EAM(いーえーえむ)情報マネジメント用語辞典

enterprise asset management / 企業資産管理 / 設備資産管理

» 2009年06月02日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 企業が保有する設備資産に関するさまざまな情報を、そのライフサイクルを通じて一元管理することで、資産自体とそれにかかわる業務を可視化・標準化・効率化する業務改善ソリューションのこと。

 設備産業にとって、主要な資産であるプラント設備や機械装置、建造物などを確実に保全し、稼働し続けることは極めて重要な業務課題である。また、保全業務の効率や効果を高めて、稼働率や信頼性、安全性を維持・向上し、資産の耐用年数を延長できれば、経営上の大きなメリットとなる。

 設備保全の最も初歩的な方法は事後保全(壊れたら修理する)だが、これは稼働率・信頼性・安全性を高めるやり方とはいえない。そこで重要な設備資産に対する保全は、予防保全や予知保全などの方法で行われる。予防保全は“壊れる前に部品交換や修理を定期的に行う”方法で、いつ交換や修理を行ったか、交換や修理を行ってからどれくらい設備装置が稼働しているかなどの履歴を確実に残す必要がある。予知保全は“設備装置の稼動状況を観測・診断して異常の兆候を察知し、対応する”方法で、対象を常時監視して平常状態からの変化などを計測し続けなければならない。

 これらの保全業務を総合的に支援するソリューションがERMである。資産の取得(契約・調達・設置)から、使用(監視・点検)、保全(保守・修理)、処分(廃棄)に至るまでのライフサイクル全般にわたって、各種の関連業務が正しい手続きと承認に基づいて行われるように管理する。こうして一元的に集約された管理情報を分析することで、事故や不具合、非効率の発生を把握して、予防保全・予知保全などを効果的に実施し、限られた保守要員を最大限に活用できるようにする。製品によっては、法律上・会計上の要件から資産状況を追跡できるようにしたり、環境・安全対応のための規制を順守できるようにしたりする機能を持つものもある。

 EAMはCMMSから発展したソリューションであり、しばしば同一視される。特に両者を区別する場合、EAMはCMMSの基本機能に加えて、保全資材の在庫・購買管理や資産保全の予算・コスト管理、KPIによる統制機能などを備え、ERPシステムと連動して会計的なマネジメントが行えるようにしたシステムを指すことが多い。専用システム(ERP連携機能を有する)として作られた製品と、大規模ERPパッケージの一部として提供される製品がある。

参考文献

▼『最新EAMの基本と仕組みがよ〜くわかる本――製造業の設備保全を最適化する実践ツール』 EAM研究会=著/秀和システム/2009年11月


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