レコメンデーション(れこめんでーしょん)情報システム用語事典

recommendation / リコメンデーション / リコメンド

» 2006年12月22日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 顧客(訪問客・購買客)に対して、特定の製品やサービスなどを推奨すること。特にWebマーケティング/オンライン販売などで、ユーザー(閲覧者)の興味や嗜好(しこう)に合わせてお勧め商品・情報を表示するサービスや技術をいう。

 実世界のビジネスにおいてクロスセルアップセルをはじめ、販売側が顧客に商品を推奨・提案することはごく一般的な行動である。店舗では、特に売りたい商品を目立つ場所に陳列したりするが、これも広い意味ではレコメンデーションといえるだろう。

 Webを使ったオンライン販売では、店舗バックヤードの面積的制限といった物理的制約から解放されるため、膨大な量の商品アイテムを扱うことが可能だが、顧客のWebブラウザに一度に表示できる情報量は限られる。顧客にとっても多数の商品から自分の望むものにたどり着くためには、その商品に対する正確な知識・情報を持っていなければならないなどの問題がある。

 そこで顧客が訪れたページ(ショッピングサイトのトップページや目的の商品ページ)に、その顧客の好みや特性に合わせて適した商品(情報)を自動的に表示するシステムが登場した。そうしたシステムをレコメンデーション・システム(レコメンデーション・エンジン)という。

 レコメンデーション・システムが推奨を行う方式には「アンケートベース」「ルールベース」「協調フィルタリング」など、さまざまな方法があり、それぞれの組み合わせによって実現される場合もある。実際にレコメンデーション・システムが利用されている例としては、Amazon.comの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」が有名。

 近年は、ロングテール理論において膨大な商品群の中からニーズに合ったものを見つけ出すために極めて重要な機能であるとして、レコメンデーションがあらためて注目されている。例えば、インターネットの検索エンジンでは検索履歴に基づいてパーソナライズした検索、あるいは検索語の推測・推薦を行う機能の開発や実装に取り組んでいる。

 情報技術の世界でレコメンデーションといえば、人工知能やデータマイニング情報フィルタリングなどを応用した技術のことだが、セールスやマーケティングという観点で見れば、単純な「売れ筋ベスト10」情報の提供や有名人による推奨、詳細なターゲティングによるアプローチ(ダイレクトメールなど)なども範ちゅうに入るだろう。

 さらに視点を広くすれば、第三者にレコメンデーションを委ねるバイラル・マーケティング系の手法がある。ネット上ではSNSなどの形でコミュニティの場を提供して、商品やサービスの推薦を促がすサービスも登場している。アフィリエイトなどもこの系譜に連なる。

 これらはいずれも顧客が「薦めてもらって良かった」と感じることが大切で、そうでなければ単なる押し売りになってしまう。このポイントだけは外してはならない。

 なお、オンライン広告の世界では、ユーザーの行動に合わせて表示する広告を変える方法を「行動ターゲティング」と呼ぶ。

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