デザイン思考

design thinking


 ビジネスや社会に変革をもたらすイノベーションを達成する手法・考え方の1つ。AppleのPCやマウスをデザインしたことで知られるデザイン・コンサルティングファームのIDEOが、新しい何かをデザインするときの手法をベースにしたイノベーション技法のこと。

 基本的には“試行錯誤型アプローチ”であって、まずはプロトタイプを作り、それを用いたテストマーケティングなどを通じて実地の試験・検証を行い、そこで問題を発見、解決するというサイクルを回しながら、完成に近付けていくというもの。IDEOの発想法を解説した「The Art of Innovation」(2001年)では、「フィールドワーク」「プロトタイプ」「ユーザーテスト」「ブレーンストーミング」などのツールを使った、理解・観察・視覚化・評価と改良・実現の5つのステップからなる方法論として紹介されている。経験、感性、異領域の出会い・協業を重視するもので、方法論というより文化であると説明されることもある。

 このアプローチ自体は特に目新しいわけではないが、「新しいものを生み出す」という活動を行う意匠デザインでは当然の方法を、商品開発や市場創造、ビジネスプロセス改善、新しい企業戦略の策定に拡張したものだといえる。

 デザイン思考は、「企業経営とは事前にきちんとした計画を立て、それを間違いなく実行することである」という米国型ビジネススクールの考え方に対するアンチテーゼである。IDEOの共同創設者であるデイビッド・ケリー(David Kelly)は、「知識経済」の時代に代わって「クリエイティブ経済」の時代が到来するとして、スタンフォード大学の「d.school」――B-school(旧来のビジネススクール)に対抗する、経営者志望の学生のための“デザインスクール”――の創立に参画、デザイン思考やデザイン方法論の教育に乗り出している。

参考文献

  • 『発想する会社!――世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』 トム・ケリー、ジョナサン・リットマン=著/鈴木主税、秀岡尚子=訳/早川書房/2002年7月(『The Art of Innovation』の邦訳)
 
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