360度多面評価

multi-rater evaluations / 360-degree evaluations / 360度評価 / 360度フィードバック


 人事における評価方法の1つ。上司のほかに他部門の管理者、同僚、部下あるいは取引先など、多様な側面から評価を行い、人材の素養や性格などの評価精度を上げようする方法。

 通常は人材育成を目的に導入するものだが、人事考課で利用する場合もある。組織全体を良くしていこうというフィードバックが循環する場合は大きなメリットがあるが、適切な制度設計と運用を欠くとネガティブな影響を及ぼすことが考えられる。

 一般に組織における評価は上司が部下を見る形で行われるが、特定の立場の評価者のみが評価を行うと、その評価者の先入観や価値観、被評価者との関係やその業務内容に対する知識量などにより偏りが避けられないということから、多数の関係者が関与して評価を行う方法が「360度評価」である。

 評価者である上司の見えないところでの行動や潜在能力について評価できる点、被評価者にとっても“みんな”から評価されることで納得感を得たり、上司の顔色だけを見て仕事をするという傾向が減るといった点がメリットとされる。

 他方、組織文化に即した評価方法を設定し、評価訓練を広く組織内に展開しなければならないなど運用上の負荷も大きい。適切な配慮なしに導入すると、個人的な好き嫌いで評価する、ゴマすり、談合や裏取引、集団的ないじめなどが発生するなど、かえって人間関係を阻害するケースもある。

 もともとは英米の諜報機関や軍などで要員選抜のための仕組みとして用いられていた手法とされる。手続きや集計が煩雑だったことから広く普及することはなかったが、1990年代になってインターネットを利用して評価情報を収集する方法が実用化されると、米国企業で人材評価の方法として用いられるようになった。

参考文献

  • 『実戦360度フィードバック』 リチャード・レプシンガー、アントワネット・D・ルシア=著/遠藤仁=訳/日経BP社/2003年3月(『The art and science of 360 degree feedback』の邦訳)

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