ILS (integrated logistic support)

統合後方支援 / 統合兵站支援


 軍事ロジスティクス上の管理概念で、製品/システムの使用者に有効かつ経済的な後方支援を提供できるよう、構想・開発・生産・運用の各段階の要素を統合的に計画・管理すること。

 軍事におけるロジスティクスは広範な概念であり、それを実施する工学的技法である後方支援(ロジスティクスサポート)は「兵員の計画・募集・訓練」「兵器の研究・構想・開発・生産・配備・運用・補給」「物資の計画・調達・貯蔵・配送」「施設の計画・建設・運用」「予算・コスト」「情報」「技術」など多様な要素を持つ。

 これらの要素は相互補完的に組み合わされるべきものだが、ときとして「構造が複雑で製造コストが高い」「整備が難しく稼働率が低い」といった不整合が生じる。これらの問題は大昔からあったが、第2次世界大戦のころまでは、属人的な経験や才能に頼って解決(あるいは失敗を繰り返)してきた。しかし、大陸間弾道ミサイルに代表される莫大な予算を投下される大規模な兵器システムが登場すると、直感的な見通しが不可能となり、体系的な手法が求められるようになった。そこで提唱された方法論がILSである(『国防省指令 4100.35』 1964年)。

 ILSはシステム工学、ロジスティクス工学の1分野であり、製品/システムの要求事項と前提となる制約事項を集約して、コストと有効性のトレードオフ関係を定量的に解析し、最適な後方支援資源が特定する。どのような要素(パラメータ)を利用するかは、製品/システムの目的・要求によって異なるが、例えば“運用維持”を考える評価するのであれば、製品/システムの用途、期待される使用頻度、信頼性、保全性、可動率、耐用期間、使用環境などが影響すると考えられる。

 製品/システムの特性や性能を設計段階から定量的な評価を繰り返すことで、「高価だが壊れにくい製品」「壊れやすいが修理しやすい製品」のどちらがいいかといったような判断をフェイズごとに何度も行い、最終的に製品/システムと後方支援業務が首尾一貫したものとなるようにする。

参考文献

  • 『ロジスティクス――ライフサイクル・コストの経済性追求』 ベンジャミン・S・ブランチャード=著/石川島播磨重工業株式会社=訳/ロジスティクス学会日本支部/1979年2月(『Logistics Engineering and Management』の邦訳)
  • 『ライフサイクル・コスト計算の実際』 ベンジャミン・S・ブランチャード=著/宮内一郎=訳/ロジスティクス学会日本支部/1979年7月(『Design and Manage to Life Cycle Cost』の邦訳)
  • 『統合後方支援――概念から現実まで』 エルモン・A・ジエネステ二世=著/防衛研修所/1970年10月(『Integrated Logistic Support from Concept to Reality』の邦訳)
  • 『CALSの実像――21世紀に生き残るためのビジネス・インフラストラクチャー』 円川隆夫、城戸俊二、伝田晴久=著/日経BP出版センター/1995年7月
 
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