KJ法
けいじぇいほう / KJ-Methods
無秩序で雑然とした定性データ(事実、意見、アイデア)群を、一度カードや付箋(ふせん)紙などに分解し、これを人間の直観力を用いて図解・文章に統合することで、意味や構造を読み取り、まとめていく方法および思想の体系。
漠然としてつかみどころのない問題を明確にしたり、思いもしない解決策・新しい発想を得るために用いられる。個人の思考と集団のそれをほとんど区別しないため、個人の発想技法としてだけではなく、複数の人間による共同作業、合意形成などにも使われる。
基本的なステップは以下のとおり。
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| KJ法の手順 |
広義にはこのステップ全体がKJ法だが、狭義にはラベルづくりからA型図解化・B型叙述化までをいう。ビジネス分野ではA型図解化まででストップする簡略型が使われることが多い。B型叙述化を行う中で出てくるヒントや仮説をラベルに採集して、再びグループ編集からKJ法のサイクルを繰り返す「累積KJ法」もある。また、パルス討論、点メモ、衆目評価、多段ピックアップなどの周辺技法も開発されている。
KJ法は、もともと文化人類学者の川喜田二郎氏が学術調査(フィールドワーク)で得られた大量で雑多な資料を整理するために1950年代から模索していた方法で、その概要を1964年に出版された『パーティー学』に記したところ、読者の関心を集めた。そこで川喜田氏は実技解説のペーパーを作り、そこに便宜的に自身のイニシャルから“KJ法”と記したところ、日本独創性協会の年報「独創」2号(1965年)がその名で掲載し、定着したという。
KJ法は定性データを扱うほとんど唯一の体系的な問題解決技法(仮説発見技法)で、その簡便さゆえに学術研究の方法論としてだけではなく、品質管理(親和図法として知られる)、マーケティング、新製品開発、ソフトウェア開発といったビジネスシーンをはじめ、教育、創造性開発、カウンセリングなど幅広い分野に普及した。ただし一般に知られているKJ法は背景にある思想性が省かれ、単純な情報操作術として認知されていることが多い。
本来のKJ法は、「仮説・検証」型の“実験科学”の前段階である“野外科学”の手法として登場したものであり、「事実やその情報の語りかけに素直に耳を傾ける」という人間の感性を重視している。提唱された当初から「体験しなければ分からない」とされており、KJ法本部・川喜田研究所では研修コースや段位・級位認定、公認インストラクター制などを整備して、“正則な”KJ法の普及に努めている。なお「KJ法」は、川喜田研究所の登録商標である。
参考文献
- 『パーティー学――人の創造性を開発する法』 川喜田二郎=著/社会思想社/1964年11月
- 『発想法――創造性開発のために』 川喜田二郎=著/中央公論社/1967年6月
- 『続・発想法――KJ法の展開と応用』 川喜田二郎=著/中央公論社/1970年2月
- 『問題解決学――KJ法ワークブック』 川喜田二郎、牧島信一=著/講談社/1970年8月
- 『野外科学の方法――思考と探検』 川喜田二郎=著/中央公論社/1973年8月
- 『KJ法――渾沌をして語らしめる』 川喜田二郎=著/中央公論社/1986年11月
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