mission-critical context
自社にとって他社に対する差別化要素とはならないが、顧客や市場から確実に実施することが求められる業務のこと。コア/コンテキスト分析の用語で、コンテキスト業務のうち、ミッションクリティカルな特性を持つものをいう。
米国のコンサルタント ジェフリー・ムーア(Geoffrey A. Moore)のコア/コンテキスト分析モデルでは、競争優位の源泉となるコア業務はやがて陳腐化してコンキスト化する。競合他社との関係では陳腐化したとはいえ、しばしば当該事業には多数の顧客がおり、その期待に応える水準でオペレーションを実行する必要がある。これがミッションクリティカル・コンテキストの段階である。
ミッションクリティカル・コンテキストの業務は、顧客(あるいはそのほかのステークホルダー)が期待する水準を満たせない場合には深刻な事態に至ることがあり得る。一例としては商品の出荷、在庫管理、財務会計、金銭の取り扱い、雇用契約、情報セキュリティ、内部統制、ディスクロージャーなどがある。これらは重要な業務としばしば位置付けられ、企業内でも枢要な経営資源が割り当てられていることが少なくない。しかし、これらのミッションクリティカル・コンテキスト業務は他社や業界平均を上回る水準で実施しても差別化や利益の向上が見込めない。
従って、ミッションクリティカル・コンテキスト業務は差別化や競争力強化ではなく、コスト削減や生産性向上を目標として、ここに溜まっている経営資源を解放することを考える必要がある。
▼『ライフサイクルイノベーション――成熟市場+コモディティ化に効く14のイノベーション』 ジェフリー・ムーア=著/栗原潔=訳/翔泳社/2006年5月(『Dealing with Darwin: How Great Companies Innovate at Every Phase of Their Evolution』の邦訳)
▼『クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった』 野村総合研究所 城田真琴=著/東洋経済新報社/2009年2月
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.