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迫りくる新しいインターネットの波、
次世代基幹システムのためのテクノロジー・エッジ
Sun Fire
TM 15K


 
目次
 
  これはメインフレームを超えるサーバ

ホットスワップ対応で 最大106個のプロセッサが搭載可能

PCIカードはフルサイズ72枚 SANによる外部ストレージ対応

さすがに電源と冷却周りは大がかり

ERPを利用したベンチマークで4100同時ユーザーを達成

高いスケーラビリティが示すアーキテクチャの優秀さ
 

 10月4日、サン・マイクロシステムズ株式会社は東京国際フォーラムでハイエンド・サーバ「Sun FireTM 15K」の国内発表を行った。「Starcat」という開発コード名で知られていた、メインフレームを超える機能と性能を実現したという最上位機種である。社会のネットワーク化が進展するにつれて、ASPやiDC、さらには基幹業務などのデータセンターで使われることが多いサン・マイクロシステムズ製サーバには、常により高い性能と拡張性実現への高性能化と高拡張性への期待が寄せられていた。市場のそうした要求に、サン・マイクロシステムズはSun Fire15Kでどのように応えたのか。第1回目は、ハードウェア・スペックを中心に検証してみることにしよう。

  これはメインフレームを超えるサーバ

 サン・マイクロシステムズのサーバ製品には、「NetraTM」「Sun FireTMサーバ(UltraSPARCTM III 搭載機)」「Sun EnterpriseTMサーバ(UltraSPARC II搭載機)」の各ファミリがある。今回、最上位機種として登場したSun Fire 15Kは、このラインアップ中、アーキテクチャでは「Sun Fire 6800」の上位、 ポジショニングでは「Sun Enterprise 10000(StarfireTM)」の後継機に位置する、同社の新しいフラッグシップだ。

 サン・マイクロシステムズが表明しているとおり、Sun Fire 15Kは「ハイエンド・サーバ」 と呼ばれている。しかし、発表会場に据えられた実機に接してみると、「これはまぎれもなくメインフレーム」というのが偽らざる実感だ。外観を見ていくと、とにかく重量感がある。

 その内部に納められたアーキテクチャで最も注目されるのは「SunTM Fireplaneインターコネクト」だ。CPU/メモリ・ボード、I/Oボード、システム・コントローラの各スロットから出ているアドレス、データ、コントロールの3系統の配線が、150MHz動作のクロスバー・スイッチに接続されていることである。クロスバー・スイッチでは、信号の発信元から到着先までを論理的に最短距離で結んでいき、しかもすべての信号はお互いに干渉せず並列に処理される。そのため、超高速なI/Oを実現できる。

 サン・マイクロシステムズではこれまでにもSun Fireplaneインターコネクトやクロスバー・スイッチ搭載のコンピュータを発表しているが、アドレスやコントロールにまでこの技術を適用したのは初めて。一部の補助的な配線にバスやシリアル・ラインも残されているものの、実質的に内部バスはすべて超高速なインターコネクトとなり、従来の10倍以上にも達するバス性能を実現した。

 Sun Fireサーバクラスのマシンでは、CPUクロックよりもI/O性能こそがマシンの性能を大きく左右する。その意味でSun Fireplaneインターコネクトのバス性能は、Sun Fireサーバを従来のサーバマシンと比較して一段も二段も高い位置へ押し上げている。

  ホットスワップ対応で
最大106個のプロセッサが搭載可能

 Sun Fire 15Kのパワーの源となるプロセッサに採用されているのは「UltraSPARC III Cu 900MHzプロセッサ」で、32KBのインストラクション・キャッシュ(4-way)と64KBのデータ・キャッシュ(同)をチップに内蔵。内部構造は0.15μ mプロセスの7層になっていて、一部の層にCu(銅)が使われている。集積トランジスター数は、約2900万だ。

 1枚のCPU/メモリ・ボードに搭載されているプロセッサの数は、最大4個。8MBの二次キャッシュ(ECC付き)と32GBのSDRAM(同)も装着されている。18基のスロットにCPU/メモリ・ボードをフルに装着すると、プロセッサ数は72個(4個×18)、メモリ容量は576GB(32GB×18)となる。

 よりパワーを必要とする場合には、MaxCPUボードと呼ばれる別方式ボードの増設で、プロセッサだけの拡張が可能だ。MaxCPUボードは、I/Oボード・スロットに取り付ける小型のCPUボードで、2個のプロセッサを搭載。メモリは積んでいない。I/Oボード・スロットのうち、最低1つはブート用ハードディスク用に確保しておかなければならないので、この方法で増設できるプロセッサの数は34個(2個×(18-1))。先ほどの72個と合わせて、最大で106個のプロセッサが筐体内に装着できることになる。

 CPU/メモリ・ボードはマシン稼働時でも抜き差し可能なホット・スワップを実現している。つまり、たとえ稼働中であってもマシンのパフォーマンスに合わせてCPU/メモリ・ボードの増設が可能だ。つまりSun Fire 15Kの心臓部は、高度な性能を実現しているだけでなく、無停止運用と高いスケーラビリティをも同時に実現しているアーキテクチャを備えているのだ。

  PCIカードはフルサイズ72枚
SANによる外部ストレージ対応

 CPU/メモリ・ボード・スロットの下にある18基(9基×2面)のI/Oボード・スロットは、PCI カードを取り付けるための装備だ。ただし、PCIカードは直接ここに取り付けられるわけではない。「I/Oカセット」と呼ばれるボックスをスロットに先に装着し、その中に設けられた4基のPCI拡張スロットに差し込むという手順を踏むことになる。I/Oカセットには十分な大きさがあるので、フル・サイズのPCIカードも収めることが可能。4基の拡張スロットは、PCIバスのクロックが66MHz対応が2基と、33MHz対応が2基という構成になっている。

 これらのPCIカード・スロットもホット・プラグ対応の設計になっていて、一般 に流通しているPCIカードでも電源オンのまま自由に抜き差しが可能だ。PCI規格に合致しているものであれば装着するPCIカードに特に制限はなく、周辺機器やネットワーク機器などのために多様なものが使用できる。サン・マイクロシステムズからリリースされているものには、高速ネットワーク接続のためのGbEとFC-ALのSun Gigabit Ethernet FC-AL/P Combination Adapter、イーサネットとSCSI接続用のSun Dual Fast Ethernet and Dual SCSI/P Adapter、UltraSCSIのSun Dual Differential UltraSCSI Host Adapter、イー サネットのSun Quad FastEthernetTM、ATMのSunATMTMなどがある。

 筐体内にできるだけ多くのプロセッサとメモリを搭載できるように、Sun Fire 15Kにはストレージ用ベイが内蔵されていない。したがって、データを保存するためだけでなく、オペレーティング環境(SolarisTM 8 10/01以降)をロードして起動するためにも、外部に何らかのハードディスクが必要だ。そのために、「Sun StorEdgeTMファミリ」「Sun StorEdge T3」が用意されており、中でも、Sun Fire 15Kのパワーに見合った高速大容量の機種となると、先ごろ発表された「Sun StorEdge 9900シリーズ」であろう。利用できる最大のストレージ容量はなんと約4.5PB(Peta Bytes)(250TB×18ドメイン)と非常に大きい。なお、Sun StorEdge 9900シリーズとドメインの詳細については、次回で触れる。

  さすがに電源と冷却周りは大がかり

 Sun Fireplaneインターコネクトに接続されている最後の装置が、2基のシステム・コントローラだ。この装置はUltraSPARC IIベースのプロセッサ・ユニット(前面側ではCPU/メモリ・ボード・スロットの右端)と、36GB容量 のストレージ・ユニット(同じくI/Oボード・スロットの右端)の2つのボックスからなり、Sun Fire 15Kの全体にシステム・クロックを供給したり、ハー ドウェアやドメインの管理まわりの作業を行ったりする役割を担当する。前面と背面にある2基はシリアルのハート・ビート・ラインからなり、両者をつなぐことにより、片方がダウンしても他方が機能を引き継ぐフェイル・オーバー構成になっており、高い信頼性の源となっている。

 メインフレームを超えるハードウェア・スペックを支えるために、電源周りも高度な冗長構成になっている。筐体の一番下に置かれた電源ユニットは、前面と背面にそれぞれ3基ずつあるので、合計で6基。前面と背面の2セットは独立した系統の冗長装備であり、それぞれがN+1構成になっている。各電源ユニットは、電圧が200-240V、周波数が47-63Hz、6つの30A回路を冗長化のため2組装備。UPS用のスペースは用意されていないが、このクラスのコンピュータではディーゼル発電機とCVCFを組み合わせて停電対策にするのが普通なので問題はまったくない。

 冷却システムについても、同様に高度な構成だ。Sun Fire 15Kの冷却は、底面(床)から冷気を取り込んで筐体内部を流通させ、上面(天井)に排気するという方式。したがって設置にあたっては、きちんとしたエアフローが確保されたフリーアクセス床と十分な天井高が必要だ。重量が1トンを超えることも併せて考えると、空調付きの専用コンピュータ・ルームは必須の設備といってよいだろう。

  ERPを利用したベンチマークで4100同時ユーザーを達成

 一般に、コンピュータの性能を単純に示せるような指標は存在しない。実行するインストラクションの種類とその構成はケース・バイ・ケースで異なり、実稼働時のストレージやネットワークに対するI/O負荷を正確に再現することはできないからだ。しかし、高額なコンピュータの購入稟議書を承認する立場の人間にとっては、客観的な性能指標がなくては諾否の判断ができないのもこれまた当然。そこで、Sun Fire 15Kの資料には、業界でよく利用される性能指標がいくつか示されているが、そのいずれの数値もかなり高い。

 最も端的な性能表示として掲げられているのが、Mainframe MIPSで6400以上、GFLOPSで190という値。Mainframe MIPSはメインフレーム用、GFLOPSはスーパーコンピュータ用の性能指標だ。

 しかし、パフォーマンスのより実際的な目安としては、SAP-SDベンチマーク、SPECjbb2000、FLUENTのそれぞれを参考にした方がよいだろう。SAP-SDベンチマークはERPソフトでのパフォーマンスを測定するもので、2-tierでの同時使用ユーザー数は4100。測定環境はSolarisTM8で動作させた76プロセッサ構成のSun Fire 15Kで、Oracleのバージョンは8.1.7である(画面参照)。

 SPECjbb2000はアプリケーション・サーバ向きの性能指標で、JavaTMアプリケーションの実行速度を示すもの。Sun Fire 15Kは324,542オペレーション/秒の速度を達成している。最後のFLUENTは、浮動小数点演算を多く含む科学技術計算での性能を評価する指標だ

 拡大図

 

  高いスケーラビリティが示す
アーキテクチャの優秀さ

 Sun Fire 15Kのようなマルチ・プロセッサ機では、絶対的な性能に加えてスケーラビリティの高さも重要な性能指標になる。例えば、搭載したプロセッサの数を2倍にしたら性能も2倍になるべきだが、現実のコンピュータでは種々の技術的な問題が影響して、そうした素直なスケーラビリティを示さないのが普通だ。

 しかし、サン・マイクロシステムズが発表しているSun Fire 15Kのスケーラビリティは、72プロセッサで71.25倍のパフォーマンス向上を示し、ほぼCPUの増加に対して直線的に性能の増加が得られる。この測定環境は、Oracle 9iデータウェアハウスのシングル・クエリーであり、現実的な環境で、ハードウェア投資に対して効果的な性能向上を得ることが証明されていることになる。

  スケーラビリティのこれだけの高さは、Sun Fire 15Kのアーキテクチャがいかに優秀であるかを示す最強の証拠だ。これは、アドレス、データ、コントロールの3本に分けられたSun Fireplaneインターコネクトが大きく貢献している。クロスバー・スイッチではCPU/メモリー・ボード間の相互作用がほとんどないから、プロセッサの数を増やしてもオーバーヘッドは増加しないのである。と同時に、Solaris 8がUltraSPARC IIIの64ビット処理能力をフルに引き出せるように設計されていることも、ソフトウェア面からの援護射撃になっていることは間違いない。次回には、こうしたOSなどの側面についても説明していきたい。

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●Sun、Sun Microsystems、Sun Fire、Sun StorEdge および Sun Ready は、米国およびその他の国における米国Sun Microsystems, Inc.の商標または登録商標です。
●サンのロゴマークおよびSolarisは、米国Sun Microsystems, Inc. の登録商標です。
●すべてのSPARC商標は、米国SPARC International, Inc.のライセンスを受けて使用している同社の米国およびその他の国の商標または登録商標です。SPARCが付いた製品は、米国Sun Microsystems, Inc.が開発したアーキテクチャに基づくものです。
●UNIXは、X/Open Company Ltd. が独占的にライセンスしている、米国およびその他の国における登録商標です。
 
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