ガントチャート(がんとちゃーと)情報マネジメント用語辞典

Gantt chart / 横線工程表 / 線表 / ガント図

» 2005年12月14日 00時00分 公開

 プロジェクト管理や生産管理などで使われる、作業計画およびスケジュールを横型棒グラフで示した工程管理図のこと。またはその表記法をいう。

 縦軸(行)に作業(タスク、アクティビティ)ないし資源(リソース)を置き、横軸に期間(時間)を取って、各作業/資源の所要期間をそれに比例した長さの横棒で示した図である。

ALT 単純なガントチャートの例

 各作業(または資源使用期間)がいつ始まり、いつ終わるのかが一目瞭然であるため、作業担当者にとってスケジュールの把握がしやすい。また作業実績を逐次記入すれば、計画に対する作業実施状況が即座に分かるため、作業管理者にとっても極めて有効な進ちょく管理表となる。

 土木・建築や製造業の工程管理では広く一般に用いられており、横線式工程表、横線工程表と呼ばれる。ITプロジェクトの世界でも利用されており、バーチャート、線表(せんぴょう)ともいう。

 ただし、多数の作業が複雑に入り組んだ工程を計画・管理しようとすると、作業相互の依存関係が分かりづらく、管理の重点ポイントがどこにあるかをつかむことが難しいという欠点がある。また、ある特定の作業の進ちょくが遅れた場合に、それが全体にどのような影響を及ぼすかについて予測することが困難で、実施段階に入ってからの計画変更や状況変化に対して柔軟性に欠ける。

 誰にでも分かりやすいので、PERTなどのネットワーク手法(アルゴリズム)を登載したプロジェクト管理ソフトでも計算結果をスケジュール表示する際に使われる。その場合であれば、ガントチャート画面で行った変更でも依存関係を再計算してスケジュールを表示する。

 ガントチャートという名は、考案者のヘンリー・L・ガント(Henry Laurence Gantt)に由来する。ガントは米国のエンジニアで、フレデリック・W・テイラー(Frederick Winslow Taylor)とともに科学的管理法を研究したメンバーとして知られる。ガントは1903年に「A Graphical Daily Balance in Manufacture」と題する生産工程の順序を図解する方法を考察した論文を発表、1910年代に入るころにはこれを体系的な管理手法に発展させた。

 1917年、第一次世界大戦に参戦することになった米国は、ドイツの無制限潜水艦戦に対抗するために大規模な造船計画に着手した。コンサルタントとしてこれに参加したガントは、自身の管理手法を適用して効果を示し、大統領表彰を受けた。

 ガントの死後、ガントの部下であったウォーレス・クラーク(Wallace Clark)が「The Gantt chart: A working tool of management」(1922年)を出版し、ガントチャートの名と手法を一般に広めた。その後、1931年のフーバーダムの建設、1956年に始まったインターステートハイウェイ網の建設などの大規模プロジェクトにも使用され、古典的管理手法としてその地位を確立することになった。

 ガントチャートは、大まかにタスク・ガントチャートとリソース・ガントチャートに分類できる。前者は棒グラフで作業(タスク)を示したもの、後者はリソースすなわち設備や担当者などの作業割り当て状況、稼働状況を示したものをいう。初期のガントチャートはリソース・ガントチャートだったが、今日ではタスク・ガントチャートが主流である。このほか、マイルストーンを書き込んだ表記法(マイルストーンチャート)、タスク同士の依存関係を示す補助線を加えた表記法など、多くの書き方が派生している。

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