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@IT > 組み込みソフトのリモート保守も実現 ウインドリバーの真のエンド・ツー・エンド製品群 |
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組み込み向けリアルタイムOS「VxWorks」で知られるウインドリバーだが、現在の同社はOSベンダの域にとどまっていない。「Develop(開発環境)」「Run(プラットフォーム製品)」「Manage(保守管理)」という3つのカテゴリで多彩な製品を供給している。つまり、市場出荷後までを含む真のエンド・ツー・エンドの製品体系を持っているのだ。 そしてウインドリバーは7月、この3つのカテゴリでバージョンアップ版も含めて13もの新製品を一気にリリースした。これは、6カ月ごとの製品強化をユーザーにコミット(「6カ月トレインモデル」と呼ぶ)している同社ならではである。 今回は、Develop、Manage、Runの順で主な新製品の特徴を紹介しよう。
Develop製品の中心は、Eclipseベースの統合開発環境「Workbench」である。今回リリースされた新バージョン「2.5」の主な機能強化点は、Linuxサポートの強化だ。Workbenchの魅力の1つは、VxWorks PlatformとLinux Platformの両方に対応していることであったが、これまでフル機能が使えるのはVxWorksのみだった。2.5では、LinuxでもVxWorksと同等の機能が使えるようになった。 VxWorksユーザーにも朗報がある。これまでWorkbenchはVxWorks 6.0以上にしか対応していなかったが、2.5からVxWorks 5.5に対応したのだ(対応CPUはPowerPCのみ)。VxWorks 5.5以下のユーザーに対しては、ウインドリバー独自フレームワークの「Tornado」を統合開発環境として提供してきたが、最近ではWorkbenchの方が使い勝手のよさで高く評価されてる。 Workbenchのアドオン製品である動的診断ツール「Workbench Diagnostics」(以下Diagnostics)もリビジョンアップし、対応CPUの種類が広がった。2005年12月リリースの初代バージョンはPowerPCとIA-32のみだったが、今回MIPS、ARM、XScale、SuperHが加わった(注)。
Diagnosticsは、
の2つの機能からなる動的診断ツールである(Linuxのコアイメージ解析のWorkbench対応は当リビジョンから)。ソースコード書き換え−再ビルドを逐一行うことなくデバッグできるため、開発生産性を高められる。関心を示すユーザーは多く、対応CPUの拡大を求める声が大きかったという。 以上のように、Develop分野はユーザーの要望を着実に反映して、より適用範囲を広げているのが特徴である。
「Wind River Management Suite」は、前述したDiagnostics機能を市場で運用を可能にする「Field Diagnostics」を中心とした同社初の管理スィート製品群である。エンドユーザーの手元で実稼働しているデバイスソフトウェアに対する保守管理ツールとなり、システムや製品を止めることなく、リモートで障害の記録・原因切り分け・応急処置(パッチの動的適用)が可能になる。
Field Diagnosticsの仕組みは図2に示すとおりである。システム基盤はJ2EE、アーキテクチャはXML/SOAPを使うWebサービスだ。メーカー側に設置された「デバイス・マネジメント・サーバ」と、顧客側に設置された「サイト・マネジャー」が、ネットワークを介して更新しながら、「サイト・マネジャー」に接続されている個々の製品から収集したセンサーポイントのログ情報やコアイメージ情報をサーバへ吸い上げ、一元的に管理する。これらの情報を遠隔地のWorkbench上で解析し、デバイスソフトウェアの診断や問題究明を行うことができる。また、エンジニアがWorkbench上で新たにセンサーポイントを作成し、リモートで製品へ動的に挿入することも可能だ。 実は、「Diagnosticsをリモート保守で使いたい」という要望は発売当初からあった。ただ、インターネットを利用して内部プログラムに直接アクセスするとなると、高度にセキュアな環境が不可欠になる。また、大量のデバイスに対しても効率よく一括診断できる仕組みも欲しい。そこでサーバ運用を可能にするField Diagnosticsが誕生したわけだ。当然、インターネット上のデータ交換はSSLで保護され、アクセス権限管理機能を持つ。また、管理者向けコンソール「Management Console」も用意されている。 Field Diagnosticsは、さまざまな適用シーンが考えられそうだ。特に設備系デバイスのリモート保守には有効だろう。「『広域に点在する通信設備機器のリモート保守をDiagnosticsで効率化できないか』という顧客と一緒にField Diagnosticsの実証実験が行われている」(ウインドリバー)。今後はインターネットに接続するコンシューマデバイスへの適用も出てくるかもしれない。また、リモート保守だけでなく、出荷前の品質検証にも使えそうだ。開発部門と品質保証部門がDevice Management Server上で診断ログを共有しながら検証・改善作業を進めれば、最終的なバグつぶし作業もはかどるだろう。ウインドリバーが今回打ち出したField Diagnosticsというソリューションは、組み込みソフトウェア開発に大きな影響を与えそうな雰囲気がある。
Run製品の一翼、VxWorks Platformはバージョンが3.2から3.3に上がり(VxWorks単体のバージョンも6.2から6.3へアップ)、さまざまな機能拡張が行われた。POSIX対応を進めたほか、フリースケールのColdFire(M547x/548xなど)を対応CPUに加えた。また、QoS(Quality of Service)フレームワークへの対応も果たした。ち密な帯域制御が必要な自動車分野の通信アプリケーションなどにも適用できそうだ。 新バージョンは、セキュリティ面も全般的に強化。製品に含まれるセキュリティ関連の標準ライブラリ「Security libraries」「Wireless Security」の内容を充実させた。例えば、Security librariesでは「SHA-224メッセージダイジェスト」など先端の暗号化アルゴリズム、Wireless Securityでは汎用トークンカード(EAP-General仕様)をサポートするようになった。 もう1つのRun製品、Linux Platformも1.2から1.3へバージョンアップし、Linuxカーネルを2.6.14へ引き上げた。この6カ月間でリリースされた約50のアップデートパッケージ、約30のオープンソースパッケージもプラットフォームの製品構成に加わっている。 3種類あるLinux Platform(ネットワーク機器向け「Platform NE」、コンシューマ機器向け「Platform CD」、汎用向けの「General Purpose Platform(GPP)」)の中でも、特にPlatform NEにおいてはOSDL「キャリアグレードLinux ver3」ベースの機能拡張が行われ、可用性が高まった。Platform NEの対応CPUにはAMD Opteronが新たに加わっており、よりハイエンド機器での採用も見込めそうだ。 前述したとおり、Linux PlatformとWorkbenchとの連携が強まっている点も見逃せない。例えば、Workbenchの画面上でプロジェクト・コンフィグレーション(製品構成)が簡単に行えるようになった。Platform NE/Platform CD/GPPに合わせてカーネルやライブラリの種類を選択。必要に応じた製品構成を視覚的に設定できる(図3参照)。また、前述したWorkbench Diagnosticsを利用したコアイメージ解析も新バージョンでは可能となり、障害解析が容易になった。
Linux Platformの新バージョンで目立つ特徴は、リアルタイム性能の拡張である。ウインドリバーは「Linuxをコミュニュティ標準にそって正統に進化させてゆくためには、業界を混乱させるディストリビュータ独自のチューニングは避けるべき」というポリシーを掲げ、プリンスティンソースカーネルを同製品に採用する。それが新バージョンでは、標準仕様を超えてリアルタイム性能を追求可能となった。これは、ウインドリバーの動作保証のもとでユーザーへ提供する選択肢の1つという意味であり、プリンスティンソースカーネル尊重のポリシーと矛盾するものではない。また、同社が提供するリアルタイム機能は、Linuxコミュニティの中でも有名なIngo Molnar氏のプリエンプションパッチである。 では、Ingo Molnar氏のプリエンプションパッチ使用を選択した際のメリットはどうか。「パッチを当てた場合、プリンスティンソース状態に比べて明確な差が出る」という。長い時間をかけて拡張・チューニングを続け熟成されてきたVxWorksに比べ、発展途上のLinuxは半年ごとでもエンハンス幅が大きい。 以上のように、ウインドリバーはデバイスソフトウェア搭載の開発および製品ライフサイクルを通して、真のエンド・ツー・エンドを支援するソフトウェア群を取りそろえる。しかも、各製品の技術が複雑に絡み、要素技術の進化が激しい中でも、ユーザーの要望を反映して6カ月ごとのエンハンス、新規製品投入を実行。これは数多い組み込みソフトウェアベンダの中でも希有なこと。同社のパワーを感じる。 提供:ウインドリバー
株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2006年8月23日 |
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