コンテキスト

context


 ジェフリー・A・ムーア(Geoffrey A. Moore)が示した業務分類の1つで、競合他社との差別化要因とならない業務のこと。コア以外の企業活動のすべてをいう。

 ある製品やサービスが顧客に選ばれるのは「ほかでもなく、その会社のものがよい」という判断に至るような、何らかの差別化要素を持っているからである。しかし、競争市場で威力を発揮する差別化要素=コアに対して競合他社が手をこまねいていることはあまりなく、いずれ模倣や追随などによってキャッチアップされ、製品や技術はコモディティ化して、コアは差別化する力を失っていく。コンテキストは、こうした過去のコアの名残りとして誕生する。

 また企業の中では、競合他社や業界平均に遅れないようにするための業務、法律で課せられた活動や当局の指導に基づく業務、投資家や従業員に対する義務的な活動などが数多く行われている。これらもすべてコンテキストと定義される。

 コンテクスト業務が重要でないというわけではない。コンテクスト業務が正しく遂行されない場合、企業の信用が失墜したり、販売機会を喪失したり、損害賠償を請求されたりといったことがあり得る。すなわち、コンテクストは企業の信用や株主価値を上げる要因となならないが、下げる要因にはなり得る存在だといえる。

 ムーアの主張は、コンテキストでは他社と差をつけることができないので、こうした業務に希少資源である人材や時間を浪費してはならないというものである。従ってコアとコンテキストを的確に見分けたうえで、コンテキストの品質やサービスレベルは市場が求める標準的なものに留め、コスト削減や生産性の向上を目指すべきだとする。そこでムーアは、コンテクストから経営資源を解放する手段としてアウトソーシングスピンオフを論じている。

 またムーアは、企業のIT部門が直面している課題として、コンテクスト業務に時間を多く使っていることを挙げている。

参考文献

  • 『企業価値の断絶』 ジェフリー・ムーア=著/高田有現、齋藤幸一=訳/翔泳社/2001年9月(『Living on the Fault Line : Managing for Shareholder Value in the Age of the Internet』の邦訳)
  • 『ライフサイクルイノベーション――成熟市場+コモディティ化に効く14のイノベーション』 ジェフリー・ムーア=著/栗原潔=訳/翔泳社/2006年5月(『Dealing with Darwin: How Great Companies Innovate at Every Phase of Their Evolution』の邦訳)
 
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