MOT(えむおーてぃ)情報システム用語事典

management of technology / 技術経営

» 2004年08月09日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 技術力をコアコンピタンスとする企業・事業体が技術投資の費用対効果を最大化し、その事業を持続的に発展させるために、次世代の技術を創出し、戦略的イノベーションを推進して、技術の研究・開発・獲得・投資などの効率化を図る企業マネジメント体系。あるいはそのための経営手法・学問的研究、およびこれを推進する人材を育成するカリキュラムや資格をいう。

 ここでいう技術とは、製品技術(製品・サービス自体を構成する技術)だけではなく、オペレーションを管理する技術(生産管理や在庫管理、ロジスティクスの技術、IT、技術知識創造・移転の技術など)を含み、新しい技術知識を創出して技術資産として蓄積し、それら技術知識を製品やサービスの形にして価値創造を行うバリューチェーンをマネジメントしていくことをいう。

 技術を経営資源として戦略的に活用するには、「テクノロジ」と「マネジメント」の双方に精通した人材が必要であるため、特に人材教育・資格として注目されている。教育カリキュラムの内容は学校や講座によって異なるが、技術の研究開発マネジメントから、製品企画や設計、マーケティング、ファイナンスを含む技術マネジメントのほか、イノベーションプロセス論、ナレッジマネジメント、技術予測・評価手法、技術者管理・行動学、科学技術・産業技術政策など、極めて広範な領域が対象となる。

 MOTの原点はアポロ計画で、この巨大プロジェクトを実施するために「技術のマネジメント」を考えたのが始まりとされる。1960年には米国航空宇宙局(NASA)が米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のMOTリサーチに予算を出し、アポロ計画関連の技術マネジメント研究が始まった。MITスローンスクールでは、1962年に「Management of Science and Technology」研究が開始され、1981年には大学院生向けの「MOTプログラム」が開講した。これが現在のMOT隆盛の契機とされる。

 1990年代以降になると、IT・バイオ・素材・エネルギーなど新技術をベースにしたベンチャー、イノベーションをテーマにした研究・講座が増え、1990年代終わりにはMOTコースを設置する米国の大学・大学院は200を超えた。日本においては、1990年代半ばごろから注目を集め、2003年には経済産業省でも5年間でMOT人材を1万人育成できる体制を構築することを目標に政策を進めている。

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