ポカヨケ(ぽかよけ)情報システム用語事典

poka-yoke / mistake proof

» 2009年08月24日 00時00分 公開

 工場の製造ラインなどで、作業者のうっかりミス(ポカ)があっても、工程内ですぐに気付くような仕組みや機構を組み込むこと。最終工程での検査や統計的品質管理に比べ、低コストでの不良防止が可能となる。

 熟練作業者であれ、非熟練作業者であれ、それが人間である以上、作業内容の取り違えや取り付け忘れなどの単純ミスは避けられない。こうしたケアレスミスに対して「気をつけろ」というだけの精神論は中長期には効果が薄く、検査工程の追加はコストが高くつく。そこで作業手順や工作機械に工夫を凝らし、ありがちなミスやエラーを検知する手段を組み込むことで、効果的・効率的な品質管理を可能にするアプローチがポカヨケである。作業者が通常の作業を行うことがエラー検知となるような仕組みを組み込むと、工程内でリアルタイムの全数検査を実施していることになる。ミスの発生が現場で即座に分かるようになると、修正・対応も現場で即座に行えるようになり、極めて効率的である。

 ポカヨケの基本概念は、1961年に日本能率協会のコンサルタントだった新郷重夫によって生み出された。名古屋の山田電機で、プッシュボンタンを組み立て工程でバネの入れ忘れという不良の改善を相談された新郷は、組み立てに使用するバネを小皿に入れてから作業するという手順を提案した。作業後に小皿にバネが残っていれば、入れ忘れミスが発生したことがすぐに分かるようにしたのである。この工程改善でバネ入れ忘れミスはほぼなくなったという。当初は、フールプルーフと同じ考えに基づくことから「バカヨケ」と呼ばれていたが、1963年に「ポカヨケ」に改名された。

 トヨタ生産方式でも基本概念の1つに数えられ、日本企業の海外進出や米国における日本型経営の研究を通じて海外にも広まり、製造業の分野では「poka-yoke」のまま通じる言葉となっている。

参考文献

▼『トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして』 大野耐一=著/ダイヤモンド社/1978年5月

▼『源流検査とポカヨケ・システム――不良=0への挑戦 0QC方式への展開』 新郷重夫=著/日本能率協会/1985年3月

▼『実践 現場の管理と改善講座 ポカヨケ〈改訂版〉』 名古屋QS研究会=編/日本規格協会/2001年5月


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