マインドシェア

mind share / share of mind / 心の占有率


 顧客(潜在顧客を含む)が何かの商品カテゴリで購入や利用を考えたとき、その対象として心に思い浮かべる各種ブランドの割合いや度合いのこと。ブランドの強さを示す指標の1つである。

 マインドシェアは顧客が製品やサービスを購入・利用するに当たって、その選択肢として想起するブランド群の心理的な相対ポジションを指す言葉である。個々のブランドが認知度・好感度・選好度・重要度などによって、顧客の心の中でどのような位置や大きさを占めているかをいう概念であり、ブランディングやブランド戦略の分野で用いられる。

 例えば、携帯音楽プレーヤーを買いたいと思った消費者が「iPod」と「ウォークマン」だけしか思い浮かべないとしたら、この2つ以外のブランドのマインドシェアは低いといえる。この場合、両ブランド以外は少なくとも指名買いされる可能性はない。価格が安ければ知らないブランドのものを買ってもよいと思っているときは、既知のブランドは知名度(認知度)が高くともマインドシェアは低い状態だといえる。逆にある特定ブランドは探してでも買うというようにブランドロイヤリティの高い状態は、マインドシェアも高いといえる。

 繰り返し購買・利用するリピート商品ならば、現状に満足していて今後も継続的に取り引きしたいと感じてもらえているブランドはマインドシェアが高く、いまは使っているが、もっとよい商品・サービスがあればすぐにそちらに移りたいと思われているブランドはマインドシェアは低いということになる。

 ただし、このような個人的な複合心情としてのマインドシェアは直接に測定することができない。そのため、数値指標としては純粋想起率や純粋第一想起率を用いることが多い。純粋第一想起とは「デジタルカメラといえば何ですか?」のように、ある商品カテゴリを提示して最初に思い付くブランドを1つだけ答えてもらうことで、純粋第一想起率はその各回答の全回答に対する比率である。狭義には、この純粋想起率ないし純粋第一想起率をマインドシェアという。ほかにも「買うとしたら?」「好きなブランドは?」といった質問で出した比率、ないしそれらを総合した指標をマインドシェアと呼ぶ例がある。それらを踏まえるとマインドシェアを多人数が抱いているブランド印象の程度を表す指標の総称と見なすこともできよう。

 なお、米国の一部ではこれらの用法とは別に、「みんなでよりよいものを作っていこう」「全社でお客さま第一を貫こう」というような“価値観や心情の分かち合い”の意味でマインドシェアという言葉を使うことがあるという。

参考文献

  • 『ゲリラ・マーケティング』 ジェイ・コンラッド・レビンソン=著/小林薫=訳/ビジネス社/1986年6月(『Guerrilla Marketing』の邦訳)
  • 『ポジショニング──情報過多社会を制する新しい発想』 アル・ライズ、ジャック・トラウト=著/嶋村和恵、西田俊子=訳/小林太三郎=監修/電通/1987年2月(『Positioning: The Battle for Your Mind』の邦訳)
  • 『ブランドイメージ戦略――競合ブランドとどう差別化を図るか』 中江剛毅=著/日本能率協会/1987年6月
  • 『ポジショニング戦略――世界中で30年間読み継がれる、マーケターのバイブル』 アル・ライズ、ジャック・トラウト=著/川上純子=訳/海と月社/2008年4月(『Positioning: The Battle for Your Mind』の新版新訳)
 
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