EVMS(いーぶいえむえす)情報マネジメント用語辞典

earned value management system / EVM / 出来高管理システム/ アーンドバリュー・マネジメントシステム

» 2004年04月12日 00時00分 公開

 作業の進ちょくや達成度を(通常は)金銭的に表現したものであるアーンドバリュー(earned value)を統一的な尺度として、プロジェクトのパフォーマンス(コスト、スケジュール)を定量的に測定・分析し、一元的な管理を行うプロジェクト管理手法のこと。米国国防総省などで、公共調達のマネジメントシステムとして採用されている。

 一般にWBS(注1)をベースに必要な工数を算出し、ここから金銭価値で表現した計画を作成し、チェックポイントごとの達成予定額(パフォーマンス・メジャメントベースライン:PMB)を設定する。計画では各作業の金銭総和がプロジェクトの総コストとなる。プロジェクト実施段階でも達成作業量も金銭表現して達成予定額と比較することで、作業進ちょくのスケジュールを定量的に把握する。同時に実出費と達成額を比較することで、コスト面の進ちょくも測定できることになる。

 スケジュール、コストの両面で、ベースラインからの乖離(かいり)を常時把握してプロジェクトのパフォーマンスを動的に測定し、精度の高い完了時期や完了時のコスト予測を可能にする。また、完了遅延や予算超過の程度も予測できるため、プロジェクトオーナーにとってリスク管理の有効なツールとなる。また、PMBOKにおいても、進ちょく管理の基礎的ツールとして位置付けられている。

 歴史的には古く、まず1962年のミニットマンミサイル開発計画で適用され、1967年に米国国防総省の調達規定の一部として、C/SCSC(Cost/Schedule Control Systems Criteria)と呼ばれる35項目の管理基準が設定された。この基準を民生への適用も視野に入れ、米国国防産業協会(NDIA:National Defense Industrial Association)の要望に基づいた若干の修正と用語解説を付加したものがリリースされ、1998年6月には米国規格協会(ANSI:American National Standards Institute)がEVMSの名称で、ANSI/EIA-748-1998として発行した。

 米国では一定額以上の政府系の入札では応札業者に対応が義務付けられており、国防総省やNASAでは大規模なEVMS教育が行われている。カナダ、英国、スウェーデン、オーストラリアなどでも国内規格として活用され、日本においても経済産業省がシステム開発プロジェクトの管理手段として採用を推奨している。

(注1)WBS

参考文献

▼『アーンド・バリューによるプロジェクトマネジメント』 クウォンティン・フレミング、ジョエル・コッペルマン=著/PMI東京(日本)支部=監訳/日本能率協会マネジメントセンター/2004年6月(『Earned Value Project Management, Second Edition』の邦訳)

▼『改訂版 解説:アーンド・バリュー・マネジメント――EVM:Earned Value Management』 冨永章=著/プロジェクトマネジメント学会/2003年11月

▼『図解国際標準プロジェクトマネジメント――PMBOKとEVMS』 能澤徹=著/日科技連出版社/1999年11月


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