プログラムマネジメント(ぷろぐらむまねじめんと)情報システム用語事典

program management / プログラム管理

» 2007年12月04日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 大規模で複合的な問題に取り組むに当たり、活動全体を複数プロジェクトの結合体ととらえ、そこに含まれる各プロジェクトの連携・調整・相互作用を通じて状況変化に対応し、戦略的目標の達成を図るマネジメント手法のこと。

 従来のプロジェクトマネジメントは、特定の具体的なゴール(要求)を所与の制約条件(資源・コスト・スケジュール)の下で達成・解決することを目指す活動であった。これを実現するために綿密なスケジュールを立案し、進ちょくに応じてそれを見直すという手法を取る。それに対して、より大きなミッション――例えば「企業風土の改革」「新産業の創出」「発展途上国の開発援助」というような課題に取り組む場合、やってみなければ分からない面が多く、個別具体的な計画を事前に立てることが難しい。実際には、実行時に状況に応じて機敏に手段や対策を変更・中止・追加することが求められる。

 こうしたとき、具体的な実施活動であるプロジェクトの上位に、それを統合的に扱う概念としてプログラムを置き、複数のプロジェクトを集約して運用(計画・整合・監視・調整・選択・変更・中止)する方法が有効である。これをプログラムマネジメントという。

 いち早くプログラムの概念を取り入れた標準に、日本生まれのP2Mがある。P2Mではプログラムを「全体使命を実現する複数のプロジェクトが有機的に結合された事業」と定義、プログラムマネジメントを「全体使命を達成するために、外部環境の変化に対応しながら、柔軟に組織の遂行能力を適合させる実践力である」と定義している。

 米国に本拠を置くプロジェクトマネジメント協会(PMI)でも2006年に「The Standard for Program Management」(プログラムマネジメント標準)を発表している。PMIの体系では何をすべきかを定める「ポートフォリオマネジメント」、どの手段を用いるかを定める「プログラムマネジメント」、決められた手段・手順を確実に行う「プロジェクトマネジメント」の三層構造になっている。このPMI標準ではプログラムマネジメントを「プログラムの戦略的利益や目標を達成するために、プログラムを調整、集中してマネジメントすること」とし、プロジェクトマネジメント標準(PMBOK)と同じ9つの知識エリアに、39のプロセスを定義している。

 米国に本拠を置くITガバナンス協会(ITGI)が発行するVAL ITフレームワークでは、IT投資やIT資産を利用して組織に価値をもたらす活動をプログラム(投資プログラム/変革プログラム)として、これを投資単位・管理対象にマネジメントすることを推奨している。

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