グループウェア(ぐーるぷうぇあ)情報マネジメント用語辞典

groupware / グループウエア

» 2003年02月28日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 グループによる知的創造活動を支援するためのソフトウェアやシステムのこと。機能としては、ネットワークを利用して文書のほか画像や音声などあらゆるファイルの共有、電子メールや電子掲示板スケジュール共有、ワークフロー管理などがある。

 これらの機能を個別にではなく、統合した形で提供するのがグループウェアの特徴といえる。例えば、会議への参加や営業同行してほしい人にメールを出し、その人が承認すればその人のスケジューラに自動的にそのスケジュールが反映されるといった機能である。

 このようなコンセプトは1960年代にすでに提唱されており、米国スタンフォード研究所のダグラス・エンゲルバート(Douglas C. Engelbart)は、コンピュータを使って人間の知的能力を増幅させる方法を探る研究(Augment Project)の中で、1968年に「NLS」(oNLine System)と名付けられた機器のプレゼンテーションを行い、ネットワークを使った共同作業の動きを実演して見せている。こうした研究は以後も続き、CSCWなどいう名前で継続する。

 グループウェアという言葉を作り出したのは、米国のピーター・ジョンソン=レンツ(Peter Johnson-Lentz)とトゥルーディ・ジョンソン=レンツ(Trudy Johnson-Lentz)といわれるが、実際にビジネスシーンで利用されるグループウェアの市場を切り開いてきたのは「Lotus Notes」(Notes/Domino)で、最初のバージョンが登場したのは1989年である。

 Notesの原型は、「ノーツの父」と呼ばれるレイ・オジー(Ray Ozzie)が学生だった1973年、米国イリノイ大学においてメインフレームで動作する巨大なCAI(Computer Assisted Instruction)システム「PLATO(Programmed Logic for Automatic Teaching Operations)」上に作った簡単なメッセージの書き込みと、それに対してコメントを付けることができる「notes」と呼ばれるシステム。オジーたちは卒業後、一度別会社に就職するが、1984年にノーツ製品版の開発母体となるアイリスアソシエーツという会社を設立、6年後にNotesの最初のバージョンを完成する。

 グループウェアの代表的な製品には、「Lotus Notes/Domino」(日本IBM)のほかに、「Microsoft Exchange Server」(マイクロソフト)、「STAR OFFICE」(NEC)、「TeamWARE」(富士通)、「Groupmax」(日立製作所)などがあるが、1999年以降、Webブラウザからグループウェア機能を提供する「サイボウズ Office」シリーズ(サイボウズ)が大きくシェアを伸ばしたことから、Webベースのグループウェア製品が急増している。これらの中には携帯電話から利用できたり、ASPで提供されるものも多い。

 このほか、さらにノーツの開発者レイ・オジーが開発した「Groove」(2000年にPreview Editionを公開)のように、PtoPによってサーバを必要としないグループウェアも登場している。

 グループウェアは、うまく活用すれば大幅な業務改善が図れる。しかし、そのために仕事の手順を再構築する必要があり、業務改革の意識がないまま導入すると、あまり活用できないケースがあるといわれる。

参考文献

▼「Groupware: the process and impacts of design choices」 P. Johnson-Lentz、T. Johnson-Lentz=著/『Computer-mediated communication systems: Status and evaluation』(Elaine B. Kerr、S. R. Hiltz=編)に収録/Academic Press/1982年


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