ベスト・オブ・ブリード(べすと・おぶ・ぶりーど)情報システム用語事典

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» 2004年11月25日 00時00分 公開

 システムを構築する際、同一ベンダ、同一アーキテクチャの製品、あるいはスイート製品を使うのではなく、各分野で最良のハードウェアやソフトウェアを選択し、その組み合わせでシステム構築を行うアプローチ。

 例えばフロントエンド、アプリケーション、データベースをそれぞれ異なるベンダの製品を採用したり、業務アプリケーション・パッケージにおいて財務管理、生産管理、販売管理などの各アプリケーションを選択する際に個々の機能の優劣や業務適合性を優先し、それを組み合わせて使うような手法をいう。

 企業システム構築(特にパッケージ導入)のアプローチとして、ベスト・オブ・ブリードがよいか、スイート(統合製品)がよいかという議論は古くからある。同一ベンダ製品で統一すると開発工数の削減につながり、ベンダのサポートを受ける場合にも有利だといえる。特にERPパッケージのように、初めからスイートとして設計されたものであれば、全体最適を考慮したビジネスプロセスを実現しやすいといえる。

 しかし実際のERP製品には会計が良い、人事が優れている、生産管理に強いといった特徴がある。また、単一ベンダで揃えようとすると、ほかの製品では実現されている一部機能をあきらめなければならない場合もある。

 そこでERPの各サブシステムや業務アプリケーションの“いいとこ取り”をするベスト・オブ・ブリードの手法がいわれるようになった。ただしこのやり方は、本来、独立した別製品を接続・連動させなければならないため、システム接続に多くの開発工数が必要になる。しかし、近年はWebサービスをはじめ標準的なシステム連携技術やSOAの発想によるシステム基盤テクノロジの登場により、ベスト・オブ・ブリード的なシステム構築に有利になってきているといえるだろう。

 このようにベスト・オブ・ブリードという言葉はIT業界では「マルチベンダ」の同義語として使われることが少ないないが、もともとはイヌやネコ、ウサギなどのブリーディング(繁殖)の用語で「同一種で一番優れている個体」「品評会などの賞」の意味で使われる。ベスト・オブ・ブリードを作り出すためには血統ラインの異なる個体を交配していくことから、系統の異なるシステムを組み合わせることをいうようになった。

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