混合戦略(こんごうせんりゃく)情報システム用語事典

mixed strategy

» 2009年01月08日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ゲーム理論の用語で、与えられた状況で取り得る選択肢の中からその都度異なる行為を実行するタイプの戦略のこと。各プレーヤーの混合戦略の割合(実施する行為の組みわせ確率分布)を最適化することで、そのゲームは均衡する。対語は純粋戦略である。

 一般にゲーム理論のゲームで、最良の戦略が単一の純粋戦略であることはまれで、通常は選択肢(純粋戦略)を確率的に混ぜ合わせた混合戦略となる。「戦略Aが50%、戦略Bが50%」の混合戦略とはAとBを交互に行うのではなく、両戦略をそれぞれ50%の比でランダムに実行することを意味する。純粋戦略は、選択肢の中のある1つの戦略を100%実施するのが最適解である場合と考えられる。

 数学的にはナッシュ均衡の定理により、すべてのゲームは各プレーヤーが合理的に行動する限り、どのプレーヤーがどう戦略を変えてもそれ以上に結果をよくすることができないような混合戦略が必ず存在することが証明されている。ただし、ゲームがある程度複雑になるとプレーヤー全員の戦略の組み合わせを算出するのは、計算量が膨大となるため、現状のコンピュータ技術では事実上不可能である。

参考文献

▼『ゲームの理論と経済行動』 フォン・ノイマン、オスカー・モルゲンシュタイン/銀林浩、橋本和美、宮本敏雄=監訳/東京図書/1972〜1973年(『The Theory of Games and Economic Behavior』の邦訳)

▼『ゲームの理論入門――チェスから核戦略まで』 モートン・D・デービス=著/桐谷維、森克美=訳/講談社・ブルーバックス/1973年1月(『Game Theory: A Nontechnical Introduction』の邦訳)

▼『ORの話』 大村平=著/日科技連出版社/1989年8月

▼『ゲーム理論』 岡田章=著/有斐閣/1997年1月

▼『もっとも美しい数学――ゲーム理論』 トム・ジーグフリード=著/冨永星=訳/文藝春秋/2008年2月(『A Beautiful Math: John Nash, Game Theory, and the Modern Quest for a Code of Nature』の邦訳)


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