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企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局
掲載内容有効期限:2003月8月11日

 



いま見えてきた「基幹システム・オープン化」への道
【第2回】

ハードウェア系ベンダ各社が語る基幹システムオープン化

 大規模基幹システムをメインフレームからオープンシステムに置き換えるという取り組みが始まって、すでに数年が経過している。先端的な事例として金融機関のように特に高い信頼性を要求する業種でも、メインフレームを捨てオープンシステムに置き換えるケースも出てきているものの、現状ではまだ一部の特定のユーザーに過ぎず、多くの企業は依然としてメインフレームを使い続けている。特に日本でのメインフレーム市場は欧米を大きく上回り、置き換えが進まない特殊な市場だといわれてきた。しかし、最近になってハードベンダー側でも真剣にオープンシステムへの置き換えを推進し始めた。果たして、この試みは成功するのだろうか。サン・マイクロシステムズ、NEC、日本ヒューレット・パッカードというハードメーカー系の3社に、オープンシステムによるメインフレームの置き換えはどこまで進んでいるのか、その実情を聞いた。

  これからの基幹系システムに求められるニーズとは

 最近になって、あらためてメインフレームの置き換えが脚光を浴びているのは、「経営者にアピールするコスト面での効果が大きい」と各社が口を揃える。

 コスト面での効果の1つが、メインフレームとオープンシステムのソフトウェアに関するコストの違いである。あるメーカーは、「Y2Kを契機として、それまでハードウェア込みでコストがかかっていることを意識されてこなかった、ソフトウェアのライセンス料が非常に高額であることが明らかになった。ハードウェアは資産計上されているものの、メインフレーム用ソフトのライセンス料、月間2000万円から5000万円はいつまでたってもなくならなず、ユーザーにとって重い負担となっている」と指摘する。

 メインフレームとオープンシステムでは、ハードウェアの価格差が取り沙汰されることが多いが、実はソフトの価格差というのも大きいのだという。

メインフレーム業種別納入状況 金額ベース(電子情報技術産業協会資料より作成) メインフレーム市場は、年々減ってきている

 さらに、メインフレームは最近のビジネス環境に求められている、変化への対応力に乏しいことも弱点としてあげられる。最近、経営者が求めるキーワードとして、「市場変化のスピード、顧客ニーズの多様化に即座に対応していくこと」があげられる。経営環境の変化に応じて、情報システムも変化する必要があり、構築にかかる時間も短期間に対応していくことが求められるようになった。

 この短期間にシステムを構築することは、実はコストにも反映されることが多いために、やはり経営者にとって大きなアピールポイントとなっていくのだという。

 また、経営者側では、単にコストを引き下げることだけでなく、従来のシステムにはなかった付加価値部分を求めているという指摘もある。「いくら安くなったのかという質問をよく受けるが、実はコストはほとんど変わっていないものの、中身が全く変わり、例えば単純な受発注システムから、リアルタイムに在庫状況を確認できるもとするなど、質的変化も大きい」(NECの矢島竜司グループマネージャー)。こうした質的変化が経営者層へのアピール度が高いものとなっているのは、情報システムの導入の鍵を握るのが経営者層になってきていることにも要因があるようだ。

 メインフレームからオープンシステムへの移行には、技術的な壁とともに、企業の経営層を説得する材料がどれだけ揃えられるのかがポイントだといえるだろう。

  真のニーズが分かるチェックシート──サン・マイクロシステムズ

サン・マイクロシステムズの山本恭典氏は「オープン化で確実にコストは下がる。大切なのは最適なITインフラとは何かを自覚すること」と語る
 サン・マイクロシステムズはメインフレームユーザーのオープンシステムへの置き換えとして「Rehost(リホスト)」「Rewrite(リライト)」「Rebuild(リビルド)」という3つのソリューションを提案している。

 リホストとは、メインフレーム上のアプリケーション資産をSolaris上に移行することで、データやアプリケーションをそのまま活用する手法で、既存アプリケーションをリコンパイルするので、既存資産を生かしながら、コストとリスクを抑えた移行が可能となる。

 リライトは、メインフレームのアプリケーション・コードをSolarisオペレーティング・システム上で活用できるように新たに書き換えるもので、リビルドはメインフレームのビジネスロジックを全面的に変更し、オープン・システムに移行する大がかりなものとなる。

 現在、最も多いのが、「リホストをするということで話がスタートするものの、途中からリビルドに変更するケースです」とデータセンター・ソリューション事業本部・山本恭典本部長は指摘する。

 サンでは置き換えの事前調査を行うA4用紙2枚程度のチェックシートを用意している。ユーザーがこれに自社の状態や希望を書き込んで、サンに提出するとリホストが行えるかどうかから実際にどのくらいコストがかかるかまでを、即座に診断できるという。

 このチェックシートにユーザーが回答を埋めていくうちに、「当初はリホストで十分にすますことができると思っていたのに、実は必要なものが足りないということが明らかになって、途中からリビルドに切り替えるユーザーさんが多い」というのだ。

 チェックシートの効果は高く、「最初は疑心暗鬼で話し合いを進めているユーザーが、2回目あたりのミーティングから非常に前向きに話に臨むようになり、自社にとって最適なITインフラとはどんなものか、真剣に検討するようになっていきます」と、もともとはコスト面のシステム見直しであっても、あらためてオープンシステムへの移行の必要性を感じるユーザーも少なくないようだ。

 しかし、山本氏は「メインフレームが完全になくなるとは考えてはいません」と話す。

 もちろん、テクノロジ的には全面置き換えも十分に可能であり、消費者金融のキャスコのように、全勘定系システムをメインフレームからUNIXに置き換えるといった事例も出てきている。しかし、特殊な領域、ある特定のポイントにおいてはメインフレームの方が望ましい例も十分にあるというのだ。また、山本氏は「思想的な面で、メインフレーム絶滅という考え方には違和感を感じています」と、メインフレームという文化を尊重したいとも語る。

 とはいえ、「新たなサービスとなると、メインフレームでは通用しないことも確か。さらに、金融、官公庁などのユーザーは、10年先を見据えたITシステムを開発していくために、5年後に出てくる製品を先取りして開発を進めていきたいというケースもあり、そうした新しいテクノロジを使った、新しいサービスにはやはり最先端のオープンシステムの導入が必要になります」と、オープンシステムを使った基幹システムは着実に増加していくという見通しを語る。

  豊富な実績がソリューション──NEC

 もともとメインフレーマでもあるNECは、企業の基幹システムのあり方が、「企業や組織の枠を越えたコラボレーション型のシステムモデルが求められる時代になってきています」と指摘する。

 NECの矢島竜司氏は「トップダウンの案件が多い。経営者の意識の変化しているのでは」と指摘する
 「例えばSCMでは、社内だけでなく生産、物流、販売に携わる企業全てが連動していかなければなりません。従来型の自社内だけで使うことを想定した企業システムでは、SCMの実現は難しい。コラボレーション型の経営を実践するためには、システムモデルもそれに即したものが必要となるのです」(マーケティング本部・矢島竜司グループマネージャー)

 それに対するNECのソリューションが「オープンミッションクリティカルシステム(OMCS)」である。これまでメインフレームの開発・販売で培ってきたノウハウを結集することによってオープンでありながらシステムの堅牢性を実現し、同時にオープンならではの柔軟性もあるというものだ。

 オープンの特性である柔軟性と、メインフレームの堅牢性は、相反するものでもあるが、「それを共存させることに成功したのは、実践の中SI、サポートといったことを繰り返していった中で実現したものだからではないでしょうか」と指摘する。

 この実践の中で生まれたことは大きな強みとなっているという。「これからそういう製品を作りますというのではなく、すでに動いているシステムだということが当社の大きな強みになっていると考えています。OMCSを商品化するまで、8年をかけてSIやサポートなどを通じて取り組みを続けたからこそ、現在商品としてお届けできるレベルになっているのです」と、実践の積み重ねによってOMCSが成り立っているとアピールする。

 NECでは1995年から大規模なオープンミッションクリティカルシステムを構築し、住友生命、NTT、大和SMBCのT+1システム、三井住友銀行の営業店HUBシステム、NTTドコモのiモードプラットフォームCiRCUS、八千代銀行のBankingWeb21などのシステム構築を手がけてきた。 

 「この大規模システム構築の実践で培った技術やノウハウを体系化して、OMCSトータルサービスを構築し、コンサルティングからシステム構築サービス、ハイアベーライビリティサポートまで、実証されたシステム構築方法論に基づいて提供することができるようになりました」

 NECでは、このOMCSをコラボレーション型経営に求められる、情報システムを経営者層にアピールしていく考えだ。

  置き換えは特別なものではない──日本HP

日本ヒューレット・パッカードの九嶋俊一氏は、「ハードウェアのラインナップ、エンジニアの数、ソフトウェア資産の変換ノウハウなどでユーザーの受け皿になる環境は整っている」と自信を見せる
 日本ヒューレット・パッカードが1月23日に発表した「Mainframe Eliminationプログラム」は、多くの人にインパクトをもたらした。

 Mainframe Eliminationプログラムは、現在メインフレーム上で稼動しているミッションクリティカルな業務システムをオープン環境に置き換えるためのプログラム。同社で専任チームを組織し、移行に必要となる各種の技術検証を実施するための専用検証センターを日本HP市ヶ谷事業所に開設している。

 Eliminationを日本語に訳すと、「消去」という意味をもつ。あるマスコミでは、「メインフレーム皆殺し作戦」と実に物騒なタイトルをつけてこの発表を紹介した。

 「皆殺しというのはあまりに過激すぎて本意ではない部分もあるが、多くの人にインパクトを与えることができたのは喜ばしいことだと思っています」(エンタープライズ事業ビジネスクリティカルシステム統括本部インフラストラクチャソリューション本部・九嶋俊一本部長)

 発表後のユーザーからの反響も予想を上回るものだった。問い合わせを寄せたユーザー数は40件。様子をうかがうための問い合わせも一部あったというが、多くのユーザーが真剣にメインフレームの置き換えを検討している。

 「実は発表前は、これほど案件が来るとは考えていませんでした。しかし、実際に発表を行うと、ユーザーさんはもちろん、SIerさんから一緒にやりたいというリクエストを多数もらい、メインフレームの置き換えを検討するユーザーさんが数多くいるのだということを実感しました」

 実際にメインフレームをオープンシステムに置き換えるために、案件に応じてコンバートやエミュレート、作り直しを使い分けていく必要があるという。業務の生命線を握るシステムで、ユーザー側が変更に不安を見せる場合には、「具体的にどんなことができるのかはっきりと提示し、ユーザーの不安を取り除いていくことが重要になっていきます。移行作業は道具が揃っただけで実現するものではなく、マイグレーションノウハウがあってこそ可能になるものです。既存の環境ごとに異なる形状分析を行い最適な移行方法を探し当てていくことが必要で、万能薬というものは存在しないのです」と、1つ1つの案件に即した対応が必要だと強調する。

 5月27日にエンタープライズシステムのコンセプトとして、「Adaptive Enterprise」を発表した。九嶋本部長は、メインフレームのオープンシステムへの置き換えは特別なものではなく、「実はITコンソリデーションの一環として考えた方がいいと思います」と指摘する。

 「ITの統廃合を検討していく中で、その中の1つとしてメインフレームも存在しているのです。実は10年間、同じメッセージをアピールし続けてきましたが、ここ1、2年で大きく市場が動いていると実感しています。おそらく、2005年が大きな変化の年になるのではないでしょうか」

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