故障モード(こしょうもーど)情報マネジメント用語辞典

failure mode

» 2009年06月16日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 FMEAなどで、システムに発生する故障(不具合、機能不全、失敗)を網羅・整理する際に用いられる故障の様式分類のこと。さまざまな原因によって生起し、多様な事象として現れる故障を適度の抽象度でまとめたものである。不良モード、エラーモード、不具合モードという場合もある。

 例えば、水道というシステムで「水が出ない」という故障事象が現れたとき、その構成部分である水道管に関しては「断裂・漏れ」「詰まり」といった原因が考えられる。これらはさらなる根本原因として、経年劣化による亀裂、外部からの異常な力による変形、スケール(水あか)の付着など、さまざまな事象が想定できる。逆に水道管の漏れがもたらす不具合現象としては「水がでない」のほかに、「意図せぬ場所が水浸しになる」「水道代が余計にかかる」などが考えられる。

 このように“困った事態”である故障現象は個々の製品や使用シーンと結び付いて多岐多様な現れ方が想定でき、また一方の根本原因も千差万別な事象が(場合によっては複合的にからみ合ったものとして)想定でき、これをすべて網羅的に拾い上げていくことは困難である。

 故障モードは根本的な故障原因と最終的な故障結果を結ぶ分類概念で、パイプであれば「漏れ」「詰まり」、電気回路ならば「断線」「ショート」「ドリフト」「ノイズ発生」、機械加工ならば「亀裂」「さび」「伸縮」「塑性変形」「脆性破壊」というように、各分野で発生し得る不良事象を一般化したものである。“パイプ”ならば水道管であれ、石油パイプラインであれ、人体の血管であれ、同じ故障モードを想定できる。具体的な故障(不具合、病気)は対象システムによって異なるため、これを一般化することに意味はないが、技術的・原理的に同一な分野やレベルで不具合事象のラべル(用語)を用意しておくことで、個別具体的な故障事象を検討する際の大きな助けとなる。

参考文献

▼『設計開発の品質マネジメント』 久米均=著/日科技連出版社/1999年9月

▼「「連想」および「階層」概念の導入による効果的な故障モード予測』 鄭敬勲、飯塚悦功=著/「品質」 Vol.26, No.4/日本品質管理学会/1996年10月


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