォーム」として「SPSS Dimensions」を活用している。

図1 SPSS Dimensionsを利用した調査プラットフォームの活用例

 具体的には、4月の新学期から、4チーム10名の大学院生が1年間にわたって、「女性におけるオーガニック食品に関する意識と店舗選択行動」「行政Webサイトの満足度と行政サービス満足度の関係」「医療機関関係者における医療の質について」「企業のコールセンター利用者と企業満足度について」をテーマに調査データの収集、分析を行っており、その結果を修士論文としてまとめることに取り組んでいるそうだ。

 今回は、MBSでの「SPSS Dimensions」採用の立役者であるMBS専任教授、上原征彦氏に取材へのご協力をいただいた。また、「SPSS Dimensions」を利用して研究を進めている大学院生の1人である平田哲氏にも同席してもらい、実際のユーザーとしての声をお聞きした。

取材にご協力をいただいた上原教授(右)と平田氏

 
従来の「仮説検証型」調査の限界
 
   

 上原氏は現在、MBSで流通論やマーケティング論のクラスを担当されているが、若いころは市場調査の実務家であり、大学でもマーケティング調査を教えていたという。

 こうしたキャリアをお持ちの上原氏は、これまでマーケティング調査で重視されていた「仮説」は、もはや「検証すべきもの」ではなく、世界をよりよく理解するための分析ツールとして使うためにも、「探索すべきもの」であるべきとの考えに至っているそうだ。

 このため、従来の「仮説検証型」マーケティング調査の限界を実感しており、「仮説探索」に適した「ネット調査」(インターネットを活用した調査手法)が容易に実施できる「Dimensions」のようなソフトウェアの登場を歓迎しているという。

明治大学 大学院 グローバルビジネス研究科 教授 上原征彦

 上原氏によれば、従来型のマーケティング調査の問題の1つは「時間がかかりすぎること」にあるという。一般的な調査では、仮説をもとに調査企画を立て、実査を行い、回収されたデータを分析し、仮説検証を行うという一連の業務に最低でも数カ月を要する。

 ところが、その数カ月間に調査対象者(消費者など)の置かれた状況は変化し続けているため、数カ月前の調査実施時点と分析結果を見ている今現在との間には、調査対象者の意識や行動にずれが生じてしまっている可能性が高い。したがって、調査によって検証済みの「仮説」は既に過去のもので、現時点での消費者行動には符合しないということがあり得るそうだ。

「従来型のリサーチでは、刻一刻と変化する調査対象者の状況や、意識、行動をある特定時点で切り取り、変化しない対象として扱う“静学的”なアプローチを取ってきたといえます。しかし、もはやこのやり方では現代の移り気な消費者像を正確にとらえることはできないのではないかと考えられます」(上原教授)

 従来型のリサーチは、調査対象者全体(母集団)から一部を標本(サンプル)として抽出し、調査を実施する「標本調査」のやり方が主力であった。これは、標本調査の結果から全体像を推定しようとするマス(全体)的なアプローチである。しかし、この方法だと全体の傾向は見えても、調査対象者1人1人の行動の変化を把握することができないばかりか、十人十色あるいは一人十色ともいえるような多様な趣味嗜好、価値観をもった消費者を理解することは難しい。

「これからは、個々の人間の意識や行動がどう変化していくのかをできるだけ短期的なスパンで捕捉する“動学的”な調査が重要となってくるでしょう。つまり、あえて母集団を想定しないで、ダイナミックに変化する個人を追いかけるといった俊敏な調査が求められているのではないでしょうか」(上原氏)

 
ネット活用の調査のメリット
 
   

 上原氏は、ネット活用の調査を積極的に勧める理由として、次の3つのメリットを挙げる。

1. 「仮説探索」に適している
2. スピーディに調査が実施できる
3. 顧客との相互対話型のビジネスが展開できる

 1番目の「『仮説探索』に適している」という点は、気軽に調査が行えるというネット調査の特徴が背景にある。例えばMBSの学生が自分のテーマについて調査を行う場合に、かっちりとした仮説をまず構築してからおもむろに調査を行うのではなく、取っ掛かりの問題意識だけでよいので、すぐにアンケート調査を行い調査対象者の「反応」を見るようにと、上原氏は指導しているという。

「調査結果を基に、どんな仮説が立てられそうかあれこれ探索してみる。その結果、調査対象に対する理解を深めることができます。従来の“仮説検証型”では検証することを重視するあまり、平凡な仮説しか出てこないということになりがちです。しかし、“仮説探索”に適したネット調査では、頻繁に調査を行い、顧客の反応をみながら仮説を組み上げていくため、豊かな仮説を生み出すことができるというわけです」(上原氏)
画面1 SPSS Dimensionsを利用して行っているアンケート画面の一例
(画像提供:明治大学ビジネススクール)

 2番目の「スピーディに調査が実施できる」というメリットについては、それによって調査対象者の変化をリアルタイムに近いタイミングで追いかけることができるため、分析者もすばやい意思決定が可能になるということである。

 3番目の「顧客との相互対話型のビジネスができる」という点は、企業における顧客の位置付けを変えるということでもある。これまでは、売り手である企業が、買い手である消費者を客観的な調査対象として扱い、仮説をしっかりと検証した後に製品化を行うというやり方が一般的だった。しかし、これからは、容易に迅速に実施できるネット調査を利用することによって、調査対象者というよりも製品開発のパートナーとして顧客を位置付け、顧客と対話を深めながら優れた商品の開発や事業開発を行うことが可能になるという。

 上原氏は、この3番目のメリットが企業にとってたいへん大きな価値を持つことを示唆する企業活動の事例を紹介してくれた。この事例は、医療機器分野のライバル企業であるA社とB社のマーケティング調査の考え方の違いを端的に示しているものだ。

 A社では、新機種の開発に当たり、仮説検証型の調査を行う。耐久性や使いやすさなどの開発目標について、その必要性や重要性をまず徹底的に調査して、仮説検証を済ませた上で開発に着手する。

  一方、B社では、ユーザーに対して「最も重要な機能や性能は何か」を聞く。そして、安全性が確保される限りにおいて、直ちに製品化を行い、実際にユーザーに使ってもらうのである。そして、「さらに足りない機能や性能は何か」を聞きながら、随時製品改良を進めていく。

「この結果、A社が製品開発を完了してようやく市場投入の段階になった時点ですでに、B社の新製品が市場を制覇してしまっているのです。B社の調査は、ユーザーの最新ニーズにもっとも合致した製品を開発することに適した方法であり、結果として、両社の新商品開発競争においてB社の8勝2敗という大きな差となって現れています」(上原氏)
 
「SPSS Dimensions」の使いやすさと柔軟性の高さに驚嘆
 
   

「ひと通りのことはマニュアルを見なくてもすぐにできるようになりました」とコメントする平田哲氏

 「SPSS Dimensions」を実際に利用しているMBSの大学院生、平田氏が在籍する企業では、頻繁に社内外での調査が行われるため、以前から独自の調査システムが構築されているという。平田氏も同社の調査システムを活用しているとのことだが、「SPSS Dimensions」については、その使いやすさと同時にあまりにもスピーディに調査を実施できることにとても驚いたという。

 「前日にアンケート調査フォームを作成して、翌日には調査を開始することができるという手軽さや、調査途中でも、必要に応じて調査項目を追加・変更できる柔軟さがいいですね。調査を開始してから、やっぱりあれもこれも聞いておきたい……と、しばしば質問項目を追加したくなることがあるものですから」(平田氏)

 調査結果を回答者全体の集計・分析値として見るだけでなく、回答者1人1人の回答にさかのぼることができる点もうれしい機能だという。

「調査結果を見ていて、例えばQ1で“2”と回答した人は、ほかの設問ではどう答えているのか、回答者個別の回答を把握したくなることがあります。SPSSと連携しているSPSS Dimensionsなら、こうしたデータの追跡も簡単にできます」(平田氏)

 上原氏は、異なる研究目的を持つ2人の大学院生が先日、ネットでのアンケート調査を相乗りで実施したことに触れ、「2人分の調査が1度で実施できるし、回収されたデータは適宜切り分けて、それぞれの研究のために活用することができるというメリットは大きい」と補足してくれた。

 
「仮説検証型」から「対話型」調査への移行を支える
「SPSS Dimensions」のASP展開
 
   

 上原氏は、これからのマーケティング調査のあり方について次のようにまとめた。

「“仮説”は、世界(ものごと)を理解するための道具です。ある仮説を立てたら、早速消費者の反応を見る。そしてその結果を踏まえて仮説を組み立て直す。この繰り返しを通じて、変化する消費者の意識や行動をよりよく理解できる仮説をリアルタイムに近い頻度で探索し続ける。これは、消費者との密なコミュニケーションを行うという点において、“対話型”の調査ともいえるものです。企業においては、今の消費者に対する理解を深めることが、迅速で的確な意思決定に役立つのですから、今後の調査の重点は、“仮説検証型”から“仮説探索型”そして“対話型”へと移っていくことになるでしょう」(上原氏)

 MBSでは、SPSS Dimensionsの導入にあたって独自のサーバを構築し、学内で運用管理を行っている。しかし、MBSとしては、運用負荷軽減や、研究費などの予算配分に絡む手続き上の視点から、SPSSに対して、ASP(Application Service Provider)型のサービス提供も望んでいるそうだ。そうすることで、本来の利用目的のみに重点を置くことができ、運用管理・保守などの目的外のことに気を配らなくても済む。こうしたニーズは、MBSのような調査研究目的に利用する場合だけでなく、一般企業のマーケティング部門、調査部門などにおいても潜在していると考えられる。

図2 SPSS DimensionsのASP型サービス
(ハードウェア環境がない場合でも、気軽にウェブリサーチプラットフォームを利用することができる)

 SPSSによれば、そうしたニーズに応えようと、すでに米国ではSPSS DimensionsのASP型サービスを提供しているという。このASP型サービスでは、ユーザーは、SPSS Dimensionsの利用にあたり、自前で専用サーバを構築・運用する必要はなく、調査期間中だけ、固有のURLとID、パスワードを利用してWebブラウザベースのアンケート調査を実施することができる。日本でのサービス開始については、2007年前半のリリースに向けて現在サービス開発中だという。MBSのみならず、国内ユーザーにとっては待望のサービスとなることだろう。


提供:エス・ピー・エス・エス株式会社
企画/制作:アイティメディア 営業局
掲載内容有効期限:2006年11月22日
 
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