これは、米国のトラベラーズ保険会社に勤めていたハーバート・W・ハインリッヒ(Herbert William Heinrich)が著書『Industrial Accident Prevention』(1931年)で紹介した調査報告に由来する。ハインリッヒは、同一人物が引き起こした同種の労働災害事例を5000件以上調査したところ、重大な災害を起こした事故を1としたとき、軽微な傷害事故が29、無傷の事故が300あることを見出した。さらにすべての災害の背後にはおそらく数千にも達する不安全行動と不安全状態が存在すると指摘した。
東京大学名誉教授の畑村洋太郎は著書『失敗学のすすめ』(2000年)で、ハインリッヒの法則を失敗全般に読み替え、大規模な失敗の陰には数多くの小さな失敗があり、その小さな失敗から目を背けてはならないと警告している。また、カール・アルブレヒト(Karl Albrecht)とロン・ゼンケ(Ron Zemke)も著書『Service America in the New Economy』(2001年)でハインリッヒの法則をクレーム(苦情)の発生に当てはめ、1つのクレームの裏には数多くの不満を持つ顧客があり、小さなクレームでも軽視してはならないと主張している。
参考文献
『災害防止の科学的研究』 ハーバート・H・ハインリッヒ=著/三村起一=監修/日本安全衛生協会/1951年10月(『Industrial Accident Prevention: A Scientific Approach』の邦訳)
『ハインリッヒ産業災害防止論』 ハーバート・W・ハインリッヒ、ダン・ピーターセン、ネスター・ルース=著/井上威恭=監修/総合安全工学研究所=訳/海文堂出版/1982年4月(『Industrial Accident Prevention: A Safety Management Approach. 5th ed.』の邦訳)
『死角巨大事故の現場』 柳田邦男=著/新潮社/1985年10月
『失敗学のすすめ』 畑村洋太郎=著/講談社/20004年11月
『サービス・マネジメント』 カール・アルブレヒト、ロン・ゼンケ=著/和田正春=訳/ダイヤモンド社/2003年4月(『Service America in the New Economy』の邦訳)