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@IT > “Sun StorEdgeシリーズ”に見る、 サンのストレージ戦略 |
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昨年8月、サン・マイクロシステムズ(以下、サン)と日立製作所および日立データシステムズの3社が、企業向けの製品、技術、サービスにおいて世界規模の提携を発表した(ニュースリリース)。UNIX(R)向けストレージの巨人同士が手を結んだことで、業界地図が大きく書き換えられようとしている。 今回のレポートでは、そのキープレイヤーの1社であるサンのストレージ戦略を取り上げ、前後編に分けてお届けする。取材には、同社のストレージ営業本部ストレージ営業部部長佐川清二氏にご協力いただいた。
調査会社の統計によると、昨年出荷されたストレージの総容量は40Pバイト(ペタバイト)※1を超え、年率20%の伸びを示している。OS別の数字も大きく変化しており、メインフレームからUNIXへとさらに比重を移しつつある。「サンと日立製作所との提携もこうした市況変化をにらんでのことでした」と佐川氏。
その一方で、ストレージデバイスの集積度が上がったことによる相対的な価格下落によって、容量単価ベースでは前年割れという状況も続いている。興味深いのはそんな下落状況の中でもストレージ関連に対する投資割合は増えていることだ。「容量は増えているのにストレージそのものの価格は下がっているわけですから、その分何が増えているかと言うと、ソフトウェアをはじめとするトータル管理コストなんですね」と佐川氏。IT支出をまとめた統計によると、サーバとストレージの比率がここ数年で逆転されるであろうといわれている。これは、かつてサーバの付属物と見られていたストレージが、ここにきてその重要性を増していることを意味している。 NAS(Network Attached Storage)やSAN(Storage Area Network)のような最近の新しい取り組みも、こうしたトレンドと無縁ではない。データセンターへの集約に見られるように、分散環境から統合環境への移行は「ストレージでできることはストレージでやる」(佐川氏)という現在、そしてこれからの管理ポリシーの表れでもある。
サンは、End to EndやPeer to Peerサービスに必要なあらゆるリソースを提供している。「JavaTMやJiniTMなどのアクセスアーキテクチャを始め、Webサーバやデータベースへのインフラ提供、先進のUltraSPARC(R)プロセッサやSolarisTMオペレーティング環境などの一貫した技術、そしてそこには当然ストレージも含まれる」(佐川氏)。次世代のコンピューティング環境を実現するビジョンには、1つの「ONE」と4つの「1」が内包されている(下図参照)。
ユーザー側から見えるフロントエンド部分は、「SunTM ONE(Open Net Environment)」としていつでもどこでもどんな機器からでも必要に応じたサービスを提供する。 そしてそのバックエンドには、「N1」と呼ばれる運用管理者がすべてのリソースを効率的に管理するための仕組みが用意されている(Nはネットワークを意味する)。N1はVHSと呼ばれる3つのコンポーネントで構成されており、それぞれV1、H1、S1に分類できる。 Vはバーティカルであり、64bit SPARCプロセッサやSolarisオペレーティング環境、SMPサーバなどのハイエンドサーバに対して小さいものから大規模なものまで、システム構成をリニアに構築できることを意味する。 Hはホリゾンタル。フロントエンドに対して水平方向への展開を意味しており、SolarisやLinux、Sun FireTM Vシリーズをはじめ、Sun CobaltTMシリーズやNetraTMシリーズなどがある。 同様の考え方でストレージを一元的に管理するのがS1であり、Sun StorEdgeTM T3やSun StorEdge 9900シリーズ、各種マネージメントソフトがここに属することになる。
そのS1を具現化するのが「Sun Managed Storage Network(SMSN)」だ。ネットワークにおけるストレージの形態は現在3種類。サーバに直接接続する旧来のDAS(Direct Attached Storage)がもっとも多く、市場の約7割を占め、残りがストレージ単体を直接ネットワークへつなぐNASと、スイッチでネットワーク化したストレージ群をつなぐSANは1割に満たない。これは「SANのインターフェイスであるファイバチャネルの規格が一元化されないことが原因」と佐川氏。 サンは、これらを透過的に管理できる仕組みとしてJiroTMテクノロジーを持っており、それを体系化したのがSMSNというわけだ。 実際にSMSNで何ができるかというと、デバイスの発見や管理、状況を把握してのレポート、ナレッジベースでの分析や予測などであり、ここまでは従来の技術でも可能だった。しかしSMSNの最終的な目的はアクションを起こすことにある。つまりSMSNを統括するJiroサーバにアクションポリシーをインプットしておき、例えばあるデバイスが不調なときは別のデバイスにコピーを指示するようにしておくわけだ。このように状況に応じてストレージ群を制御できるようにするのが「究極の管理」(佐川氏)と言えるだろう。佐川氏は「ハードウェアだけがつながっていても意味がありません」とも話す。
こうした同社のストレージ戦略を支える製品群が「Sun StorEdgeシリーズ」だ。SCSIベースのSun StorEdge A1000/D1000、ソフトウェアRAIDのSun StorEdge A5200、フルファイバ仕様のSun StorEdge T3シリーズ、そして日立との提携によって追加されたSun StorEdge 9900シリーズ。ストレージ専業メーカーと違い、ローエンドからハイエンドまでを提供し続けるミッションにこたえるラインアップとなっている。
この中でもデータセンター向けなのが、「Sun StorEdge T3シリーズ」と「Sun StorEdge 9900シリーズ」だ。佐川氏は「データセンター向けストレージに必要な、止まらない、管理しやすい、ハイパフォーマンス、マルチプラットフォーム対応などの特徴を持つこれらの製品をお客様に柔軟に提案していく」と話してくれた。
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