オフショアリング(おふしょありんぐ)情報システム用語事典

offshoring

» 2006年06月20日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 企業が自社の業務プロセスの一部、または全部を海外に移管・委託すること。資本関係のない海外企業にアウトソーシング(オフショア・アウトソーシング)する場合と、海外支社・法人を設立して現地で人材採用を行い、業務移管する場合がある。

 多国籍企業においては古くから工場の海外移転などが行われてきたが、1990年代後半にインターネットが普及して通信コストが劇的に低下、世界の事業拠点間の立地格差が大幅に縮小すると、各国企業はグローバルな経営資源の再配置を検討するようになった(米国ではBPRが流行している時期だった)。そうした事業再編戦略の中で生産拠点だけではなく、コールセンター業務やソフトウェア開発、バックオフィス業務などのさまざまな業務の海外移転が行われた。これがオフショアリングである。

 もともとはコスト削減を目的に人件費の安価な国・地域に低賃金の単純労働を移転することが多かったが、近年では研究開発や設計、医療などの高度な専門職種においてもオフショアリングを行うケースが見られる。このため、米国では国内の雇用を脅かすものとして、政治問題化している。

 オフショア(沖合い)とはもともと金融界の用語で、英国でいうマン島やチャンネル諸島、米国でいうフロリダ沖のカリブ海諸島(バミューダ島・バハマ諸島・ケイマン諸島など)といった離島を指す。これらの島々は歴史的・経済的事情から、非居住者(外国人)に対して合法的に租税優遇措置を設定しており、タックスヘイブン(租税回避地)として知られる。ここから「オフショア」という言葉は“自国の規制や税金から逃れる”といったニュアンスを派生させているが、これがさらに“自国の高コスト・高賃金環境から逃れる”ための海外移転にも転用されるようになったものと思われる。

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