プロビジョニング(ぷろびじょにんぐ)情報システム用語事典

provisioning

» 2006年06月18日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ネットワーク設備やシステムリソースなどを事前に用意しておき、ユーザーの要求に応じてそれを割り当てて迅速にサービスの提供を行うこと。使用を停止したユーザーからリソースを回収し、別の要求に割り当てることを含める場合もある。特に最近ではそれを自動的に行う技術やソリューションを指すことが増えてきた。

 provisioningは、供給/準備/設備/引き当て(すること)などを意味する言葉で、例えば軍事行動や長期の旅行・航海などで必要な物資(特に水や食糧)を用意・補給することをいう。情報通信の世界では、通信事業者が顧客からの回線サービス提供の求めに迅速に対応するため、あらかじめ回線設備や通信帯域を準備しておくことをいった。その後、サーバやストレージベンダが顧客(インターネット事業者など)の要求に対してハードウェアを即座に供給するために、必要な資源をまとめて用意・割り当てておくことをいうようになり、やがてこれがサービスメニュー化されて、ある手続きを行うだけでコンピューティングリソースを利用できることを意味する言葉として使われるようになった。

 さらに最近では、自律コンピューティングによるハードウェアの自動構成やサーバの自動起動、仮想化されたコンピューティングリソース(CPU、メモリ、ストレージ、アプリケーションなど)をオンデマンドかつ動的に割り当てる技術などをいうようになってきている。アプリケーションのインストールや設定、ユーザーへの提供などを自動化するサービスレベルのプロビジョニングも登場している。これらは、システム負荷やサービス需要の状況に応じてシステムリソースを即座に調達・融通できるようにすることで、ユーザー自身が事前に予備資源を用意するという無駄を省きながら、急激な需要増にもサービスレベルを下げないソリューションとして注目されている。

 また、ネットワークやサーバなどのリソース使用の前提となる“ユーザーアカウントの管理・提供”といった作業もプロビジョニングと呼ばれる(アカウントプロビジョニング、IDプロビジョニングなどともいう)。特に自動的にアカウント情報のライフサイクル(生成/配布/更新/廃棄・失効)を管理する機能をいうことが多い。独自にアカウントを保持する複数サーバにアカウント情報の通知して更新させ、サーバ間のアカウントの整合性を取る機能を指す場合もある。

 なお、XML関連の標準化団体OASISでは、ユーザー権限やリソース、サービス準備などのプロビジョニング情報の交換仕様標準としてSPML(Service Provisioning Markup Language)を承認している。

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