マーケットバスケット分析(まーけっとばすけっとぶんせき)情報マネジメント用語辞典

market basket analysis / 併売分析 / バスケット分析

» 2005年04月18日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 データマイニングの利用法の1つで、POSデータやECサイトのトランザクション(取引)データを分析して、“一緒に買われる商品”の組み合わせを発見する探索的データ分析のこと。

 1顧客による1回の取引データをマーケットバスケット・データといい、これを週や月単位に集計した取引データベースをソースとしてデータマイニングを行う。量販小売業で特に有効とされるが、クレジットカードの取引データや通信系会社の利用記録などに適用することもできる。

 一般にアソシエーション分析の手法が利用され、結果は[パン, バター]→[ミルク]というようなアソシエーション・ルールの形で出力される。

 「おむつを買う顧客は同時にビールも買う」という“おむつとビール”の事例が有名。このほか、「日曜大工店でラテックスペンキを購入する人の8割はローラーを同時購入する」「食品店でトルティーヤチップスを購入する人の8割は瓶入りサルサソースを同時購入する」「株式インデックスファンドを持っている投資家の4割はポートフォリオに成長型投資信託ファンドを組み込んでいる」などの事例が報告されている。

 分析結果は、店舗内レイアウトや棚割り、陳列の計画、特売品・併売キャンペーン商品の選定、商品仕入れなどを検討するときの参考にする。

 例えば、目玉商品Aと日用品Bを購入した顧客は、高級品Cを購入する確率が高いということが分かれば、ABCのセット商品を用意したり、それぞれの配置を近付けたり、逆に離して配置して顧客の店内回遊を促したり、AやBの特売を行う際にはCの在庫を増やしておくといったことが考えられる。またAとBを買っていない顧客にCを推奨するということも考えられる。

 また時間帯や曜日、季節などの発生時刻データや、会員カードなどの発行により顧客を特定した購買履歴や顧客属性データなどを含めて分析対象(バーチャルアイテムと呼ばれる)とすることで、「平日夕方に来店する顧客の購買パターン」や「アイテムAを買った後にアイテムBを追加購入した顧客は、80%がアイテムCを購入する」といった時間別/時系列データマイニングなどが可能になる。

 このように特定商品購入者への別商品プロモーションなどの施策を取ることで、顧客の利便性や満足度の向上とともに、クロスセルによる売り上げ向上などを目指す。

 マーケットバスケット分析で利用されるアソシエーション分析は、アイテムの数(およびアソシエーション・ルールを構成するアイテムの数)が増えると、考慮すべき組み合わせの数は爆発的に増大する。またアソシエーション分析は、分析対象データの各アイテムのトランザクション量が同程度のときに、最も良い結果が出やすいという特徴がある。

 そのため、分析データは在庫管理や販売管理用の単位をそのまま利用するのでなく、例えば「○○ビール350ml缶」を「ビール」あるいは「アルコール飲料」というように、目的に応じてアイテム分類を整理しておくのがよい。またABC分析などによって、売れる商品と売れない商品を明らかにし、売れない商品の分類水準を上げて、広くまとめてしまうという手が有効だとされる。

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