人工知能

AI / artificial intelligence


 知覚・認識・学習・推論・判断といった知的活動を行う人工物(機械やコンピュータ・システムなど)を作り出すことを目的とした研究分野や研究アプローチのこと。あるいはその研究成果として生み出された技術の総称、ないしはその技術を用いて作られた機械やシステム、コンピュータ・プログラムを指す場合もある。

 研究分野としてのAIには2つの流れがある。1つは人間の脳の構造などを分析してモデルを作り、それを機械(コンピュータ)上に再現しようというアプローチで、その作業を通じて「知能とは何か」「知のメカニズム」を明らかにすることを目指す認知科学的立場である。もう1つは人間が知識を使って行っている活動を(部分的に)代替できる機械を作り出そうという知識工学的立場である。大部分のAI研究は、後者の立場で行われている。

 人工知能という言葉は、1956年に米国ダートマス大学で開かれた「The Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence」(通称:ダートマス会議)という研究会議に由来する。このサマーコンファレンスの名称に「Artificial Intelligence」の語を採用したのが、主催者の1人でダートマス大学の数学教授だったジョン・マッカーシー(John McCarthy)である。この新たな領域が広く研究者に知られるようになったのは、マービン・L・ミンスキー(Marvin Lee Minsky)の論文「Steps Toward Artificial Intelligence」(1961年)がきっかけとされる。

 初期のAI研究は定理の証明、パズルの解法、チェスなどのゲームをテーマにした論理学の延長にあるようなものだった。その後、“知能”の奥深さが分かるにつれ、研究範囲が広がり、コンピュータの可能性に挑戦する研究者が集い、さまざまなコンセプトや技術が生み出されるようになった。AI研究では技術や方法が確立されると人工知能と見なされなくなる傾向があるが、見方を変えれば常に最先端の研究が行われている分野ということができる。

 一方、日常語としての人工知能は、AI研究からスピンオフした各種の技術やプロダクトを指し、例えば、家庭電化製品のファジー制御システム、ゲームプログラムの思考ルーチンなどがこれに該当する。

 AIの基礎領域としては、記号処理/問題解決/論理/知識表現・ナレッジベース/学習・推論/ニューラルネットワーク/知識獲得/分散人工知能などがある。利用分野としては、エキスパートシステム/自然言語解析/画像認識/音声認識/感性処理/情報フィルタリング/工程スケジューリング/機械翻訳/データマイニングなど、多岐に渡る。

 近年では伝統的な計算主義/記号主義の限界が指摘され、身体性人工知能(embodied AI)という立場からロボティクスと結合して、知能ロボットなどの研究も進められている。

参考文献

  • 『人工知能の理解を深める本──“偉大なる知恵者”の原理と仕組み、応用をさぐる』 和多田作一郎=著/実務教育出版/1986年2月
  • 『人工知能になぜ哲学が必要か──フレーム問題の発端と展開』 J・マッカーシー、P・J・ヘイズ、松原仁=著/三浦謙=訳/哲学書房/1990年7月
  • 『ロボットにつけるクスリ──誤解だらけのコンピュータサイエンス』 星野力=著/アスキー/2000年2月
  • 『マッチ箱の脳──使える人工知能のお話』 森川幸人=著/新紀元社/2000年12月
  • 『人工知能概論──コンピュータ知能からWeb知能まで〈第2版〉』 荒屋真二=著/共立出版/2004年10月
 
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