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@IT > 「環境への配慮」――サーバ選択の新基準 |
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■環境に対する配慮が問われる時代地球温暖化の一因とされる二酸化炭素などの排出量を減らすことを目的とした京都議定書が2005年に正式に発効し、条約批准国は石油燃料消費量削減など温暖化ガスの排出量削減目標に向けて改善が求められている。
日本では環境省が中心となり、温室効果ガスの6%削減の目標に向けた運動、「チーム・マイナス6%」を展開中だ。サン・マイクロシステムズは、この運動に参加。ITシステムにおける電力資料量削減を目指し、製品開発や提案、啓蒙活動を積極的に展開している。 「なぜ、コンピュータやネットワークの企業が環境を?」と戸惑う読者もいるかもしれない。しかし、爆発的に拡大するネットワークのことを考えてみてほしい。かつて考えられなかった量の膨大なデータがやり取りされ、ストアされ、処理されているのが現代だ。そのプロセッシングパワーを提供するデータセンターでは、多大な電力消費と発熱が深刻な問題となっている。もはや二酸化炭素を排出する産業は、自動車や製造業だけではないのだ。 サン・マイクロシステムズは、電力消費量に対して計算処理効率や設置効率の極めて高いサーバ群を開発。既設サーバを同社の最新のサーバに置き換えることにより、CO2の排出量を約52%削減できるという。「われわれは、2012年までに温室効果ガス排出を約20%削減するというコミットメントを発表しています。今までコンピュータ会社は、マシンの対価格性能比をいかに上げるかに注力してきましたが、サン・マイクロシステムズは、性能を上げるとともに消費電力を抑えるための製品開発を行っています」(サン・マイクロシステムズ システムズ・ビジネス統括本部 エンタープライズ・ソリューション本部 本部長 関根俊夫氏)。 かつて利潤追求を第一目標に掲げてきた私企業だが、今では、さまざまな社会的責任を果たすべき存在として期待されるようになった。環境への配慮は、その最も大きな責任の1つだ。
■ビジネスの効率性を計る3つの尺度
関根氏が指摘するとおり、かつてサーバの評価軸はパフォーマンス、あるいはコストに対するパフォーマンスが尺度になっていた。しかし、今やそれだけではIT環境の最適化は実現できない。 そこで、サン・マイクロシステムズはビジネスの効率性(Business Efficiency)を計る尺度として、3つのキーワードを提案する。 1つ目はTCO削減。コストの問題は、個々のサーバの価格の問題にだけとどまらない。ITシステム全体を見渡したとき、社内システムの稼働効率や製品のライフサイクルといった中長期的な視点で運用管理のコストを考える必要がある。この点で、サーバ統合による仮想化ソリューションは有効だ。仮想化によってサーバ台数を減らせば、データセンターで必要となるラック数も、電力消費量も減り、コスト削減に役立つ。
2つ目のキーワードは、すでに述べたエコ・レスポンシビリティだ。できる限り低消費電力で運用することが、すなわち環境への配慮につながり、同時にコスト削減ともなる。すでに述べたサーバ統合も有効な方法だが、クライアント環境についても同様に低消費電力での運用が可能だ。クライアント側にアプリケーションやデータを持たない「シン・クライアント」が昨今再び注目されているのは、機密データをサーバに統合することでセキュリティを高めることや、サーバ側で一括管理することで管理コストを抑えるといった目的のためだが、もう1つ、クライアントマシンの低消費電力化が可能という理由も大きい。特にサン・マイクロシステムズの「Sun Ray2」は一般的なシン・クライアントと異なりOSすら搭載しておらず、消費電力は、わずか4ワット程度だ。 サン・マイクロシステムズがビジネスの効率性を計る指標として挙げる3つ目のキーワードは「Make Money」、つまり利益だ。いくら環境に配慮していても、経営上の課題に対して、迅速に、効率よく対応できないようでは意味がない。技術変革の激しい時代にあっては、将来に渡っても利用可能であること、言い換えれば業界で標準的に用いられている技術を採用することも重要だ。例えばアプリケーションの互換性を考えると、x64系CPUでもSPARC系CPUでも同一バイナリを実行できるSolarisであれば、将来的にハードウェア環境が変わっても、自社開発したアプリケーションの書き換えが不要で有効な資産活用が可能だ。 ■1スレッドあたり2ワットの超低消費電力低消費電力のサーバを支えるためにCPUで採用されている技術が「チップ・マルチスレッディング・テクノロジー」(CMT)だ。
CMTベースで設計されたUltraSPARC T1は、8つのコアを持ち、1コア当たり4つのスレッドを実行できる高い並列処理能力を持つプロセッサだ。コア数を増やしたときにネックとなるのはメモリバンド幅だが、UltraSPARC T1は各コアと134GB/sの高帯域幅でL2キャッシュメモリと接続されており、高いパフォーマンスを発揮する。 1チップ上で最大32スレッドを並列実行できるため、小さなスレッド処理が多数実行されるWeb層のアプリケーションや、1チップ上で多数のOSを実行する仮想化環境で威力を発揮する。これは、1スレッド当たり求められる能力として、処理速度は最優先でなくなっているというIT環境の変化に対応したアプローチだ。「今までデータセンターの増強といえば、力ずくという面がありました。ビジネスが大きくなれば処理性能の高いサーバを買い足してスケールアップします。でも、そうすると、そのシステムを維持するための設備も大きくなり、それがコストとしてビジネスに跳ね返ってきます。これからはそうではなく、もっとシステムの効率化を考える必要があります」(ISVアライアンス統括部 統括部長 伊藤敬)。 効率化を考えなくてはならないのは、今後の設備についてだけではない。関根氏は、こう指摘する。「ネットバブルのときに、サーバを買い過ぎたということもあります。残っているがゆえにコストとなっている。それをサーバ統合や仮想化技術で削減することも重要です」。
■電気使用料金などの維持費を大幅削減では、Sun Fire T1000/T2000を導入して、どの程度のコスト削減になるのだろうか。 例えば、定格出力500Wの一般的な1Uサーバ100台使ってWeb、Webアプリケーション、メール、DNSなどのサーバを運用しているケースを考える。発熱を考慮すると、ラックの収容能力どおりに詰めて搭載することが困難な傾向があるため、ラックは5台必要だ。このシステムをSun Fire T1000に統合する。もともと、こうしたWeb層のシステムではCPUの稼働率が低く、30〜50%程度しか利用されていないため、UltraSPARC T1の8つのコアを、それぞれのサーバに割り当てることができる。このサーバ統合によりCPU稼働率を80%程度にまで上げ、サーバの台数を約半分の42台程度に抑えることができる。Sun Fire T1000は発熱量も少ないため、ラック数は2台に抑えることができる。 100台のサーバを42台のUltraSPARC T1サーバに置き換えるとすると、電気代、空調費用、スペース費用、管理費用など年間の維持費は約978万円で済む(サン・マイクロシステムズ調べ)。ここで再び注意を促したいのは、これがサーバの価格の話ではなく、年々発生する設置や維持にかかる費用であることだ。今や価格性能比だけではなく、運用コストまで含めたサーバ選定がTCO削減には求められるわけだ。このためサン・マイクロシステムズは、「性能/(設置スペース×消費電力)」で表される指標を、設置スペース(Space)、消費電力(Watts)、性能(Performance)の頭文字を取って「SWaP」と名付けている。今後、SWaPはますます注目される指標となっていくだろう。 高いSWaP値はTCO削減にも貢献するが、もちろん環境への負荷も小さい。そのことがシステム導入の鍵となるケースも、すでに出てきている。例えば東京理科大学は2006年11月に研究・教育用のコンピューティング環境を刷新したが、その際、Sun Fire T2000をはじめとするサン・マイクロシステムズのサーバを採用。パフォーマンスや拡張性などに加えて、同校が重視したのが「環境パフォーマンス」だという。マーケットでは、すでに環境配慮も、サーバ選択の要件になりつつある。
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