DSS(でぃーえすえす)情報マネジメント用語辞典

decision support system / 意思決定支援システム

» 2003年08月26日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 企業活動における意思決定(主に半構造的問題に関する非定型な意思決定)に必要とされる知的資源を提供するための支援システムのこと。さまざまな経営情報を蓄積し、意思決定者(経営者)などのユーザー自身が対話的に検索・分析・加工・シミュレーションを行うことによって、人間の認知能力の限界を補完し、意思決定の質や有効性の向上を図るというコンピュータシステムの利用形態の概念を指す。

 1970年代にMITのスコット・モートン(Scott Morton)により、「経営管理システム(MIS)」の発展形として提唱された。DSSの根底には「管理者の(半構造的な)意思決定を支援する」というコンセプトがあり、この点がMISの「コンピュータによる意思決定の自動化」とは異なる。

 モートンはMISなどをトランザクション処理系システムであり、定型的な意思決定を行うシステムであると位置付け、対してDSSは新しい利用形態の概念であるとした。その上でモートンはDSSを「モデルベースによる意思決定のためのシステム」「ESS(exective support system)」と区分している。

 前者のDSS(狭義のDSS)は、企業モデルや財務シミュレーションのように、論理的・経験的な定義式群によるモデルを作成することで、「売上が5%増大したら、利益はどう変化するか」「仕入原価が10円増加した場合、売上にどのような影響が出る」のような問題を分析する分野。後者のESSは基幹系システムから収集・蓄積したデータを、ユーザーがアド・ホックに任意の切り口で選択し集計するような分野である。

 後者DSS(ESS)は1980年代におけるEUC(end-user computing)の代表的な例とされたが、使い勝手の面でまだ不十分といえた。1990年代になるとデータウェアハウスの技術を活用した新しい情報系システムが登場し、DSSの概念を本格的に実現する仕組みが登場するようになり、ビジネス・インテリジェンスへとつながっていくことになる。

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